2話
「―やっちまった。」
俺は思わず天を見上げる。
直前に目にした女。あれは最初に見たリアリトアと同じような恰好をしていた。
おそらく、聖騎士の正装。要するに、魔族を滅する任務を行う際に身に着ける正装である。
なんてことはない。つまり、俺は別の聖騎士にあっさり倒され、その結果、トアレの遺跡前まで転移してきたのだ。
あの魔法は炎熱魔法の類だろうか?ご丁寧に結界で周囲から隔離する魔法まで準備していたようだ。
とりあえず、転移してしまったものはしょうがない。ステータスメニューを見る。リアリトアの欄には緑色のマーク。
何かと使い勝手の悪い俺のスキル!
こいつを何とかしないといけない。
せめて、マジシャンのスキル回数を増やさないことには、何もできん。
今、ゴラムの町まで戻ったところで、おそらくリアリトアは既に聖王国へ連れ帰られていることだろう。
緑色のマークが付いているので、彼女は今は安全な状況といえる。
しかし、黄色、あるいは赤色になった場合、今の状況ではどうすることもできない。
どうすりゃいい?しばらく考えているが、ひとつ、やってみる価値のあることを思いつく。
あのロケットペンダント。あれは以前の世界での持ち物。
ポケットに入れていたと思ったら、いつの間にかどこかへ行っていたもの。
―あれが見つかったのはトアレの遺跡ではなかったか?
それに俺がスキュラによって倒した魔族は、確かにあの時、トアレの遺跡のより下層から登ってきた。
あの遺跡にはまだ俺の知らない何かがあるに違いない。
そこに行けば、俺のスキルの手数を増やすことができるのではないか?
幸い、トアレの遺跡は枯れた遺跡だ。深い階層でも探索可能だろう。
そう思い、トアレの遺跡を見る。
―誰かがいる気配はない。
少し前までは聖騎士や神殿騎士が封鎖していたらしいが、今はそんな気配もしない。
おそらく、リアリトアを発見した段階で騎士たちは引き上げたのだろう。
「既に俺とリアリトアを見つけていたのか。」
とはいえ、今手持ちはほとんどない。
せめてポーションくらいは持っておきたいものだ。
―まずはそのための金を多少なりとも稼がなくては。
採掘師ギルドカードもどっかいってしまったが、銅級のギルドカードであれば再発行を依頼できるかもしれない。
そう思うと、すぐにトアレの山まで出発するのだった。




