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12話

 時間をかければ不利になるのを悟ったのか、盗賊どもは一斉に襲い掛かってくる!


 ―筋肉魔法の効果が切れかけている。もう一度使うしかない。


 「ストレングス!」「マッスルパワー!」「パワーアップ!」


 その瞬間、再び力がみなぎってくる!

 それなりに効果が持続するとはいえ、この魔法はかけた瞬間が一番強い力が出るのだ。


 「うおおおおおおおおお!!」

 被弾を恐れず、剣をふりまくる!!!

 

 体術とデタラメな剣技は俺の前世からの得意な戦闘スタイルである。

 途中何度か切られるが、気にしない。皮の鎧は既にボロボロだろう。


 剣をがむしゃらに振るう間に、ルイナのフォローが適格に入り、少し距離があく。


 キュポッ

 俺は予め用意しておいたポーションを2本ほど一気に飲み干す。


 「ファイアーボール!!」 

 1人に直撃する。


 ―後3人。

 見ると、ミーシャも杖をついてかなり辛そうである。

 ファイアーボールが使えるのも後1回くらいかもしれない。


 「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

 もう一度、しゃにむに、剣をふりまくる。

 何の流派かなんてあったものではないが、これが一番効果的なようだ。


 対する盗賊は、適格に俺の剣の空いた隙を攻撃してくるが、どうにか急所には当たらない。


 「ウグッ」

 そうこうしているうちに、ルイナの矢が盗賊の急所に直撃する。



 ―後2人。

 いつの間にか俺のHPも残りわずかなところまで減っていた。正念場だろう。


 「・・・ポーションだ。」

 更に俺はポーションを2本ほど飲み干す。


 「ちょっとあなた!」

 ルイナが叫ぶ!


 「問題ない。ストレングス!マッスルパワー!パワーアップ!」


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 さらに俺はとんでもなく剣を振り回す。


 「何もんだてめえ!」

 盗賊も少し(おび)えた様子でこちらに向かってくる。


 「ファイアーボール!!!!」

 そして盗賊2人を片付けるのであった。


 アルの方を見ると、ちょうど盗賊の頭目を倒すところだった。





 タムはもはやボロボロだ。

 ウィズが今度はタムの回復に追われているようだ。


 ミーシャの魔力が枯渇したのか、へたりこむ。かなり辛そうだ。


 ルイナは手の震えが止まらないようだった。


 俺は筋肉魔法のおかげか、今は元気だ。しかし、魔法の効果がきれると、ひどい筋肉痛に襲われそうだ。


 剣をしまい、パーティーの誰も欠けていないことを確認すると、採掘師のいる馬車へ戻る。


 振り返ると、ルイナがミーシャにポーションを飲ませるところだった。


 おそらくはマナポーションというやつだろう。通常のポーションに比べて随分と高価な一品だ。




 

 「―無事か? 」


 アルが未だ気を抜かない様子で、ルイナとミーシャに声をかける。


 「・・・ええ。」


 「前衛は彼が? 」


 「そうよ。ポーションを4本も飲んでいたわ。しかも短時間で。倒したのは、ほとんどミーシャだけどね。」


 「タンクとしての才能が? 」


 「・・・あれは才能とは言わないわね。ただ強化魔法を唱えて、剣を振り回していただけ。でも、おかげで随分と助けられたわ。」


 「強化魔法か。そういえば彼は採掘師だったはずだ。しかしよく中毒を起こさなかったものだ。」


 「もしかしてそういった技能なのかも? ポーションを飲むのに迷いがなかったわ。」


 「後で彼にお礼を。」


 「そうね。・・・ポーションをあげると喜ぶかも? 」


 「ははは、それもそうだな。」




 その後、アルがこちらに来て、マナポーションと、ハイポーションを渡してきた。

 そして、簡単に礼を言われた。


 採掘師たちは「ヒュー」と口笛を吹くが、俺にその手の趣味はなかった。




 そしてその夜。


 「うぬぬぬぬ、これは ――筋肉痛!!!」


 今までの疲れとひどい筋肉痛に、今日はもうさっさと休んでしまうのだった。

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