第39話 宴会すんで日が暮れて
宴会が良い感じにどんちゃんどんちゃんと荒れて参りました。
俺はというと、不良キッチンメイドさん二人に絡まれて、綺麗どころの配膳メイドさん二人の方に行けなくて苦悩している所です。
まあ、不良メイドさんたちも良いんだけどさあ、配膳メイドさんたちは可愛いからね。
「やろう、リュージのくせに生意気な」
「もっと呑め呑め」
「あばばばば」
今世では宴会というとお祭りぐらいだったので、気軽な飲み会は初めてで嬉しい。
前世の職場の宴会みたいだね。
ファミレスのキッチンの仲間たちは元気だろうか。
俺が急に死んでしまって、シフトは大丈夫だったかな。
それが結構心残りではある。
「次は肉料理作れ肉料理」
「そだそだ、すげえやつ」
「あはは、考えておくよ」
酒場の話題は領館の噂話となり、騎士どもがマヨネーズを取り合って喧嘩してるとか、いろいろな現場の話が聞けた。
で、出てくるのがフリッツさまと謎の粉の話だ。
「今の所謹慎だけど、やっぱヤバイ粉だったようだぜ」
「本当ですか」
「錬金術師に鑑定を頼んだらしい、魔物由来の遅効性の毒で一発有罪だとか」
「マジですか、本当にお嬢様を暗殺?」
「ああ、フリッツさまはボナンザ一家に博打の借金があって、子爵位を継いで返済するってえ約束をしちまったそうだ」
「それで、レシピを肉ばっかりにして」
「おうよ、そこへ、我らがホープのリュージがスダラマッシュで飛びこんできて、どうやら毒が中和されたらしい」
「へ?」
スダラマッシュにそんな効能が?
「錬金術師が笑ってたよ、偶然だが毒を吸着して体外に排出する効能があって、それでお嬢様は元気になられたらしい」
「うおお、さすがはリュージだぜっ」
「にゃろう、やるなあ」
「い、いや、偶然ですよ」
「ケルシャ漬けも体に良いそうで、錬金術師さんが褒めてたよ」
「いやいや、そんな」
偶然なんだけど、体に良かったのか。
それはなんだか嬉しいな。
隣の席のフードを被った女の人がこっちのテーブルに入って来た。
だ、だれ?
「そーだ、私はリュージくんの料理に凄く感動した、マヨネーズも美味い!」
「あ、錬金術師のパオラさんじゃないですか」
「そうだ、私こそ、たまたま隣で飲んでたパオラ・パヴァロッティであるっ」
フードを下ろすと妙齢の女性の顔が現れた。
錬金術師というからお爺さんかと思ったのに、若いのに大学出なんだなあ。
「よろしくなあ、リュージ氏、錬金の用事があったら声をかけてくれー」
「はい、よろしくお願いします」
これは面白い伝手ができたな。
今は特に必要が無いけど、希少な薬品とかがいる場合彼女に頼めるな。
「パオラがリュージを狙っている」
「いる」
「なんだー、馬鹿メイドのファビアとミレーネじゃんかー」
「お知り合いですか」
「幼なじみ~」
「領街狭いから~」
そうなのね。
領街の路地裏で少女時代一緒に暴れたのであろうね。
「そうすると、もう、フリッツさまはお終いか」
「さすがに、もう目は無いだろうなあ」
「毒は不味いよ、レシピを工夫して不健康にするのも何だけど、毒は証拠が」
「領館で監禁か」
「分家のキッチンに送られるかなあ」
「厄介な奴が居なくなって清々したぜっ」
「ほんとにあいつエロくてなあ、子供メイドにまで粉かけやがってよう」
「子爵家の高貴な血を分けてやろう、とか言ってたが、いらん、そんな血は」
「本当に子爵家の血、継いでたのか?」
「あー、真相は藪の中だなあ、パオラ、そういう判定の薬品ねえの?」
「有るけどさあ、まあ、使われないかなあ、色々とばらすとヤバイ真実はどこの家でもあるからさ」
貴族の家も色々大変なんだなあ。
「まあ、フリッツさまが居なくなって、リュージが入って来て、これからは楽しそうだな」
「領祭だ領祭、スダラマッシュとケルシャ漬けにマヨネーズ掛けた物を出店で出そうぜ」
「わはは、地味だけど、売れそうだ。肉串とかと一緒だと美味しそうだな」
「マヨネーズに合う肉料理を開発しろ、こら」
「焼肉にも合うんだが、なんかしっくりしねえんだ」
「何か無いのか」
あるけどまあ、どうするかなあ。
領祭で出すか、秋の村祭りまで待つか。
鶏の唐揚げは絶対受けるんだろうけど、油の消費量が馬鹿にならないからなあ。
魔豚を倒して、ラードを取りだして、それでジュワッと揚げる。
お祭りの肉串は魔豚が多いから、祭り前にはラードは入手出来そうだけどなあ。
わりとみんなベロンベロンになって領館に戻った。
俺の両隣はずっと不良メイドさんで嬉しいのだが、なんというか、うむ。
「今晩はあたしの部屋に来い、リュージ」
「駄目だ、あたしの部屋だ」
「同室だろ、おまえら二人」
「いいんだよ、雰囲気だ雰囲気~!!」
「ばらすなよ、ロッカめ、それだからモテねえんだっ!」
エールで酔っ払った女の人は元気で可愛いけど、あつかいずらい。
不良メイドの二人だから、まあ、からかっているのだろうけどね。
その晩は、料理人の六人部屋の空きベットに泊めてもらった。
ああ、楽しい夜だったなあ。
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