11話
翌日、俺は朝早く起きた。
安宿のホールで、追加で銅貨をいくらか払い、朝食を食べた。
朝食後はしばらく部屋でゆっくりし、日時計がほどよい時間を示したところで、俺は図書館に向かうことにした。
ギルドカードを見せ、大銅貨1枚の入館料を支払う。
入館料に応じて入ることができる場所が異なるらしい。大銅貨1枚でも一般向けの本を閲覧することはできるようだ。
――やはり広い。本がぎっしり詰まった本棚がおびただしくある。
これだけの広さだ。魔物の本くらいはどこかにあるだろう。
「すまない、魔物の本を探しているのだが。」
俺は受付にいる司書のような人に声をかける。
「魔物の本ですね。案内しますよ。」
俺はその司書について行く。
「こちらになります。」
見ると、魔物に関する本が、縦に並ぶ複数の棚があり、その一帯が魔物に関連する本のようだった。
「ああ。ありがとう。」
俺は一通り、棚の本をざっと見てみる。さて、どの本を読むのがいいのやら。
【魔物図鑑大全】という大きな本を手にとってみる。
辞書みたいに分厚いが、中には魔物の手書きの絵と、その概説が書かれてあった。
なになに?
――魔物と魔族の区別の仕方として、言語を話すかどうかという違いがある。魔物は言語を話さず、魔族は言語を話す。
ふむふむ。確かに、言語を話す魔物は見たことがない気がするな?
棚を見ると、【ゴブリン図鑑】や、【オークの肉】、【もしもオーガに遭遇したら】
といったように、それぞれの魔物の種類に焦点を当てた本も存在した。
―オークの肉?
おっと。気がそれたようだ。
今は【魔物図鑑大全】を読んで、あの魔物について調べることが最も重要である。
さて。どんな魔物か。俺はさっそくスライムの章を開く。
どれどれ。まずはスライム。やはりあんな水たまりのような魔物ではない。
ホーリースライム。これは聖光属性のスライムだが、神殿や神殿跡などに生息する。これも色と形が全く異なる。
ダークスライム。これは闇属性のスライムだが、形が全く異なる。瘴気を発する魔物でもない。
メタルスライム。倒すと何やら経験値が多く得ることができそうなスライムである。だが悲しいかな、そういった記述は書かれていない。
―やはりスライムではないのかもしれない。
図鑑の中には、絵が存在せず、形の描写と特徴の記載だけのものも数多くあった。
この本を読むだけでも一苦労だぜ、こりゃ。
ずっと同じ本を読んでいるのも飽きてきたので、竜のページをめくる。
ででーん、とでっかい絵にそれなりの分量の記述。この世界にも様々な竜が存在するようであった。
竜は人間属の守り神のような立ち位置から、魔族と手を結ぶ竜まで様々である。
以前の世界では、聖女の守り手として生きていた白いドラゴンがいた。
――こいつは非常に強力でかなりやっかいな相手だった。
そして、当然ながら、竜の章には、黒く瘴気を発する水たまりのような魔物の記述はなかった。




