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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
6章【外交編・ブライエ国】

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41 突破する方法

ヒュンヒュンヒュンヒュン


風を切って矢が降り注ぐ。以前と比べて量が多く、避けるのもやっとなほどの量の矢が延々と飛んでくる。


「[気をつけろーーーー!!しっかり矢の軌道を読むんだ!]」

「[はっ、う、ぎゃああ]」

「[うわぁあああ]」

「[っく、なかなか近寄れないか]」


シオンが全体に声をかけるも至るところで断末魔の叫びが聞こえる。さすが本丸、一筋縄にはいかないか、と思いながら周りの状況を把握しつつ後退した。


「リーシェ、無事か!?」

「えぇ、大丈夫ですよ!」

「しかし、やはり今までよりも強固だな」

「えぇ、全然違いますね」


(何か突破できる方法……)


常に動きながら頭をフル回転させ、いかにこの状況を打破するかを考える。


だが陽動するにも何もない砂漠のど真ん中で身を隠す方法はなく、別動隊は丸見えになるし、自分が人質になるという方法もなくはないが、そんなことをしたら間違いなくクエリーシェルが激昂して手がつけられなくなるだろう。


兵法は学んだとはいえ、実戦で用いることなどほぼなかった私にとってどれが最適解かわからない……と思ったところではたと気づく。


こういうときに使えるやつが一人いるではないか、と。


「ケリー様!ギルデルはどこです!?」

「ギルデルだと!?あいつは後方にいるはずだが」

「わかりました!ありがとうございます!!」

「リーシェ!?どこに行く!!……っく」


矢を避けつつ後方へ。すると、そこには暇そうにぼんやりと座り込んでいるギルデルがいた。リーシェは素早く馬から降りるとギルデルの元へ駆け寄った。


「ギルデル!」

「おや、リーシェさん。どうしました?」

「これを突破する方法を教えなさい!」

「えー、教えたら何かしてくれます?」

「お・し・え・な・さ・い!」


胸ぐら掴んで振り回すと、目を回すギルデル。顔をグシャッと歪めると今にも吐きそうなくらいの青い顔をしていた。


「強引ですね。そういうとこも嫌いじゃないですが」

「本当そういうのいいから。で、どうなの!?」

「そうですねぇ、兵法ご存知です?その中に方円(ほうえん)という陣形があるのですが、この状況だとそれが一番適切かもですねぇ」


(方円……!守りの陣形か)


方円というのは大将を中心として円になるように兵で囲む陣形である。全方位からの敵の奇襲に対処できる。もちろん移動には適していないが、ジリジリ進んで敵の懐まで突っ込んでから陣形を変えれば問題ないだろう。


(よし、これで突破できる)


1つ問題が解決しそうなことにホッとしつつ、もう1つギルデルには聞くべきことがあった。


「あと、首都への抜け道があるでしょう!教えなさい!」

「抜け道?はて、なんのことやら……」

「そうやってわざとらしくとぼけないでちょうだい。今緊急事態なのだから、そのまま喋らないと言うのであればこのままあの矢が降り注ぐ場所に捨て置くわよ!」

「随分と強硬ですね。わかりました、そこまで言うなら白状しましょう」


(やはり抜け道があったか)


ジャンスにあれだけの地下迷宮があったのだ、こちらにないわけがないと思ったがやはりあったか、と納得する。


しかもいざというときの緊急脱出用と考えると都市外に作ってる可能性もあると思ったが、それもドンピシャだったようだ。


「知ってたなら早く言いなさいよ!」

「聞かれていませんので」

「本当に嫌なやつね、貴方」

「お褒めに預かり光栄です」


どこまでも食えない男だと憤りながらも詳しく場所を聞く。


「そこまで距離は離れておりませんよ。ただ、残念ながら矢の射程距離範囲内なのでいささか危険が伴います」

「それはいいから案内して」

「ボクはよくないのですが」


キッと睨みつけると、やれやれといった様子で溜め息をつかれる。だが、この間にも命が散っているかと思うといてもたってもいられなかった。


「リーシェ!」


服装は乱れながらも無傷のクエリーシェルが戻ってくる。


「ちょっとギルデルを見ててください!シオンのとこに行ってくるので!」

「なっ!危険だろう!」

「大丈夫です。気をつけて行きますから!ただ伝えたいこと伝えるだけなので」


言うだけいって馬に跨がる。さすがのクエリーシェルもブライエ語が使えない自分が行っても伝達できないことはわかっているので、それ以上何も言えなかった。


「気をつけろよ!」

「はい!」


そのまま、私はシオンを探して再び矢の降り注ぐ戦場に突っ込んでいくのだった。

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