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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
1章【出会い編】

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44 メイドの本気

こちらに向かってきそうだった傭兵の軍団は、クエリーシェルが注意を引いたことで私のほうには来ず、ほとんどが彼の方に向かっていった。まだこちらにもそれなりの数の傭兵がいるものの、私1人でどうにかできそうなくらいの量である。


このままバルドルを逃すわけにはいかないので、とりあえずこの周りに囲まれた状況を脱しなければならない。


(乙女の嗜み、第2弾といきますか)


貧相な胸元を補うために巻いたタオルには仕込もうと思えばいくらでも仕込むことができる、ということでいくつか球状のものを取り出すと、一気に下に投げつける。


「な!何だ何だ?!」

「前が、見えないぞっ!」

「うわ!」


煙玉で煙幕を出して、混乱に乗じて傭兵の合間を縫っていく。梯子を蹴り落とし、船に登れないようにしたあと、するりと船内に忍び込むと、今にも出立しようとしていたバルドルを見つける。


「行かせませんよ!」

「は!小娘1人で何ができる!」


バルドルの護衛3人がこちらに向かってくる。護衛というだけあって図体はでかいが、その分小回りは利かなそうだった。わっと飛びかかられるのをひょいと躱して、そのままフラついた身体を掬い上げるように船から落とす。


「まず1人」

「な!お前達も行け!!」


今度は2人いっぺんに来られ槍を掴まれるが、槍を握ったまま身体をぐるりと回し、遠心力をかけると身体のバランスを崩した男をそのまま槍を振ってぶん投げる。そのまま1人、海に放り投げたところで、もう1人が背後に回り、羽交い締めにされた。


「でかした!」

「よくもやってくれたな!だが、もう逃げられないぞ」

「そうですね、腕は使えませんね。でも、脚がガラ空きですよ」


槍を手放し、地面を蹴って前に一回転をする。そのままするりと相手の腕から抜けると、身を屈めて男なら誰でも弱点であろう部分を正拳突きする。さすがの大男も股間を押さえたところで落としていた槍を拾って薙ぎ払い、船から落とした。


「敵を捕らえろー!!!」

「うぉぉー!!」


なんだか騒がしい、と船の外を見れば、漸く応援が来たようだ。ニールが先陣を切って、敵を切り倒しているのが見えた。


「応援がきたようです。もう逃げられませんよ」

「くそ!」

「もう、観念したらいかがでしょうか?」


ジリジリと距離を縮める。先程とは違い、立場逆転である。


「ふっ、これで追い詰めたつもりか?切り札とは後にとっておくものだ!」


隠してた剣を持ち出し、こちらに真っ直ぐに向かってくるバルドル。リーシェは急所は避けつつも、その刃を受け止める。


ドスッ


「っく、……っ」

「ふふ、ははははは!これでペンテレアもコルジールも終わりだ!」


深々と刺さった刃。床いっぱいに血が滴るのを感じる。バルドルはそれを見て、これは勝ったと確信した。だが、バルドルがそれを抜こうとしたとき、剣が動かないことに気づく。


「な、なぜ動かぬ!」

「肉を切らして、骨を断つって(ことわざ)、聞いたことありません?」

「な、に?!」


油断していたバルドルの頸動脈に手刀を決めると、そのまま彼は失神し、崩れるように床に沈んでいった。


「ふぅ」

「リーシェ!無事か!!」

「あぁ、ケリー様もご無事で」


振り返ると、クエリーシェルが悲鳴に似た声を上げる。まさか剣が身体に刺さっているとは思わなかったのだろう、慌てて駆け寄られた。


「だ、大丈夫なのか!」

「大丈夫かどうかで言ったら、あんまり、大丈夫ではないと思います」

「そんなことを言っている場合か!」

「そういう意味では大丈夫です、致命傷は避けてますから」

「だから、そういう問題では!!」


(あぁ、だんだん眠くなってきた)


恐らく貧血だろう、結構出血してるしな。だんだんと血の気が引くのがわかる。脚に力が入らなくなってきて、ふっと身体から力が抜けると、そのままクエリーシェルに身体を支えられる。


「すみません、ありがとうございます」

「もう喋らなくてよい」

「あぁ、剣は今抜かないでください。出血量増えちゃうので、あと、私についてのお話はまた今度……」


視界が真っ暗になる。遠くでクエリーシェルの私を呼ぶ声が木霊(こだま)していた。

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