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なまこ×どりる  作者: ただのぎょー
第5章 119年3月~義兄の魂を奪還に

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第138話:えぴろーぐ

 ゼウスはその腹を螺旋に貫かれ、そしてその身体全てが螺旋へと巻き込まれ消滅しました。

 わたくしもクロもスティングも魔力を使い果たしています。



「……勝った」



 身動き一つ取れません。

 天に掲げた右腕は皮膚が炭化し、その中にあってクロの身体は無事ですの。

 倒れるなぁと魔力欠乏でぼんやりとした頭で思いました。まずいですわー、と思った瞬間。わたくしの身体が抱き止められました。



 そして背と膝裏に腕が差し込まれます。

 わたくしはレオナルドに抱き上げられていました。クロはわたくしの胸の上に落下して跳ねます。



「おかえり、アレクサ」


「ただいまですの、レオナルド」



 甘い声、わたくしを覗き込む優しい表情に翠の瞳。ふふ。



 その背後の空が真っ黒です。

 わたくしは空を見渡しました。

 天の概念がわたくしたちの頭上から消え、空が失われています。青い空も白い雲も消え、漆黒の空が頭上に広がっています。

 夜になった?いえ、違いますの。

 大地は、レオナルドは太陽に照らされて明るく、だが空のみが漆黒。太陽と一の月が浮かび、他は何も見えませんの。



「お空がなくなってしまいましたの」


『ゼウスの化身を倒しましたからね。見渡す限りの空が失われましたが、すぐに戻りますよ』



 胸の上、クロが言いました。



「クロ、スティング。ありがとうございますの。あなたたちのおかげで勝利を掴めました」


『ええ、良かった』(わーい……)


「ふふ、スティングはお疲れですわね」


(うん……おやすみ、まむ。かててよかった)



 わたくしは髪を撫でます。へにゃりとアホ毛が沈み、縦ロールは流れてストレートになりましたの。



『わたしも、ちょっと意識を外しますね。力が枯渇してるので海へと戻ります。2日ほどで戻りますよ』


「ありがとう、クロ」



 胸の上のなまこさんから神気が抜けていきました。

 わたくしはなまこさんを撫でます。レオナルドが手を伸ばして地面に転がっている金魚鉢の中になまこさんを沈めました。



 先ほどレオナルドより感じた神々の気配も去って行きます。去り際に一柱の神が空をさっと撫でると、太陽の光は弱まって、無数の星々が漆黒の空を彩りましたの。



「星が……」



 むふー、ロマンチックですの。



「これは彼らに気を使って貰ったということかな?」


「レオナルド……」


「……もう義兄様とは呼ばないのかい?」


「あなたは我が兄ではなく、夫となるべき方ですからっ」



 ちょっと声が裏返りましたの。

 レオナルドはわたくしを抱きかかえたまま地面に胡座をかくと、膝の内にわたくしをのせて、背中側を持ち上げます。



 彼の顔が近づき、唇が重ねられました。

 先程、戦いの前にしたそれよりも瑞々しく、彼の生気を感じますの。



「ふふ」


「愛してるよ、アレクサ」


「わたくしもですのよ、レオナルド」



 わたくしはゆっくりと再生していく腕を見て、両手を彼の首に回します。

 以前は回りきらない程太かった首ですが、今は手を背中に回してもまだ余裕がありますの。

 レオナルドの手がわたくしの後頭部を撫でていきます。



 星々に彩られた真昼の夜空を、地平線から青空が戻ってくる不思議な光景を眺めながら、レオナルドが声をかけました。



「さあ、帰ろう。愛しい人よ。まずはサーソーで休んで、それからまた南に戻ろう」


「そうですわね、まずはお祖父様の集落へ行って、お父様に連絡を取って、あとはサウスフォードで待つ皆様にも無事を知らせないと。でも……」



 わたくしはレオナルドの胸に頭を押し付けます。鎖骨のあたりで頬ずりをして、胸に唇を寄せましたの。



「アレクサ?」


「わたくしとあなたが元気を取り戻したらまずは……」


「取り戻したら?」


「たくさん愛してね、旦那様」





なまこ×どりる  完





キャスト



アレクサンドラ・フラウ・ポートラッシュwithクロ、スティング

レオナルド・ポートラッシュwithヘヴンブレイザー



メリリース・ロビンソン(スペンサー)withラーニョ

ナタリー・ブレイスガードル

クリスティ・キャリッジwithフラッフィー

ドロシア・クリスティアナ・キャベンディッシュwithウルカヌス



イーリー

ケイト

サリア

スーザンwithネリー

セシリア

ニーナ

パティ

ベリンダ

ミーア

ミレイ

モイラ・コンプトンwithセバス



オーガスト・フィッツロイ

キース

ジャスミン・フォンテーン/カルミナージィア

ズアー

ダニエル・クレーブ

セオドア・ジェラルドwithグライアス。

ハミシュ・ファーガス(ニヴァシュ)withクルーアッハ

パメラ・マルールwithルーガル

マイク

林浩宇with紅桜

ルシウス

ロザーナ



エミリー

クィンラン

フレデリック・サイモン

チャールズ

バーサ

ムスタファ

リンツ



エドガー

オトゥールwithブラックタキオン

ゾーラ

ディアドリウ・ポートラッシュ

トリシャ

バーティス

ブライアン・ポートラッシュwithザナッド

ユージーン



イアン・ノースレイク

トム

ヒギンズ

ヤーヴォ(ヤロスラヴォヴィチ)



