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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
6章【外交編・ブライエ国】

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24 囮

「[散開しろ!!!矢が降ってくるぞ!!!!!]」


シオンの声と共に頭上を見れば、無数の矢が次々とこちらに向かって飛んで来ていた。


「リーシェ!!」

「大丈夫です!」


素早く手綱を引き、矢が届かない範囲まで引く。事前にシオンが察知してくれたおかげで、まだ誰も死傷者などは出ていないようだった。


矢の本数的に恐らく20〜30くらいの弓兵がいるといったところか。弧を描いていた先を想定するに、矢を射ってきたのは先日の泉辺りだと推測する。


(あそこの規模だとそこまで大勢の配置はできないはず。となると本数もそこまでないだろう)


下手にこのまま近づいてもみんなが危険に晒されるだけだ。であれば、少しでもリスクは減らすべきである。


「[シオン!]」

「[何だ!?]」

「[囮役やるからあとよろしく!]」

「[はぁ!?お前、前線出ないんじゃなかったのか!?]」

「[囮くらいなら別にいいでしょ。大丈夫よ、近づかないし。矢を射るだけ射させてすっからかんにさせるから]」

「[おいこらバカ!お前が怪我してドヤされるのはおれなんだぞ!?]」


シオンの剣幕に、周りもおろおろし始める。その様子になんとなく察したらしいクエリーシェルに首根っこを掴まれた。


「リーシェ?何かよからぬことを考えてはいないだろうな?」

「えーっと、ちょっと囮に……」

「前線に出るなと言ってあるだろう!」

「前線じゃないです!囮ですから!」

「矢面に立つならそれは前線と言うんだ!!」


最もなことを言われて言葉に詰まるものの、そんなくらいでめげる私ではなかった。


「犠牲は少ないほうがいいですし、泉の位置は把握してますから大体の飛距離などもおおよそ見当つくので大丈夫ですよ。絶対に傷つかないと誓います!」

「はぁぁぁ、やっぱりこうなるか……」


クエリーシェルは大きく溜め息をつくとそのまま額を押さえる。一緒にいることが長いと必然と私の思考などお見通しのようだった。


「わかった、私も出よう。撹乱すればいいのだな?」

「えぇ、矢を全部射らせるつもりで。恐らく相手はそれほど用意はしてないと思いますので」

「わかった。いいか、くれぐれも前に出過ぎるなよ!」

「わかってますってば!」


はっ、と馬の胴を蹴って前に進む。そしてシオンの隣に馬をつけると並走しながら作戦を話す。


「[私とクエリーシェルが囮役やるので、相手が動揺している隙に一気に攻めてきて!]」

「[あーもう、わかったよ!お前達の隊もこっちが引き受ける!全く無茶苦茶しやがって……]」

「[大丈夫、シオンならできるでしょ?]」

「[そういうときだけおれを持ち上げやがって……]」

「[頼んだわよ!]」

「[おぅおぅ、せいぜい引っ掻き回してこい!]」


シオンからの許可も下りたのでそのまま前方の泉に向かって進む。そしてスリングを取り出し、大きく距離を取りながら回って様子を見る。


(1、2、3……うん、予想通り。さすがに戦争慣れはしてるから全方位に配置してる、か)


泉をぐるっと囲むように配置された兵達。そして、こちらに気づくや否や私やクエリーシェルに向かって弓を絞ってくる。


それを各々避けながら、わざと蛇行し寄ったり遠ざかったりを繰り返す。次々にこちらに向かってくる矢を見る限り、あちらが苛立っているのがよくわかる。


(わかるわかる。当てられそうで当てられないのって腹立つものね)


相手の心理を読みながらわざと苛立ちを誘うかのように挑発する。事前に用意しておいた小石をスリングにセットするとぐるぐると回しながら手前にいる弓兵目掛けて放っていく。


「よし、怒った」


さすがに威力が弱いとはいえ、自分達は当てられないのに当てられる、というのは釈に障ったのだろう。明らかに罵詈雑言を言ってこちらに怒り狂っているのが遠目から見てもわかった。


それに追い討ちをかけるかのように次々にスリングショットを決める。馬上とはいえ、慣れたもので百発百中、1人たりとも逃すことなく当てていった。


「ケリー様!猛攻来ますから、逃げるのにはお気をつけください!!」

「そっくりそのままリーシェに返すぞ!」

「大丈夫です!軌道読むのは得意なので!!」


言いながら師匠の棍を装備する。そして弧を描きながらこちらに向かってくる矢を払っていく。


最初こそ次々に矢が飛んできたが、だんだんとその量も少なくなってきた。そろそろジリ貧ではないかと、周りを見回しながら様子を伺うと、弓から剣に持ち替えているのを確認して、その予想が正しいことを確信した。


「[シオン!一気に攻めるわよ!!]」

「[言われなくても!]」


ドッと勢いよく走ってくる大群。それを受け構えようとするも、既に疲弊し苛立ちで思考が鈍っている状態では機転など利かせられるはずもなく。


シオンが攻め立てると総崩れになっていく帝国兵達を見ながら、ホッと胸を撫で下ろすのだった。

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