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36 新たな精霊

「アンジュ、君がユニコーンによって眠らされていたと聞いた時、俺はここからアンジュの元へ駆けつけたかった!」


「ウィリアム王子様、わたくしはもう大丈夫ですわ。ご心配おかけし申し訳ありませんでした。必ず貴方の元へ戻ります」


「アンジュの可愛い声を聞いたら今直ぐに会いたくなったよ」


「わたくしも早く会いたいですわ。そろそろ出発致します。待っていただけますか?」


「あぁ、待っているよ。

アンジュ……大好きだ!」


「はい、わたくしもウィリアム王子様のことが大好きです」


きっと父様は私とウィリアム王子様との会話で落ち込んでいるんだろうな?


「父様、今から出発致します。わたくしのことを待っていただけますか?」


「アンジュ! 当たり前だ。アンジュは俺達の大切な娘なんだからな。俺達のところへ早く帰って来い!」


「はい。必ず帰ります、それまでお元気で!」



私達はフェンに乗り前へと進んだ。




進む度に気温が上がってるのか、少し汗ばんできていた。


フェンは平気な顔をしたままスピードは……はいぃ?


スピードがグングン上昇していくフェンに何か言わなきゃ! 言わないとって思ってるんだけど。


フェンが飛んだり跳ねたりする度に振動がきて、話せないの。


「ここで一度休憩だ。いい眺めだろ?」


「……ぅわぁーー、凄い……」


海も湖もあり、この場所から見る景色は二度と忘れないだろう。


一生に一度は見てみたい絶景だよ。


あれ? あの青くて丸い光。


「ねえフェン、こっちの方向ってユーリジア?」


「そうだが、何かあるのか?

ん? 水の精霊か?

こっちに近付いてるようだな」


「水の精霊さん……綺麗」


水の精霊が私達の前に姿を現した。それと同時に風の精霊。シンリーが挨拶に来ていた。


「シンリー、久しぶり。それとキミが僕達の愛し子だね。僕は水の精霊『ディラン』よろしくね」


「はい。シンリー様、ディラン様。宜しくお願い致します」


「あれれ、さっきまでレオの気配がしてたのにな。おぉーーい、泣き虫レオーー!」


「ディラン、止めなさいよ。レオに怒られるわよ?」


どおぉーーーーん!!


今度は何? さっきから何が起きてるのよ。精霊様の仕業なの?


水の精霊ディランは水色の髪と瞳に爽やか青年って感じだわ。でも、シンリーの後ろにいる赤い髪と瞳の男の子は誰なんだろ?


「あの、貴方は誰?」


「オレが見えるのか?」


「バッチリ見えるよ」


私は親指を立てたあと、ピースサインした。


「レオ! お前はまたシンリーの後ろに隠れてんのかよ」


「あら、久しぶりねレオ」


「ディラン、シンリー。久しぶり!

お前がオレ達の愛し子だな。

オレは火の精霊『レオ』だ。宜しくな!」


「か、可愛い。みんな可愛いーー!

仲良くしてね」


精霊達はパッと消え、何も無かったかのように周りは静まり返っていた。


この9年間いろんなことあったな。早くみんなに会いたいな。


「アンジュ、そろそろ行くぞ」


「うん、ガザニアへ向けて出発!」





ポーラスカの中間まで進んだは良いが、あれは『ドラゴン』だ。ここはドラゴンの住処なのかな。


「アンジュ、ここのドラゴンは何もしない限り攻撃はしてこないから大丈夫だ。もう少し先に進むぞ」


岩や大木がゴロゴロしている場所をスピード出して飛び越えたり、難なく着地をしている。


私なんてフェンにしがみついてるので手一杯だよ。


洞窟のようになっているところで野宿することになり、アイテムボックスから温かいコロッケと生野菜サラダ、コンソメスープと柔らかい白パンをみんなと一緒に食べながら、談笑をした。


ふかふかな敷布団を出して、フェンの暖かいもふもふな毛と、ルルとグリの暖かいふわふわな毛で癒されながら眠る私達。


そこへ何かが洞窟の中に入って来ようとしている。


「アンジュ、何かが洞窟に入って来た!」

「面白かった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


と思ってくれたら


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