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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
2章【告白編】

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45 思惑

「では、話を整理させよう」


バラムスカに言われて、紙にペンを走らせる。そして、キーワードになりそうな言葉や物をピックアップしていく。


・転生計画

・呪術使い

・葡萄

・入れ替わる

・子


「君を孕ませる、と言っていたんだよね?」

「えぇ、まだ今のところ私は妊娠しておりませんが」

「君が聞いた部分を私なりに解釈した上での想像だが、転生、つまり父は生まれ変わろうとしているということだろうか。それを生贄か何かに私をしようとして、私になりすまそうとしていると。どういう理屈かは全くわからないが、反吐が出そうなほど不愉快極まりないな」


改めて省みると、本当に気持ち悪い。あの男が私に触れることすら嫌だというのに、まして私を孕ますだなんて。想像するだけで身震いし、吐き気をもよおす。


「マーシャルのことは必ず私が守るよ」

「バラムスカ様……」

「とにかく父が急いでいるようだと言うのなら、時間がない。まずは呪術を調べてみよう。何か転生に関係あるものが見つかるかもしれない」

「一応こちらで粗方呪術に関する本は調べましたが、該当するものはありませんでした」

「そうか、では見方を変えよう。ただ闇雲に呪術を調べていては見落としもあるはずだ。だから、呪術書だけでなく、子や葡萄が関係する書物を探せば良いのではないだろうか」

「そうですね、そうしましょう」


やはり自分だけではどうにもならなかったことが、彼と一緒ならどんどんと切り開ける気がした。この先に例え地獄が待っていようとも、私は彼と一緒なら乗り越えられると実感した。


そこから手分けして、バラムスカと私の二手に分かれて図書館で書物を探した。ただ、あまり図書館に通い詰めて変な噂を立てられてしまうと、皇帝に我々が何かしているのを知られる可能性が出てきてしまう。


下手にバレて、拘束されたり処刑されたりするのは避けたかった。そのため、なるべく人目がつかない時間帯、夜や早朝にまとめて調べることとなった。


もうあの庭園での出来事から1週間。いつ彼の計画の準備が終わるかドキドキしながら、あてもなく、寝る間も惜しんでの探し物はつらかった。


でも、どうしてもあの出来事は杞憂ではないと確信していたし、バラムスカもつらいだろうに、私を支えてくれたのでどうにか頑張ることができた。


「マーシャル、見つけたよ」


今日はバラムスカが調べる日、夜中に図書館へ出向いていた彼が、1冊の本を手に戻って来た。本のタイトルは『神話』だ。道理で見つからないわけである。


バラムスカが該当ページを捲る。そこには、葡萄は若さや復活の象徴であり、葡萄の実には子孫繁栄や新たな能力の開花、葡萄の蔓には輪廻転生と異界との交信、葡萄酒には魂の解放と書いてあった。


「呪術についての詳しい記載はないが、恐らくこれを呪術に使ってどうにかするつもりだろう。ちなみにペンテレアではこういった呪術を行ったことは?」

「いえ、今までそう言った類いのものは何も。あと、物というか動植物を使って呪術をするというのはあまり推奨されないというか……」

「ということは異端か禁忌な呪術ということか」

「そうですね。しかも転生だなんて」

「父の(げん)とこの書物を鑑みるに、私に乗り移って生きながらえようと言うことだろうか」

「!でも、そんなことが……!?」

「わからない。だが、実際に彼が求めているものが集まりつつあることは確かだ」


お互いに黙り込む。バラムスカが色々なことを考えてくれるのはわかるが、どれもこれも良策だとは言いがたいものだった。呪術の内容が眉唾物でも、何かしら私達に害があるのは事実。


バレス皇帝は目的のためには手段を選ばない人だ。だからもし転生できなかったとしても、その腹いせに何をするかわからない。バラムスカが殺されるかもしれないし、私が殺されるかもしれない。


(私達はどの選択をするのがいいのか)


バレス皇帝の望むままの未来を受け入れるか、それとも、何か彼の思惑と外れたことをするか。


「マーシャル」

「はい」


(私も覚悟は決めていた。何もしないまま、受け入れるのだけは嫌だ)


「父を、バレス皇帝を討とう」

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