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Our Story  作者: NeRix
水の章 第二部
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第七十一話 優しさ【シロ】

 輝石が本当の力を取り戻した。


 女神様・・・種はどんどん芽吹いています。

ちゃんと育てますから、花開く時を待っていてください。



 山小屋の中がいい匂いで満たされていく。

ニルスの作るシチューのおかげだ。


 「ねえチル、やっぱり座って勉強とかもしないといけない?」

「なんで?」

「え・・・だってシロはそうやって使い方教えてくれたよ」

「そんなのいらないよ」

ミランダとチルは向かい合って真面目な話をしている。

ちゃんと教えないでどうするつもりなんだろう?

 

 「使い方の記憶は全部あげる・・・」

「え・・・」

ミランダとチルが額をくっつけた。

やってくれる・・・。


 「わかった?」

「ん・・・なんか変な感じ、色んなことがたくさん頭の中に入ってごちゃごちゃしてる・・・」

「なんでシロはこれしなかったんだろうね」

チルが僕を見てきた。

ちゃんと理由がある・・・。


 「女神様に許可を貰わないといけないって思った。ずっとそうだったでしょ?」

「え・・・たしかに前はそうだったけど、今は大丈夫だよ。これくらいなら許してくれるんじゃないかな」

「そうかもしれないけど・・・」

女神様に会った時に聞いておけばよかったな。

 あ・・・でも聖女を作って魔法を伝えさせたし、こういう事態だからいいのかな?


 本来、僕たち精霊から人間に力や記憶を渡すことはしちゃいけない。

世界が沈んだ時は例外で色んな記憶を渡していたけど、それも終わったからまったく頭に無かったことだった。

 

 「それに、守護はイナズマが渡したんでしょ?」

「そうだけど、女神様が渡していいって言ったからだよ」

「ほら見なさい。緊急事態だからいいの」

「う・・・」

なんか言い負かされた気分だ。

でも僕は間違ってない、女神様もそう思ってるはずだしね。


 「おおー、見てチル。結界の形変えられるようになったよ。ん・・・ほら、守護で階段も作れる・・・でも保つのは・・・きついな」

ミランダは貰った記憶をさっそく試した。

たしかに色んな理はこの方が早い・・・。


 「使い方、技術はこれで大丈夫、あとは記憶に体が追い付くように何度も繰り返すの。それに強度と持続力も鍛えるからね」

「わかった、ありがとう。チルみたいになれるように頑張るよ」

「・・・」

チルは口元を変な形にして照れている。

褒められて嬉しい時の癖だったな・・・。



 「じゃあミランダには元気を付けてもらわないとな。チルも一緒に食べようね」

「あ・・・ありがと」

「今日は北部の白いのだけど、次は南部のを作ってみるね」

ニルスは張り切って作ったシチューを一番最初にチルに渡した。

おいしいから早く食べてみてほしい。


 「あはは、チルは小さいから器が大きく見えるな」

「いい匂い・・・食べていいの?」

「ちょっと待って・・・まだ熱い、火傷・・・はしないか。あ、こぼしたら大変だ。膝になにかかけよう」

なんだかニルスはいつもと違う。チルと妹のルージュを重ねているのかな。

 

 「じゃあニルスの隣で食べる」

「え・・・うん、いいよ」

チルはすっとミランダから離れた。

ニルスとも仲良くなりたいんだろう。



 「わあ、おいしい。お肉も野菜も柔らかーい。ラッシュが作ったのは堅いんだよ」

チルは幸せそうに笑った。

 「よかった。チル、口元が汚れたから拭くね。パンもちぎってあげる」

ニルスもなんだかゆるゆるな顔だ。

ルージュにもこうなるのかな?


