12話
果たして、件の森にたどり着いた。
といっても、ゴラムの町からすぐのダンジョン脇の森なので、ゴラムからそんなには歩いてはいない。
町からはほど近い場所にある。
それらしい低木を探していると、ガサゴソと何か聞こえてきた。
「外敵は俺が相手をする。リアはディアナと一緒にいろ。」
「分かった。」
――草をかき分けて出てきたのはゾンビだった。
「ゾンビですって!?」
ディアナが叫ぶ。
「どういうことだ?」
たかがゾンビじゃないのか??
「倒すには、聖光魔法か、炎の魔法、それがなければ、聖水が必要よ!」
なるほどな。確かに、スキルが使用できない俺では対応が難しいかもしれない。だが。
「一応、戦ってみるぜ!」
「ストレングス、マッスルパワー、パワーアップ!」
いつもの魔法を唱え、ゾンビに切りかかる!
―ぬちゃ。
む?手応えなし?すると、ゾンビが再生していく。
「まじかよ・・・」
今度はゾンビが襲い掛かってくる!ゾンビは剣をこちらにふり降ろしてくる!
「うらぁ!」
俺は何とかパリィを決める。もちろん即席の我流のパリィだが、上手くいったようだ。
相手の態勢は崩すことができたが、逆にこちらの態勢も崩れてしまう。
すると、そこに猛烈な勢いでゾンビが嚙みついてくる!!
――バシュッ
気が付くと、ゾンビの上半身が吹っ飛んでいた。
ディアナはびっくりした様子でこちらを見ている。
リアリトアは反対に、落ち着いた様子でこちらを見ている。
俺は誰が魔法を使用したかは分かってはいるが、ほとんど無動作で魔法を放つことができるとは。
「大丈夫!?」
ディアナが駆け寄ってくる。
「ああ。」
「すごいじゃない!あなた、聖光魔法を使用できるの?勇者の素質があるわよ?」
「いや、たまたま持っていた聖水を剣に振りかけていただけだ。」
といって、袋から取り出した空瓶を見せる。これは既に飲んだポーション瓶である。
「あら、ポーション瓶じゃない。神殿から聖水を入れて貰って来ていたのね。」
「そういうことだ。」
そして、リアリトアの方に向かい、小声で、
「すまん、助かった。」
「うん。」
と、小声で返事が来るのだった。
一旦俺たちは森の入り口まで戻ってきた。
「―それにしても、ゾンビねえ。」
ディアナが言う。
「何か問題があるのか?」
「ゾンビが沸くということは、ここに人の死体があったということよ。」
「つまりは、何らかの事件が?」
「事件だけとは限らないけどね。面倒なことになったわ。」
そう言ってディアナは顔を曇らせる。
「あのゾンビ、剣を持っていたぞ。依頼主の貴族が誰か他の冒険者に頼んだとかそういったことはないのか?ゾンビはその冒険者じゃないのか?」
「可能性としてはあり得るわね。調べてみなければ分からないわ。」
「あら?あなた剣で切ったわりに、このゾンビの服はきれいね?」
「ああ、うまく処分することができたようだ。」
よく見ると、きれいに服は残した状態で、ゾンビの上半身だけが吹っ飛んでいた。
冒険者が見ると、明らかに剣で切ったとは思えない状況だが、幸いディアナは冒険者ではない。
「これは・・・やっぱり冒険者かしらね?」
ディアナがゾンビを見てそんなことを言う。
よく見ると、それなりに防御力の高そうなチェーンメイルを着ているようだった。
俺は黒鉄のプレートを手に取る。
「どうする?ギルドに報告するか?」
「・・・そうするしかなさそうね。あなたも付いてきてもらえる?」
「しょうがない。だが、リアは帰らせる。」
「―私も大丈夫だよ。」
いつの間にか近くにいたリアリトアが、少し口をとがらせてそう言う。
「ダメだ。今は我慢してくれ。」
リアリトアの肩を優しく掴んでそう言い聞かせる。
「んぅ・・・」
不満そうだ。そう睨むな。
「たかが冒険者ギルドに行くだけだ。大した用事ではない。」
俺は小声で言う。
「危なくなったら言ってよ?」
「ああ、分かっている。」
「ディアナ、冒険者ギルドで待っていてくれないか?俺は先にリアを送っていく。」
また金曜日からの週末に複数話更新予定です!




