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安宿暮らしの大魔王。~転移した大魔王は異世界を自由に楽しみます~   作者: ねこまじん
1部 3章 王都にて遭遇するものは~その2
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21話

 昨日の戦果はゴブリン20体、長身のゴブリン3体。

 長身のゴブリンはボブゴブリンという種類のゴブリンかもしれない。

 もしかすると生きているものもあるだろうが、今はあえてそのことは考えない。


 毒を使用し、捨て身で挑めば、タイムスタンプだけで格上相手に勝利できることが分かった。

 俺の損失はポーション6つ分のみ。討伐実績としては十分だ。もっとも、財宝の類は入手できてはいないので、戦果としては微妙だろう。


 ――冒険者として考えるならば、タイムスタンプを必要とする点で、パーティーを組むことは難しいが、ソロなら十分にやっていけるか?


 そろそろ冒険者ギルドに登録することを考えてみてもよいかもしれない。


 ところで、ゴブリンは女どもや、商隊から奪った財宝を抱えている。襲撃を受ける中、自由に動くことが難しい状況である。


 そういえば、昨日の戦闘の中で気になることがあった。それはボブゴブリンが名前で個体を識別していたこと。

 言語を理解し、互いを名前で呼ぶ魔物がいることを冒険者たちは知っているのだろうか?


 なんてことをグダグダと考えながら、昼間ではあるが、ゴブリンの大集落の場所の近くまで来た。


 傭兵団もゴブリンも消耗しているだろうが、それ故に、俺はそろそろ決着が近いと考えている。


 ―今はまだ特に動きはないようだ。




 一度(いちど)王都に戻り、冒険者ギルドに立ち寄る。

 俺は受付嬢に声をかける。


 「あら、いらっしゃい。」


 「デュエイに現れた盗賊団の討伐隊が組まれるという話を聞いたが、既に討伐隊は組まれた後だろうか?」


 「そうですね。既に参加するパーティーは決まっています。何か御用ですか?」


 「いや、俺は参加を予定しているわけではない。ただし、知り合いが参加するかもしれない。俺はそいつらのパーティーでポーターをやったことがある。そのパーティーは遥かな風という。」


 「テラさんですね。確かに遥かな風は今回の討伐隊に参加されるようです。金級冒険者ですから、今回の討伐隊の主力ですね。パーティーに何かご用件が?」


 「なに、荷物運びが必要かと思ってな。討伐はいつ行われるんだ?」


 もちろん、討伐依頼は冒険者しか参加できないことは知っている。俺が知りたいのは、ギルドによる討伐がいつ行われるのかということだ。


 「ええと、ちょうど3日後ですね。今回の依頼は銀級冒険者以上の冒険者しか参加できませんよ。」


 「そうだったな。ありがとう。」

 そう言って俺は冒険者ギルドを後にする。


 3日もあれば、冒険者ギルドが介入する前にケリをつけることができるかもしれない。





 そして、その日の夜。いつもの木の上とは違う場所。少し離れたところから、ゴブリンの大集落を見張っていると―


 「よお。また会ったな?」

 そう言って、この前の男が声をかけてくる。


 「・・・」

 俺は無言で剣に手をかける。


 「おいおい、そう警戒すんなよ。そうだな、俺は、いや俺たちは盗賊団ではないから安心しろよ?」


 「分かっている。傭兵だろう?」


 「なんだ、知っていたのか。お前はどこの冒険者だ?」


 「俺はソロでやっている。今はどこにもパーティーには属していない。」


 「なるほどな?それじゃ、あいつらに昨日大規模な襲撃をしたのは知っているな?」


 「ああ。お前たちの目的はあそこで捕らえられている女どもか?」


 「そうさ。あれらは元々俺たちのものだ。そらよ」

 そう言って、男は銀貨1枚をよこしてくる。


 「冒険者ギルドは討伐隊を組むのだろう?いつだ?」


 「3日後には金級冒険者が派遣される。それまでに取り戻さないとやっかいなことになるな?」

 俺は少し焚き付けてやることにする。


 「3日後・・・。そいつは急がないとな。」


 「そうしろ。ところで、やつら、ゴブリンに見えるが、人語を話す個体がいるのを知っているか?しかもそれぞれ名前で呼び合っているようだ。」


 俺は気になっていたことを傭兵に確認することにした。


 「ああ。だがそれは普通ではない。魔物は人語を話したり、名前を呼んだりしない。魔物のことは冒険者の方が詳しいのではないか?」


 「そうだな。だが、俺とてそこまで魔物に詳しいわけではない。」


 「どっちにしろ、俺たちの目的は、女どもとやつらが商隊から奪った財宝だ。」


 「好きにしろ。だが、冒険者が来たらどうする?やりあう気か?」


 「それまでに必ず仕留める。冒険者には悪いが、女と財宝は渡さない。」


 「ちなみに、俺が知る限り、ゴブリンどもは女どもにまだ手をつけてはいないようだ。」


 「―そいつは何よりだ。」

 ニヤっと笑い、男は去っていった

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