15話
「あなたは採掘師? 今までどんな敵と戦ったことあるの? 」
最初に質問するのは、リーダーのアンナのようだ。
「イモムシオバケやゴブリン、それにオークだな。」
「カラタン山を越えたの? 」
「いや、オークの方がゴブリンの森までやって来ていたのさ。」
「なるほど・・・。今までダンジョンに潜ったことは? 」
「いや、ないな。」
「そう。対人戦の経験は? 」
「盗賊と戦ったことはある。といっても倒したのは冒険者の魔法だが。俺は詠唱の時間を稼いだにすぎない。」
「そう。でも十分ね。」
「ダンジョンにも盗賊が出るのか? 」
「可能性としてなくはないわ。もし盗賊が出たら、悪いけど、しばらくは自分の身は自分で守ってもらう必要があるわ。」
「技能や魔法はもってないの? 」
今度はカトリーナが質問する。
「筋肉魔法が使える。あとはポーション中毒にならない。」
「筋肉魔法? ストレングスのこと? 」
再びアンナが訊ねてくる。
「ああ、ストレングスも使える。」
「それ以外にもあるの? 」
「ああ。マッスルパワーとパワーアップだ。」
「・・・何それ? 全部筋力向上のパフをかけるの? 」
アンナが不思議そうな顔をする。
「そうだ。」
「どう思う? サリア」
「おそらくは採掘師をやっている間に身に着ける魔法なのかしら。私たちはあまり筋力をトレーニングすることがないから、詳しくは分からないわ・・・。」
「ポーション中毒にならないの、いいね。」
カトリーナがそう言う。
「ああ。大抵はポーションを飲んでおけば何とかなるからな。」
「・・・ところでよ、にいちゃんよ。俺と手合わせしないか? 」
ロロが楽しげに気に口を開いた。
「ダメよ!大事なポーターに怪我させちゃうわ!」
アンナが慌てるようにして言う。
「ええ~、でもよ、にいちゃん、俺と同じストレングスが使えるんだろ。」
「ダメよ。冒険者と採掘師とじゃ使える技能や魔法に差があるわ。」
「ちぇっ」
「あたしがやろっか? 多分そんなには怪我させないはずだよ!」
カトリーナが元気な声でそう言う。
「そうねえ。でもテラに悪いわ。」
アンナがどうする? といった表情でこちらを見る。
俺はため息をつく。
「・・・分かった。冒険者は血の気が多い人間が多いようだ。次のギルドの面談の後でよいか? 」
「ええ。面談の結果は問題ないわ。ギルドでまた会いましょう。」
3日後。冒険者ギルド地下訓練場にて。
冒険者ギルドの地下には、模擬戦などを行う訓練用の施設がある。
決してカトリーナは体格が大きいなどといったことはない。そして、アルたちと同じくらいの年齢に見える。
しかし、相手は、俺なんぞとは違って、腕の立つ冒険者であるようだ。手ごわいことは間違いないだろう。
―だが!今はこんなでも元は最強だったはずなのだ。まだまだ負けんぞ!
と無駄に気合を入れる。
この経験は、冒険者相手に戦ったことのない俺には、冒険者の実力を体感することのできるチャンスでもあるのだ。
俺は模造刀を手に取る。
「準備はいい? 」
カトリーナはそう言う。
「ああ。」
決闘などとは違って立会人はいない。
だが、「遥かな風」以外に、ちらほらと、冒険者だろうか、見物人がいる。
「じゃあ、いくよ。」
ぽーん、ぽーん、とこちらに飛び跳ねてくるカトリーナ。
―来るなら来いやぁ、ごらぁ。
―――と。
凄い速さで木の小刀を繰り出してきた!
「っっっ!!」
慌ててカトリーナの放つ小刀に何とか剣を合わせる。
一撃を放ち、すぐさまカトリーナはその場から離れる。
「・・・へえ。」
何かの技能だろうか? 今の一撃はとても小柄な女性の一撃とは思えなかった。
「ストレングス!マッスルパワー!パワーアップ!」
「もう一度、いくね!」
またも、ぽーん、ぽーん、と飛び跳ねてきて、凄い速さで剣を振ってくる!
「おりゃあ!」
俺はまたしても何とかカトリーナの小刀に剣を合わせる。
するとどうだろう?
カトリーナはその場でクルッと回り、肩を目掛けて蹴りを入れてきた!!
―腕!ガード!!!
ボキィ
―オーマイガッ
腕がイカレやがった。
あれをあと一撃食らうわけにはいかない。もしロロとやっていれば、きっとトアレの遺跡までひとっとびだったな。
「テラ!」
思わず、アンナが叫ぶ。
パーティーリーダーからしたら、ポーターを怪我させて何をやっているのかという話だろう。
「ふっ。大丈夫だ、問題ない。」
―ポーションさえあればな。
俺はおもむろにポーションを取り出す。そしてそれを飲む。
「・・・さあ、今度はこちらから行くぞ。」




