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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
2章【告白編】

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14 もてなす

「何がどうしてこうなっている?」


やっとファーミット卿から解放されてホールへとやって来れば、リーシェが伯爵令嬢と踊っている。まぁそれはよい。いや、本当はよくないのだが。それより問題は、どの令嬢や領民の子女も、彼女を一心に見つめていることだ。


そして、人だかりというべきなのかなんなのか、まるで順番待ちのように長蛇の列ができている。


(いや、まさか。まさかだが、もしやこれは、リーシェとのダンスの待機列?)


そう考えると合点がいく。いや、できれば違って欲しかったのだが。


「バース、どうなっている?」


げっそりと(やつ)れた顔をしたバースに声をかけると、その指は既にプルプルと震えていた。


「リーシェさんに演奏を変わってもらうはずが、このような状態でして。僕もそろそろ限界なのですが……」

「あ、あぁ、無理をさせて悪かった。私の想定ミスだ。申し訳ない。私が変わろう、バースは休んでいてくれ」


曲が終わるとそのままバースとバトンタッチする。彼はフラフラと歩いて行ったかと思うと、早足でホールを抜けていく。行き先は恐らく外であろう。


(膀胱炎にならんといいが)


ここのところ彼には頼ってばかりだったので、休暇を出さないと。そうなると、また新しく人を雇わないといけないか。


(リーシェが来てから自分で自分が変わったのをよく感じる)


今までこういった人間関係が煩わしく、また采配などを考えるのも面倒であったが、今はだいぶそういうことを考えられるようになった気がする。


以前、新たに人を雇うという話をしたときも、「雇用が増えることはいいことです。ケリー様にとっても、今後の国にとっても、いいことだと思いますよ」と言われた。


確かに、実際兵を指導するときも、色々と考え、采配するようになったような気がする。人によって違ったノルマを課し、適材適所に配置する。今までニールに任せてばかりで、自分ではあまりしなかったことだ。


家でも人が増えたことで資産が減るスピードはもちろん早くなったが、その分団欒を楽しめるようになった気がする。


今まで人が苦手だと思っていたが、気心の知れている人と一緒に食事をとることは楽しいということを知った。


自分にはない知識をそれぞれ語り合うのも楽しいし、そこで新たな興味が(そそ)られるのも楽しかった。


そういえば、父も忙しくしていたし、姉さんと食事をとることはあっても大体内容などそこまで変わり映えしないし、今まで一家団欒で食事をとることなどなかった気がする。というか記憶にない。


だが、リーシェがいて、ロゼットがいて、バースがいて、たまにニールがいて。そこで美味しい料理を食べながら、日々の出来事を話し、助言や共感などを得ることができる日常はとても充実していた。


(あぁ、私の人生はリーシェによって彩られていると言っても過言ではない)


だから、できるだけ彼女が喜ぶことをしたい。彼女に楽しんでもらいたい。


「ケリー様、何をなさっているんです?!」

「どうだ、結構弾けるだろう」


ダンスを終えたらしいリーシェが、こちらに気づいてやってくる。その額には薄らと汗が滲んでいた。


「いや、まぁ、確かに意外な特技ですけど……」

「そちらも何をやっているんだ」

「いや、私も不本意というかなんというか、何でこうなったかさっぱり」


そう言いつつも、お互いなんだかんだ断れない性格が災いして、結局パーティーが終わるまでリーシェはダンスに明け暮れ、クエリーシェルはひたすらピアノを弾く羽目になったのだった。

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