2話
「ーで、お前は何だ? 俺以外のやつがどうしてここにいる? 」
俺を縛っていた光輪は既に消えている。
「まあ待て、話し合おう。」
俺はそう言いながら、スキルを使用する。
―マジシャン
何度も使えない貴重なスキルであるが、出し惜しみはしない。切り札の使いどころは、今を差し置いて他はない。
男は先ほどの杭を俺に向かって投げつける。
しかし、マジシャンのスキルは既に発動している。俺の体は霧状になり、杭が俺を当たることはない。
さっきの女に対する攻撃よりも随分と手ぬるい。
―さては油断したな? 「Scylla」
現れたのは、たとえ不死の存在であれ問答無用に打ち砕く、巨大な目玉。
これまでに数多くの敵を打ち砕いてきた異形。
「なんだ・・・?」
ーー男がその巨大な目を見たときには。
「ぎっっっ!がっっっ!!!」
男はそのまま砕け、砂になった。
辺りを見ると、真っ二つにされた女の死体と、干からびた騎士の死体。
干からびた方は残念だが、真っ二つの方は助ける手段がないわけではない。
こいつらが誰なのか見当はつく。だが、いかんせんまだ情報が足りない。
俺の「マジシャン」のスキルは、発動中、サブスキルとして、様々な魔法生物を作成することができる。
そして、己の眷属も作ることができるのである。
「眷属作成。」
女の体が修復されると同時に、体が黒ずんでいく。このままでは女も魔族となるだろう。
そうなってしまっては、女の生前の意識など、どこへやら。それでは意味がないのだ。
そこで俺は、
「リバース」
これは人間属であった闇の眷属を人間属に戻す、ぶっとんだものである。
闇の眷属の時のような俺への忠誠はないが、その代わり以前と同じように人間としての意識を保つことができ、対象に【魅了・弱】の状態が付与される。
このスキルは「マジシャン」のスキルを1つ変換することで発動する。
つまりマジシャンのスキル使用枠が継続的に使用されることになってしまう。
―まあぶっちゃけコスパがいいとはいえない。
こいつは昔俺がとある目的のために探し、追い求めたものだが、ついぞ使用する機会がなかった。
今の俺は、「ソルジャー」のスキル1、「マジシャン」のスキル1、をアクティブスキルとして保有している。
「ソルジャー」のスキルは「タイムスタンプ」に変換している。
このリバースを使用することで、実質的に魔族としてのスキルは「変装」と「タイムスタンプ」のスキルしかない。
・・・もう1つあるんだったわ、「アナライズ」。
とりあえず、この「リバース」の使用によって、あたかも人間のように見え、他人の好感度を測定することができるだけの、不滅の変態紳士(魔族)が爆誕するわけだが、致し方なかろう。
今の俺には何よりも情報が必要だ。
俺は意識のない女を担いでダンジョンを出た。