 「・・・シロにもけっこう甘いけど、チルにはそれ以上ね」

ミランダが勝手におかわりをよそっていた。

 「たぶんさ、あれがお兄ちゃんしてる時の顔なんだよ。・・・ちょっと怖いけど」

「え・・・怖いの?」

「いちいち口元拭かれちゃたまったもんじゃないって。・・・過保護すぎ」

「まあ・・・チルは嬉しそうだし」

僕たちがこんな話をしていても、ニルスにはまったく聞こえていない。

今の姿は見てておもしろい・・・。



 「やっぱりきのうまでと暖かさが違うわね。かいてきー」

ミランダはいつの間にか下着だけになっていた。

きのうまでの僕は役立たずだったから、こうやって暖めてあげられるようになって嬉しい。


 「チルはああいう恰好しちゃダメだよ」

「なんで?」

「はしたないから」

「・・・うるさいニルス、早くお風呂準備してよ」

はしたないか・・・あれがミランダの普通だから、僕はなんとも思ってないんだけどな。


 「ねえ、その傷痕はどうしたの?」

チルが当たり前の疑問を聞いた。

まあ、そりゃ気になるよね。

 「ちょっとジナスにやられちゃったのよ」

ミランダは平然と答えた。

もうニルスの前であっても問題ない話題だ。


 「え・・・ジナスに・・・」

「そう、でも次はこうならない。それに・・・ニルスがいつかなんとかしてくれるんだって。ね?」

「もちろんだよ。必ず消す方法を探す」

「ふふん」

ミランダは本当に嬉しそうだ。

あれからすぐに打ち明けられてよかった。


 『なんかこれのことで変な空気になるの嫌なんだよね。・・・ニルスは全部自分のせいとか思ってるみたいだけど』

二人で温泉に入った時、ミランダは傷痕を指でなぞりながら言った。


 『うーん、人間の女の子ってそういうの気にするものじゃないの?』

『そうね、やっぱり綺麗でいたいっては思うよ。もう、そうじゃないけど・・・』

まばたきをした目は潤んでいた。

 『でもこれのせいでニルスがあたしに気を遣ってるのがわかる。・・・命を助けてもらったのに、この傷もなんとかならないかな・・・なんて、欲張りだよね・・・』

『悩んでるのはよくないと思うよ。全部ニルスに話したら?』

『今はそれどころじゃないでしょ・・・』

次のまばたきで雫がこぼれた。

いつもと違って弱々しい話し方だったな。


 『気を遣ってるのはミランダもそうでしょ?さっきは断られたけど、いつもなら無理にでもお風呂に誘ってたんじゃない?』

『・・・うん、そうだと思う。シロだけじゃなくてニルスも一緒がいいんだ。それにニルスが気にしないなら、二人の前では今までみたいに着替えたりしたいのよね・・・』

『それなら早いうちにミランダが何を考えてるか話した方がいいよ』

『そうだね・・・ありがとうシロ。・・・ところであんたの体、どうなってるのか見せて』

ちゃんと伝えられたみたいでよかった。

もう二人とも変に悩むことはないだろう。



 ミランダはお風呂が済むと瞑想を始めた。

ニルスは・・・。


 「コウモリくんは、昔失くした大切なものを探しています。わたしたちも一緒に探すよとルージュが声をかけました。ですがコウモリくんは、自分だけで見つけたいと断りました」

