7話
4日ほどして、昼頃、王都に着いた。
今回も特に襲撃などがあるわけでもなく、のんびりとした旅路であった。
「広い・・・」
思わず口をついたが、ベルフェンの街よりも更に大きな都であった。
ちなみに、乗り合い馬車を利用する場合でも、門番の前でギルドカードなどを提示する必要がある。
王都は、一般区画、商業区画、統治区画といった具合にその機能ごとに区画整理がされている。
分厚い無骨な外壁の内側に更に、堅牢な中壁がある。その内部は貴族たちが住まう区画になり、そこにまた白く彩られた内壁があり、中心に荘厳にそびえ立つ王城がある。そんな風になっているらしい。
――レオネリア王国。
それが、今俺のいる国の名前のようだ。
ベルフェンのギルドのおばちゃんの話では、デュエイの金鉱脈は、馬車でここから更に2日ほど南へ行ったところにあるようだ。
とりあえず、採掘師ギルドを探そう。
あてもなく歩いていると、とてとて、と可愛らしい女の子が寄ってくる。
随分と小さい。年のころは5,6歳か?
「お花、お花はいかが?」
可愛らしく声をかけてくる。
「む・・・いくらだ?」
「ぎんか1まい!」
元気な声で女の子は答える。
―ぼったくりじゃねえか!
「カワイ子ちゃん、ママかパパはどこかな?」
「え~、いないよぉ?」
目を逸らしながら女の子は答える。
―んなわけあるかい!
ちらっと袋の中を見ると、リアリトアの金貨が見えてしまった。
確かに、彼女であれば、にっこり微笑んで銀貨1枚を簡単に手渡すだろう。
―おお、神よ、この私に、銀貨を支払えというのですか。
「分かった。銀貨1枚な。」
「あんがと!」
そう言って、その子は。てとてとと、母親らしき人の元へ走る。
その女性は、俺にお辞儀をして去っていった。
―はあ。しかし、どこにあるのか採掘師ギルド。
そのまま少し歩いた先に。
――なぜかかすかに瘴気が溜まっている場所を見つけた。
大通りの道の端。少し日陰になったあたり。
「何だこりゃ?何かの痕跡・・・?」
魔道具か何かが使用されたのかもしれない。そんな魔道具があるかどうかは知らないが。
一旦、放置しておいて問題ない程度の量ではある。
そのまま素通りし、かすかな瘴気溜まりを通り過ぎることにする。
少しさっきの子どもが気になった。
そして、何度か人に聞きながら、ようやく採掘師ギルドにたどり着くことができた。
「こんちわーっす。」
採掘師ギルドに入る場合、何にも緊張することがないというのは素晴らしいと思う。
どこもよく似た作りで、よく似た人間がいて、同じような雰囲気である。
俺にとってとても好ましいことである。
「いらっしゃい。」
なぜかは知らないが、採掘師ギルドの受付は恰幅のよいおばちゃんが多い。
一方、冒険者ギルドの受付は綺麗なお嬢さんが多い。
採用基準などもギルドによって異なるのかもしれない。
「デュエイ金鉱に行くにはどうしたらいい?」
「ああ、金鉱ね、丁度今道は閉鎖されているよ。」
「え、何で?」
せっかくここまで来たのに?
「先週、道中で商隊が盗賊に襲われて全滅さ。今冒険者ギルドが討伐を募っているところさ。」
「・・・まじ?」
「まじもまじさ。」
「この辺りで他に採掘できる場所はないか?」
「ちょうど、ベルフェンの街まで馬車が出てるよ!金は採掘できないけどねぇ。」
「そのベルフェンから来たんだ。」
「おや、それじゃあ、ミネアの街まで行くかい?」
「ミネアの街は何が採れるんだ?」
「そりゃ、ミネア鉱山といえば、銅山さ。」
――何だか先ほどの瘴気溜まりが気になる。
決して銅山と聞いてモチベーションが低くなったわけではない。
一旦、採掘ではなく、瘴気の調査を行うのが先か?
ふーむ。
念のため聖水を購入しておきたいが、今神殿に行くのはあまり気が進まない。どうするか。