コーネリアス

ノーマン・クレーブ/ハズラフィール

ヒルデガルド

ユーリー

リチャード



アーディッシュ・ドリュー

ガヴァン・ファーガス

ソルチャ

ダネル・ファーガス



エリオット・ロビンソン

師父



ディストゥラハリ

ネガンドゥザール

ラヌザ



カクレウオの神

キーガン・ベルファスト

ゼウス

テヅルモヅルの神

ネプチューン





筆者:ただのぎょー


掲載:小説家になろう





Special Thanks


FA、バナー、二次創作、レビューをくれた皆様


しのたろう ネット小説大賞応援イラストプレゼント企画


瀬川雅峰 りくのすけ 睦月スバル アヤ

Kisaragi 海村 在り処 秋の桜子

きしかわせひろ 雨音AKIRA 暮伊豆 砂臥環

石河 翠 森野昴 つこさん。 いと

砂礫零 シンG 間咲正樹 もふもふもん

NOMAR くまぽ



鳴海酒 EZOみん 蛸山烏賊之介 みょーーん

樋口諭吉 アカシック・テンプレート べべ きら幸運

朝倉 ぷらす 稲村皮革道具店本館 稲生景 八刀皿 日音

マックロウXK 殴り書き書店 黒イ卵 平子 奈都亜

山田の中の山田を自称する山本(自称) 伊賀海栗

しいたけ 狐瓜和花。 Nameless_ ぼっけんさん

黒鯛の刺身♪ 葵 しずく 王海 みずち すぎモン

水渕成分 瘴気領域(敬称略)



感想をくれた皆様

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活動報告で応援してくれた皆様

Twitterやブログ等で応援してくれた皆様

小説家になろうの運営の皆様



そしてここまで読んでくれたあなたに最大の感謝を。




…………………………

……………………

………………




 漆黒の宇宙に浮かぶ蒼き星、地球。

 その北半球、北緯60度付近の一点において、雲が通常の気象の変化ではあり得ぬ動きを見せている。突如として雲が現れては乱れ、消え、また生まれる。

 そして黄金の光の柱が上がった。


 窓際に立つ少女。

 真鍮製の望遠鏡に片目を当てて地球を、その光を眺めている。

 白磁のような肌を興奮に染め、呆然と呟いた。


「……神殺し。……化身とは言え最上位神格の神殺しが成し遂げられるとは」


 光が収まると、その周囲から広域にわたって雲が失われる。ブリテン島の姿がはっきりと見えた。


 彼女はほうとため息をついて望遠鏡から面を上げると、ふわりと背後のソファーに腰を降ろした。

 重さを感じさせぬ動き。水色のドレスのようなスカートが広がる。

 宮殿の客間のような調度の部屋である。だがその部屋の灯りは魔術でも炎でもない不思議な光であり、壁際に佇む二人のメイドの身体は鋼でできていた。


「素晴らしい。余りにも素晴らしいわ……故に危険でもあるの」


 少女は窓の外を眺めて呟く。

 窓の外には荒漠とした黄色い大地が広がっており、漆黒の天に浮かぶ青い惑星が見えた。


――あの娘を排除されるのは困りますね。


 どこからともなく声が響く老人の声が彼女の呟きに答える。

 壁際の鏡が黒く染まり、その上方にはⅠの数字が浮かび上がった。


「彼女が対魔族の要だと言いたいのね」


 鏡の上にⅩⅨの数字が浮かび、落ち着いた女性の声がする。


――それはそうです、彼女はアイルランド戦線の希望。


「ままならないものね。この一年で遺都ヴァルゴ周辺は2度に渡って壊滅しているというのに」


――ですが人類は駆逐されていません。


 数字はⅩⅩへと変わり、若い男性の声が。


――英雄が育っているのだ。


 数字はⅧ、太い男性の声に。


「そう、人類が力を増していると。……であればわたしの行為は無駄ではないのかしら」


――是。


 数字は明滅し、数多の男女の声が彼女の呟きを肯定する。


「ふふ。ではわたしはまた眠りにつくわ。みなさん、人類をよろしくね」


 彼女が立ち上がり、扉へと近づく。それは誰にも触れられることなく開き、彼女が外へと出ると閉まる。そして部屋の照明も落とされたのだった。





“世界”の箱庭の物語、第一話『なまこ×どりる』完

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設定集や裏話もあるんですよ! 「なまこ×どりる」設定集はこちらから! i360194
― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。 ヤロスラヴァ~から流れてなまこ~を読ませていただきました。とてもテンポの良い作品で一気に(それでも数日はかかりましたが)読みまして、大変楽しい世界観で続き(があるのかな?)…
[一言] 愛の力ぁぁぁぁぁああああ!!!! 末長く…爆発してしまうぇぇえええええええ!
[良い点] “世界”の箱庭の物語、第一話『なまこ×どりる』完 やはり設定集を読んでおいてよかった! なんという壮大なスケール感! いいもの見た感が半端ないですわ!
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