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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
2章【告白編】

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39 再会

「ステラ」

「ん、んぅ、まだ眠い……」

「ステラ、起きて」

「まだ、……無理ぃ。さっき、寝たばかりだから……」

「もう、貴女って子は。夜更かしはダメだって言ったでしょう?」

「だって……考え事、して……たのだもの」

「しょうがないわね、こうなったら……」


鼻を摘まれる。……く、苦しい。


「ぷはっ……!何をするの、姉様!」

「ふふ、やっと起きた。いつもアーシャが貴女にやってたけど、私もやってみたかったのよね」

「何よ、それ……!って姉様、何でここにいるの?!」

「もう、やっと今気づいたの?」


不貞腐れるように頬を膨らませる姿に、相変わらず美しいと思ってしまうのは記憶で美化されているのか、それとも元来の美しさのせいか。


(いや、姉様は元からとても美しくて、誰からも好かれる人だった)


頭がぼんやりする。そういえば、ここのところ働き通しだった気がする。道理で疲れているわけだ。てか、ここどこだろう。夢の中?でもなんか身体疲れてるし……。


(もしや、ここに姉様がいるってことは、私、過労死した?!)


「大丈夫よ、貴女はまだ死んでないわ」


1人で焦り始めると同時に、まるで思考を読んだかのように答えられる言葉に、ハッとして姉を見る。私、声に出してたかしら。いや、出してないはず。


「え、姉様、何で私が思っていること」

「そりゃあ、元々千里眼の持ち主だし?読心術だって心得てるわよ」


(初耳なんですけどー……!)


まさか私の心情が読まれていただなんて、恥ずかしい。今まで、ただ憧れてただけじゃなくて嫉妬してたこととか羨んでいたこととか全て知られてたってこと!?


(今更そんなこと知るだなんて……!!)


「大丈夫よ、気にしてないわ。私こう見えても図太いのよ?こういう見た目で、嫉妬されることや憎悪を抱かれることもあったしね」

「そう、なの……?」

「そうよ。それに人が考えていることを一々気にしてたら病んじゃうでしょう?」

「でも、何で隠して」

「人の心を読めるなんて、気持ち悪いでしょう?普通、こんな能力ある人と一緒にいたいだなんて思わないだろうから、秘密にしてたの」


確かにそうだ。人の心を読めるというのは諸刃の剣である。本音と建て前両方見聞きするのはきっと常人には耐えられない苦痛だろう。


また、知られることでさらなる憎悪が生まれる可能性もあれば、利用しようとする人もいるかもしれない。便利そうな能力でありながら、こうして考えると負の要素の方が強い気がする。


(本当に姉様は強い人だな)


「でも、私にまで内緒だなんて」

「言ったら色々と考えちゃうだろうし、下手に避けられたくなかったのよ。実はバラムスカだけは知っていたんだけどね。その話については今度するわ」


知らなかったことばかりで、混乱する。というか、今更ながらここはどこだ?


「そうそう、この場所を知りたがってたわね。ここは、生死の狭間の場所。貴女が心配だったから、無理を言ってここに呼び寄せたの」

「呼び寄せ、ってそんなこともできるの?」

「えぇ、凄いでしょう?まぁ、そんなにしょっちゅうはできないけどね。で、本題なのだけど」


急に真剣な表情に、自分も真剣な表情を作る。


「貴女はどうしたいの?」

「急に何?藪から棒に」

「ステラ。貴女はクエリーシェルさんのこと、どう思っているの?」

「何でそれを」


最近の悩みを言い当てられて動揺する。姉に相談したいと思っていたことだから尚更だ。


「言ったでしょう?私はずっと見守ってるの。まだ順番も来ないし」

「順番って」

「転生の順番。貴女を見守ってたいから準備を遅らせてもらってるの。バラムスカとも一緒に居られるしね」

「バラムスカさんと一緒にいるの?」

「えぇ、いいでしょう?今の方がある意味幸せかも」


そう言って、姉は綺麗な顔で笑う。


(そうか、幸せなのか)


意外だった。生前のイメージで、姉は不幸だと勝手に思っていたが、そうか、こういう形で幸せを得ることもあるのか。


「すぐ話が脱線しちゃうのは私の悪い癖ね。私のことはいいのよ、とにかく貴女の話。今日はじっくりこのことについて話すからね」


姉はとても楽しそうだ。無理もない、今までこんな話したことなどなかったし。そしてゆっくりと、私は現状や彼とのことをぽつりぽつりと話し始めるのだった。

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