14話
「いらっしゃいませ。」
背の高い、ダンディな店主が声をかけてくる。
「ああ、このハープティーをもらえないだろうか? 」
「承知しました。ご一緒に茶菓子などはいかがですか? 」
「茶菓子もあるのか? ではそれも追加でよろしく頼むよ。」
「かしこまりました。」
特に何もするでもなく、ゆったりとした時間が流れていく。
携帯電話などもないので、待っている間、適当に外の景色を眺めることにする。
ベルフェンの街に比べて、このゴラムの町の人の往来はまばらだ。
そういえば、ベルフェンの街はベルフェンという貴族が治める街だったようだが、このゴラムはどうなのだろう?
「マスター、この辺りは誰が治めているんだ? 」
「ゴラム子爵ですよ。」
「ダンジョンの管理もゴラム子爵が? 」
「ダンジョンの管理は冒険者ギルドに一任されていますね。ただ、ダンジョンに入るためには一定の税金が必要です。」
「なるほどな。」
「ええ。失礼ですが、あなたは冒険者ですか? 」
「いいや、採掘師だ。」
「そうでしたか。ダンジョンにご興味が? 」
「ああ。今度ポーターとして潜ることになりそうだ。」
「なるほど、ポーターですか。」
「この店にも冒険者がよく来るのか? 」
「そうですね。女性で冒険者をやっておられる方など、多くのお客様に贔屓にして頂いております。」
そんなこんなで適当に時間を過ごしていたとき。
――カラン、カランと音がして店の扉が開く。
「こんにちは、マスター。」
冒険者と見られる一団が店にやってきた。
「アンナ、ここが例の喫茶店? 」
アンナ? どこかで聞いた名前だ。
「ええ、そうよ。ここのクッキーは最高なのよ。」
「へええ。ベルフェンのいつものお店よりおいしいの? 」
「クッキーに関していえば、そうね。」
何やら華やかな声が聞こえてくる。
アンナという名前が聞こえたので、もしかすると「遥かな風」というパーティーかもしれない。
「他のみんなは来たことあるの? 」
「もちろんよ。」
ちょうど注文を終えたタイミングで声をかけに行ってみよう。
「すまない。ちょっといいか? 」
俺が声をかけると、
「・・・何か? 」
女性陣が一斉にこちらを見る。プレッシャーはんぱないぜ。
「君たちのパーティーは、遥かな風というパーティーに間違いないか?」
「そうよ。」
先ほどアンナと呼ばれていた、赤くて髪の長い女性が返事をする。
―かなり強そうだ。
「俺は銀級採掘師のテラという。冒険者パーティーでポーターを請け負ってきたんだが、今度ギルドで面談予定になっていたはずだ。」
「ああ、そういえば。メンバーの紹介をするわね。まず、私はリーダーのアンナよ。剣士をやっているわ。」
赤い髪が特徴的な比較的背の高い女性である。凛々しい顔立ちをしていて、髪の毛を切ると、美男子に見えそうだ。
「この子が魔法使いをしているサリア」
サリアと紹介された女性は軽く会釈をしてくる。
青い髪の小柄な女性が返答する。魔法使いらしくとんがり帽子と、縁が金の高級そうな黒いローブを着ていた。
「こっちはカトリーナよ。新しくうちの斥候をしているわ。」
「よろしくね!」
黒い、いや深い緑色の髪でやはり少し小柄な女性が元気いっぱいに返事をする。先ほど店の話ではしゃいでいた女の子である。サリアと同じくらいの年に見えた。
「こちらは、マリアよ。うちの専属神官よ。」
「よろしくお願いしますね。」
少し背の高い、金髪の女性が返答する。ウィズも着ていた神官の服だ。その服には神殿の紋様が詩集されていた。柔和な女性という印象である。
「そして、こっちがロロ。重戦士をしているわ。」
「よろしくな。」
その女性はニカッ笑い、手を差し伸べてくる。
―獣人。虎のような。かなり大柄の女性。ごつい剣を持っている。これは迫力があるな。
「ギルドでまた会うことになるだろう。その時はよろしく頼むよ。」
そう言うと、俺も手を出し、互いに握手をする。
「待って。どうせならここで面談をやってしまいましょう。みんなも問題ないわよね? 」
アンナがそう言い、遥かな風の一同が頷く。




