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冒険者ギルドの依頼人  作者: いかや☆きいろ
一章 冒険者たち
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マリモ:魔人ギリオス2

 第一章、完結です。



 さあ、私による治療を始めよう。ハードな外科手術はできないけど、薬なら現代では手に入らないものがいっぱいあるからね。とは言ってもお婆ちゃんにもらった技は戦闘スキルばかりだけど。まずは……。


「精霊術:ハイドリアード:生命波動」


 お婆ちゃんにもらった世界樹の杖を構え生命力を束ねて打ち出す。緑に白い光が絡むような閃光が敵デーモン数体を吹き飛ばす。ウン、強い。


 敵からも反撃で魔法が飛んでくる。数が多いからやはり杖を構えて魔力の壁を作る。魔力を込めたら込めただけ厚くなっていく。私は飛んだり跳ねたりはできないのでこの壁が命綱になるだろう。いくらか貫通されるかと思ったけど薄くなってる端の部分を一発貫いてきただけであとの五発ほどは叩き落とせた。抜けてきた一発が頬を抉ったけどすぐに治る。あ、ゆずちゃんが怒ってその一発を撃ったデーモンの首をハネた。


 仲間がいると大きい魔法は撃ちづらい。枝をいくつも出してそこから生命波動で細かく攻撃する。


「精霊術:ハイドリアード:閃光乱撃」


 戦場にいくつもの光がサーチライトのように閃き、瞬く間にデーモンはその数を減らしていく。


「くそっ!!」


「魔人さん出てきたね」


 少し話をしてみようかな。邪神とか気になるし。


「私はマリモ。ハイドリアード。貴方はなにが目的なの?」


「……我は魔人ギリオス。人族の敵である」


「私は人族じゃないよ?」


「……人族の味方をしているのだろう」


「味方? たぶんしてないけど」


 病の敵をしていたりお肉食べたいから依頼はしているけど、人族の味方はしていない。魔物も癒してるし、別にゴブリンが善良で病気をした、と言うなら治す。あと私の専属(モノ)に手を出したのは当然許さない。


「ならばなぜ我らを攻めた!」


「デーモンは病。私は病の敵」


「!!」


 どうしようね。デーモンは駆逐するけどこの人一応話せるし。なにか気に病んでるなら治療しなくはない。


「なにか困ってるの?」


「……」


「病気なら治療する」


「うっ……!!」


 怯んだね。なにかあるんだろう。私でも治せるならいいんだけど。その前に。


「悪いけど、デーモンは駆逐する。ドーナツ」


 お婆ちゃんに教わった奥の手を使う。スキルは膨大な魔力を込めることで本来とは違う効果をもたらせるという。ドーナツでもだ。そしてこのドーナツはデーモンにとても効く。


「ドーナツ:オーバードライブ:バイバイ・ドーナツ」


 一個のドーナツが二つに増える。四つに増える。八つに増える。十六に三十二に六十四に百二十八に。見る間にその場には千を超えるドーナツが浮かび上がった。その異様と森に立ち込める甘い匂い。それだけでレッサーデーモンは蒸発した。そしてこのドーナツは、


 意のままに飛ぶ!


「シュート」


「ぐっ、うおおおっ!?」


 魔人さんには効かないよ。安心安全。……しかしデーモンには特効、女神様の浄化作用が悪魔たちを瞬く間に引き裂いて飛んでいく。……わりとエグい。デーモンが蒸発していったあとには魔石だけが転がっている。あとで拾っておこう。根に吸収するだけだから楽だ。


 魔石は魔道具の燃料として高く売れる。大きいものは魔道具そのものの核として使えるし、私が吸収すると根も伸ばせるよ。便利だね。


「ジャイアントとかはみんなに任せるとして、どうする? 邪神のこととか話してくれるなら対価としてお薬くらいは融通する」


「本当か……?」


「嘘をつく意味あるかな? もう勝負は決してる」


「……そうだな。要のデーモンがこうもあっさり消されては、今さら抗う意味もないか……」


 どうやらお話になってくれるようだ。内容はこうである。


 よくある話ではあるが、彼の村、魔人族の村に流行り病が広がり、多くの村人が倒れた。最初は村人たちだけで何とかしようとしたが、病にかかり倒れる者がどんどん増えていく。そこに人族の山賊が群れをなして襲いかかった。


 ……よくある話である。流行り病を流したのがその山賊たちだったと。それを知った魔人従魔術師ギリオスは怒り狂い、デーモンを大量に召喚して逆に山賊たちを病で苦しめ、殺し尽くした。邪神はその頃村にいて、村人の介護をしてくれたらしい。人間に嫌われている邪神なので救いを求めることはできなかったが、協力関係になれば救う方法もあると提示された。ギリオスはこれにすぐに従う。


 そしてより大きな街を病で覆い尽くすためにここ、フォレスターにまで来たようだ。ご苦労なことである。そしてとっても迷惑。


 そして病に落ちたフォレスターで魔物を使って薬を漁る。ちょうど最近は薬草が増えていていい薬も出回るようになったフォレスターは格好の的だったようである。……私のおかげだね。そして的にしたこの人が悪い。その辺りはドライだよ。……だけど病なら、癒す。


「病気の種類は?」


「精霊毒症だ……まさか本当に薬を?」


「精霊毒……それなら、おいで中級精霊:大薬草ラウネ」


「はいなー」


 精霊術:精霊召喚:大薬草ラウネだ。アルラウネは薬草の魔物で高い薬効がある薬を作り出せる。私が呼び出したアルラウネはなぜか薬師スキルも持っていて自分で薬を量産できる個体、薬草ラウネ、その大型のものだ。


「この人の村で流行り病が起こってるらしい。治してきてあげて」


「あいよーいいよー」


「お駄賃にこれあげる。プチっと、あ痛っ!」


「やっほおおうぃ!」


 常世の果実は植物にも大人気。魔力も高まるし栄養価も高いし美味しい。私が食べてもあんまり意味がないけどね。


「その、いいのか? 我を逃がせば立場が悪くなったり……」


「それもまたよし」


「……すまぬ」


 こうしてギリオスは魔物たちを退かせ、薬草ラウネと村へと帰っていった。去り際に邪神についてはしっかりと聞いておいたよ。


 また戦いになるなら準備をしておかないとね。






 色々言いたいことがあったんだけど忘れてしまいました。ともあれ、ここまでお付き合いくださり有り難うございます。二章もプロット頑張ります。


 コンゴトモヨロシク。オレサマオマエマルカジリ。



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