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僕、仕事が増えました

「では、カオルちゃんには新作ゲームのテレビCM二本にゲームキャラクターのモデルをお願いします」


「社長、キャラクターですが、デフォルメは極力控えて頂いて……」


皆さんこんにちは。CMの面接に来た筈が放置状態の薫です。面接は無事合格、採用される運びとなったのですが、お仕事の内容が大幅に変更となりそうです。


テレビCM一本の予定でしたが、現段階でテレビCM二本にゲームキャラクターのモデルはほぼ確定。社長と長門さんの会話では更に増えそうな気配です。


「世界観を前面に打ち出してだなぁ」


「いや、そこを敢えてスク水で行くという手も……」


向こうでは榛名室長と二人の専務が、不穏な会話を繰り広げています。まさか、僕がモデルをするキャラクターにスク水を着せるなんてしないですよね?


「長門さん、キャラクターのカードは一種類だけですか?着せたい衣装が多すぎて、カード化する衣装を決められません」


「スク水は旧型でお願いします!出来れば白スクも作成していただけると……」


ちょっ、長門さん反対するどころか、スク水の種類を増やそうとしてる?!


「榛名室長、何枚増やせる?」


「開発室全員を徹夜させてカオルちゃんカードを作りましょう。なに、文句なんか言わせないですよ。開発室一同、倒れてもやり遂げてみせます!」


気炎をあげる榛名室長。徹夜って、労働基準法とかは問題にならないのか?


「では、取り敢えずこの内容で。イベントなどの出演に関しては、別途契約ですが優先してお願いしますよ」


「ふふっ、了解です。カードの出来、楽しみにしてますよ」


長門さんと社長の契約も終わったみたいだ。でも、イベント出演とか言ってるけど僕は何をすれば良いのかさっぱり判らないんですが。


「CM撮影の日程は早めにお願いしたいのですが?」


「今ならカオルちゃんの予定はありません。なので、そちらの都合に合わせますわ」


「おいっ、サスケハナの予定を確認しろ」


社長の指示を受けた霧島専務がタブレットを操作します。


「明後日なら押さえられます。すぐに押さえますね」


「少々急だが、明後日お願いします。私も立ち会いますので」


明後日には初の撮影です。一日空くのはありがたいですが、欲を言えばもう少し覚悟を決める時間が欲しかったです。


「社長、私も開発の責任者として立ち会います!」


「室長はカードデータ作成で忙しいだろう、現場は私がキッチリ見ておくから、安心して社で仕事をしてなさい」


あっさりと却下され、崩れ落ちる榛名室長。専務二人も羨ましそうに社長を見てるけど、同行出来ないと悟ってか何も言いません。


「では、本日はこれで失礼します」


「長門さん、カオルちゃんには期待してますよ。明後日の撮影が楽しみですよ」


金剛社長と長門さんは固い握手を交わし、僕らは会議室を後にしました。エレベーター脇の受け付けに来客の証を返却し、エレベーターで地下駐車場に降りました。


「あっさり決まって、追加の仕事まで順調にとれたわね。これから忙しくなるわよ」


「採用されたのは嬉しいですけど、一本CMに出ただけでは仕事なんてそんなに来ないのでは?」


実際、テレビCMで見た子役なんてそうそう覚えたりはしません。かなりヒットした商品やCMならば別ですが、注目されているゲームだからといってそこまでになるとは思えません。


「カオルちゃんのインパクトは強いから。まあ、CMが流れれば嫌でもわかるわよ」


面接が予定よりも遅くなった為、この日は直接家まで送ってもらいました。


明日は武蔵芸能で撮影に関しての心構えや仕事の仕方を勉強します。一日の付け焼き刃で、ちゃんとこなせるかなぁ……


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