表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
102/487

65 やっぱり豪快なな人らしいです

 

 宿を探し終え、辺りはすっかり日を落とし、今はとある酒場にいる。オレンジ色のぼんやりとした灯りと香しく鼻をくすぐる料理の匂い、気持ちのいいジョッキの鳴る音に豪快な笑い声。自分達の纏うしがらみを取り払うようにこの場の大人達は酔いどれへの道へと誘う。


 とはいえ、俺達未成年組は飲めない訳で。この世界でも二十歳未満は飲めないとのこと。向こうの世界より、身体の成長や体質のことが関係しているようで、食事処ということで立ち入ること自体は禁止ではないが、飲むのはダメとのこと。


 未成年の飲酒はやめましょう。あと飲酒運転も絶対やめましょう。


 こちらも羽目を外しているようで、最早べろんべろんである――。


「ホンッットォーーに申し訳……ありませんしたぁ!!」


「何だぁ〜……オメェさん何かしたのかぁ〜?」


 顔を真っ赤にしてアソルとガタイのいいこのパーティのリーダーらしき人が肩を組み合い、仲睦まじく話している。


「彼女らちには〜とんだご迷惑を〜おかけしやした!!」


 アソルって酔うとこんなにも人が変わるものなのかと苦笑いしながらポテトらしきものを口にする。


 このポンコツパーティ達は一応、二十歳は越えている訳で。酒を飲む姿は時折道中で見てはいたが、ここまで羽目を外して飲んでいるのは初めてかも。


 おそらく王都が近く、ここから王都までの道も特には危険はない為、羽目を外したものと思う。


 アソルとバトソン以外の大人は飲んではいたが……護衛する身としてはどうなのかと疑問を抱く。ザーディアスは腕があるからいいものの、役立たずの二人はむしろ飲んではいけない気がする。


 ここでふと疑問を感じた。道中もそうだが、この世界の食文化は魔物の肉があるものの、他は向こうと変わらない食文化である。


 なのにどうして、リリアの実家はパンや野菜をざく切りにしたサラダなどなど簡単で質素なものが多かったのだろうかと、実家での食事風景と比べる。


 酒があるということは米もちゃんとあるということだ。道中は主食はパンだったが、クルーディアではちゃんと米を頂いている。


 せっかく母親の知り合いがいる機会だ。あまり酔いが回っていない、お酒をちびちび飲んでいるメガネのお兄さんに訊いてみようと試みる。


「あの……少しお話よろしいですか?」


「ん? ああ、構わないよ」


 そういえば名前を知らないと思ったので、そろっと聞いた。


「母のお知り合いなのにお名前を聞いてませんでした……」


 それを聞いて、ギョっとした顔をして、申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げた。


「こちらこそすまない。彼女の娘さんだからとつい。僕の名前はジードだよ。それから――」


 他の方も教えてくれるようだ。手を差し伸ばして順に紹介していく。


 アソルと絡んでいる人はこのパーティのリーダー、グラビイス。金髪の魔法使いさんがアネリス。先程、照れながら俺に挨拶した剣士君はバークと嫉妬の視線を送っていた茶髪ウェーブの()がサニラという。この二人はつい最近パーティへと加入したとのこと。


 そしてもう一人。先程からフードを深く被り、俯向きながら黙々と俺達も飲んでいるジュースを飲んでいる子が、フェルサというらしい。


 だが、この子のフードの突起が何かおかしい。フードは基本、三角なので山の形になるのが普通だが、その頂点だろうか、その両横に違和感のある膨らみがある。


 真正面にいるからわかりづらいが、違和感は伝わる。


 だが、あまり踏み入った話をする訳にもいかず、当初の目的の食事事情を聞くことにする。


「実に聞きづらいんですけど……」


「何だい?」


 ちびっと酒を口にして、横目に俺を見る。


「母って料理下手なんですよね?」


 その言葉にクスッと笑うと微笑みながら、懐かしむように優しい口調で話してくれた。


「そうだね。なにぶん破天荒な性格の人だったからね。よく振り回されたよ……」


 自分のことではないが、何か申し訳ない気持ちになった。


「うちの母がご迷惑をおかけしました」


「いや、謝るようなことじゃないよ。むしろいなくなってもう長いが、やっぱりいてくれたほうがとても賑やかだったよ。ああっ……こちらの話ばかりでゴメンね」


「いえ……」


 ジードの表情を見るあたり、母は本当にいい人みたいだ。二日間しか一緒じゃなかったけど、ちゃんと包容力のある人だったなと懐かしむ。


「あの人は料理は下手だよ。これを言ったのはお母さんには内緒だよ。怒られたら堪らないからね」


「……はい」


「でも、意地っ張りでね。女なんだし料理くらいはって食事当番もちゃんとやってたんだよ。出てくるのはパンやざく切りしたサラダみたいなのか、丸焦げの魔物肉が出てくるくらいで、中々スリリングか質素なものとで両極端だったのを思い出すよ」


 俺のこの世界での食文化の理解を改める必要があると理解した瞬間であった。


 あのまま村で過ごしていたら、その内ラビットフットの丸焦げ肉でも出てくるのかな、何て考えると身震いした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