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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
四章 宇宙人との戦争

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46/52

46 数の暴力


 超巨大宇宙船墜落で地球は天体衝突を受けたような大惨事になっていたが、ここは夢の中。純菜と蒼正は元の姿を想像するだけで、綺麗な青色の地球が戻った。

 そこでどうしようかと話し合った結果、宇宙空間で第二陣を待つのも危険かと思い、地上にテレポートして最強バリアの中で待機する。


 しかし第二陣は来た事が無いので、ただ待つだけの時間が勿体無い。最強バリアの中に小さな家を建てて、見詰めながら入って行った二人であった……



 翌日は、母親が仕事中の純菜の家を訪ねた蒼正。やる事はひとつしか無いのか、二人でずっとベッドの中で時間を潰した。

 そして夜になると、夢の中でも同じように時間を過ごそうと愛の巣に閉じ籠もっていたら、今日も宇宙人が邪魔しに現れた。


「今日はドローンかしら?」

「う~ん……虫型のロボットって感じかな?」


 愛の巣の中には一応モニターが有り、外の監視が出来る。そこに映し出された空飛ぶ物体を見た純菜と蒼正はやれやれといった感じで外に出た。


「これってどうやって戦う? 地雷は使え無いよ??」


 そこには分厚い雲と見間違えるようなトンボ型ロボットの群れ。以前、戦車を倒した地雷魔法は役に立た無いと純菜は蒼正に尋ねた。


「別に踏ま無くても、真上に発射したらいいだけだよ」

「あ、そっか。マーカーみたいにしたらいいだけか」

「ただ、数が尋常じゃ無い。万? 十万? どんだけ僕達に注ぎ込んでいるんだか」

「ついに本腰入れて来た感じだよね。別に私達を殺さ無くても、本体が来たら終わりって言ってたのに、なんでだろ?」

「さあね~? このまま取り込んだら、お腹痛くなるとか?」

「または、逆転の目が残っているとか……」


 ここまで殺しに掛かっている事に、少し希望が出て来た二人であったが、トンボ型ロボットの群れが迫っている。それどころか、トンボ型ロボットからビームが放たれ、バリアに接触した。


「ま、その話は後にしよ。魔法無双で殲滅だ!」

「うん! 魔法陣、オール起動!!」


 今日の戦闘方法は魔法攻撃。まずは地雷で設置していた魔法陣を起動させて、聖属性の光の柱が空に昇る。

 その攻撃を真下から、または直進して巻き込まれたトンボ型ロボットは消滅。ガンガン減っているが、光の柱が届か無い高度にいたトンボ型ロボットや、光の柱が途切れた瞬間に擦り抜けたトンボ型ロボットは無傷で突撃する。


「僕はこっちで! 聖なる雷!!」


 そのトンボ型ロボットには蒼正が対応。空から無数の雷が降って来て、トンボ型ロボットを十数体巻き込んで地面に突き刺さる。


「もう! 多すぎ! 聖なる炎!!」


 無数に降り注ぐ雷を抜けるトンボ型ロボットも多数いるので、純菜は接近戦仕様の魔法にチェンジ。聖属性の炎を放射してトンボ型ロボットを押し返す。

 辺りは雷と炎が入り乱れた地獄絵図となっているが、トンボ型ロボットは恐怖を微塵も感じ無いのか、特攻。四時間も繰り返せば、蒼正と純菜を疲れさせるには充分だ。


「切りが無いな……いつ終わるんだろ?」

「同じ動作ばっかりじゃ流石に飽きて来たね」

「早く終わらせたいのに~……あ、抜けられた」

「うわっ。近くで見るとキモイね」


 無駄話が(あだ)に。集中力も切れていたので魔法も綻びが出て、トンボ型ロボットはついに蒼正達の場所に辿り着いた。

 ただし、蒼正達はバリアの中から攻撃していたので暢気(のんき)な物。トンボ型ロボットがべちゃっと張り付いても、恐れる訳が無い。


「ああ~……外、見えなくなっちゃった」

「虫に全身くっ付かれてるみたいでちょっとゾッとするね」


 いや、ここまでやられると気持ち悪さが勝る。外も見え無くなってしまったので、蒼正達の攻撃の手も止まった。


「さて……どうしたモノか……」

「ここで外に出るのは嫌だな~……」

「んじゃ、やる事はひとつだね」

「パクリますか」


 蒼正と純菜は両手を繋ぐと目も閉じる。そして同じ事を空想すると、空高くに巨大な魔法陣が出現した。


「「ジャッジメント」」


 二人が冷たい声で呟いた直後、魔法陣から真下に放たれた聖なる光。直径十キロもの光が蒼正達を中心に放たれた物だから、トンボ型ロボットは群がっていた事が仇となり、逃げる事も出来ずに消滅するのであった……



 蒼正と純菜が目を開けた時には、トンボ型ロボットは一体もおらず。ちょっとやり過ぎたかと反省会をして、次回の戦闘についても話し合う。

 それが終わったら急いで愛の巣に入り、目が覚めたら蒼正の家に集合。また夜になると夢の中の草原でイチャイチャしていたが、モニターに映った物に純菜が悲鳴を上げた。


「蜘蛛? いや、なんか顔が可笑しいか……」


 今回は純菜が大嫌いな、蜘蛛型宇宙人。それが象よりも巨大で前回と同じ規模で押し寄せているのだから恐怖映像でしか無い。蒼正としては頭文字(イニシャル)Gでは無いからホッとしたが、それでも気持ち悪い事には変わり無い。


「僕一人でなんとかしてみるよ」


 しかし最愛の彼女が怖がっているのだから、男の見せ所。蒼正は純菜の頭を撫でると一人で愛の巣を出て行った。

 とりあえず地雷原まで宇宙蜘蛛が迫るのを待っていたら、宇宙蜘蛛は地雷原の手前で止まる。蒼正が何をしているのかと見ていたら、宇宙蜘蛛の腹からワラワラと小型の蜘蛛が湧き出した。


「うわっ……アレは僕も気持ち悪い……純は気持ち悪いなら見なきゃいいのに……」


 愛の巣から悲鳴が聞こえていると言う事は、純菜はモニター越しに見ていると言う事。その悲鳴を聞いた蒼正は気合いを入れ直した。

 と言っても、やる事は決まっている。地雷原から昇る複数の光の柱を見ながら、聖なる雷の乱射。だがしかし、宇宙人も対応策を用意している。


 小蜘蛛を(おとり)や盾に使っての、宇宙蜘蛛の特攻。これで大部分の宇宙蜘蛛は、地雷原を抜けてしまった。


「チッ……だから蜘蛛だったのか。手数が減ってるのに~」


 一番厄介な物は、機動力。八本の足で縦横無尽に動き、ピタリと止まったり最高速度で動き出したりするので、人間の目視だけでは捉え切れ無いのだ。

 それならば蒼正は聖なる炎を広範囲に使って押し返そうとしているが、宇宙蜘蛛は糸で纏めた小蜘蛛を盾にして突撃。前回よりかなり早くに、バリアに辿り着いた。


「ゲッ……溶けてる!?」


 宇宙人も馬鹿では無い。前回の戦闘でバリアに張り付き、成分を分析していたのだ。

 さらにこの蜘蛛もただの蜘蛛では無い。宇宙の何処かの星に棲息していた超危険種。口から吐く毒には、バリアでも溶かす成分が含まれていたのであった。


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