チルに本を読んであげている。

僕も一緒だけど・・・。

 「それほど大切なものはいったいなんなのでしょう。それに、そんなに大切なものをどうして失くしてしまったのか。兄妹はコウモリくんに・・・」

ニルスは読むのをやめて顔を上げた。


 「どうしたの?続き読んでよ」

「・・・風が強いなって思って」

夕食が済んだくらいから少しずつ吹き始めていた。

 「どんどん強くなってる・・・」

山小屋の外は、雪ととても強い風、もう寒くはないけどきのうまでのことを思い出すと震えてしまう。


 「・・・吹雪いてるけど、こういうのワクワクするよね」

ミランダがりんごをかじりながら言った。

いつの間に瞑想をやめたんだろう・・・。

 「実は・・・オレも楽しい。外は極寒の世界なのにここは暖かい、シロとチルもいて安全だからってわかってるからなんだろうね」

へえ・・・どんな感じなんだろ。


 「ねえねえ扉開けてみるからさ、チルとシロは暖かいの一回やめて」

「わかったー」

「え・・・待てミランダ、ふざけるな!」

僕が興味本位でちょっとだけ輝石を外した時、ミランダが開けた扉から冷たい風と雪が入ってきた。

・・・寒すぎて全然ワクワクしない。


 「バカ、何てことするんだよ!せっかく暖かかったのに・・・」

ニルスが震えながらミランダを引っ張り、扉を勢いよく閉めた。

 「くー寒い」

「下着でなにやってんだよ・・・」

「こんな時は・・・ニルス、ミルクあっためて飲もうよ」

「・・・自分で冷やしたくせに」

僕も人間だったら、ニルスと一緒に怒ってただろうな。


 「ミルク?ねえニルス、ミルクを温めるとおいしいの?」

「チルは飲んだことないの?」

「うん、ラッシュのとこにはお酒しかないもん」

「たしかにそうだったね・・・」

ニルスがまたお兄ちゃんの顔になった。

 「オレが作ってあげるよ。チルとシロのは甘くするね」

「楽しみー、チルも一緒に作りたーい」

チルもニルスがお気に入りみたいだ。

僕は早く部屋を暖めてあげよう。



 「チルは甘い方がいい。次のはもっとお砂糖入れて」

チルはミルクを一気に飲み干した。

ゆっくり味わってほしいな・・・。


 「あと一杯だけだよ。あんまり飲み過ぎると・・・精霊だったな」

「あたしもう寝るね・・・シロ、ふかふかの暖かい毛布出して・・・」

「ベッドを作るよ。よく休んでね」

「あ・・・ありがとシロ・・・おやすみ・・・」

ミランダは一杯だけ飲むとすぐ横になり眠ってしまった。

明日からの修行もあるからな。


 「ジナスは人形を千体作れるけど、二人もそうなの?」

ニルスがチルにおかわりを渡した。

真面目な話って感じじゃなくて、なんでもいいからお喋りしたいって顔だ。


 「千はすぐに作れるよ。でもチルは全部動かすことはできない」

「僕も・・・そうかな」

あいつの力は僕らよりずーっと上なのは間違いないことだ。

 力は無尽蔵に使えるけど、できることとできないことの差は認めなければいけない。だから僕たちは協力して立ち向かうんだ。


 「かなり違いがあるんだね」

「・・・心配?」

ニルスは立ち向かうことを決めた。

不安なのは一緒に戦う僕たちのことなのかもしれない。


 「あいつがいる場所に辿り着けたとして、目の前で千の人形を出されたら・・・勝てない・・・」

そういうことか。でも僕が力を使えるなら・・・。

 「問題ないよ。人形なら何体いようと僕が消す」

「消す・・・そしたら戦場もすぐに終わるってこと?」

「うん、一瞬で終わる」

「・・・すごいな」

戦場の広さなら余裕で全部凍らせられる。

だけど・・・。

 「でも、できれば戦場ではおとなしくしていたいんだ。・・・あいつの結界の中で力を使えること、対峙するまで知られたくない」

「・・・たしかにそうだな。不意打ちだからその方がいい」

状況による・・・でもなるべくはそうしたい。


 「先にイナズマのとこ行っとけばよかったのにね」

チルがミルクを一口飲んだ。

・・・そうなんだよね。

 「なんとかするから心配しなくていいよ」

「でも・・・気配を探ったら結局バレるんじゃないのか?」

「たぶん大丈夫だと思うんだ。この前、あいつの声が聞こえた時には全部の結界が消えていた」

「なるほど・・・。使えても不思議じゃない時にできるわけか」

絶対とは言えないけど、ほぼそうなると思う。どっちだとしても、あいつはこっちが転移で攻め込むことを知らない。だから確実に奇襲はできるはずだ。


 「少し、安心した・・・オレももう寝るよ。明日から本格的に鍛えて、もっと強くなるから・・・」

ニルスは穏やかな顔でミランダの隣に潜り込んだ。

大丈夫だよニルス、次は僕も戦うから・・・。



 ニルスとミランダから寝息が聞こえてきた。

僕とチルは、今の内にやることがある・・・。


 「速い・・・たしかに勝てるかも・・・でも、またおんなじことされたらどうするの?」

まずはチルにジナスとの記憶を渡した。

 「そうならないようにする。アリシア・・・お母さんと仲直りできればいいんだよ」

「イナズマは本当に期待してるの?」

「うん、ちゃんと記憶も渡した。それでも信じてくれてる」

「・・・わかった。ごめんねシロ、チルは・・・どうしても行けない」

チルは不安そうな顔で俯いた。

それも大丈夫なんだけどな。


 「心配しないで。精霊封印・・・僕も使えるようになるんだ」

「え・・・」

「チルから貰ってって女神様に言われた」

だからチルは気にしなくていい。


 「精霊封印は・・・女神様とチルとジナスだけのはずだよ。どうやって渡せばいいの?」

「僕だけはできるんだって。まじわる時に・・・」

これであいつの力を少しでも抑えることができる。

 「まじわってる時に渡せばいいのね?」

「うん。だから・・・」

「わかった。なんか久しぶりだね」

チルが抱きついてきた。


 僕からは、今渡せるだけの愛を・・・。



 太陽が顔を出す頃、吹雪はすっかり止んでいた。

空に雲は無く、とっても気持ちいい青空が広がっている。


 「ふー・・・かなり力がつきそうだ」

ニルスは楽しそうに雪を集めて山を作っている。

ミランダたちのために、朝早くから山小屋の周りの雪をどけてくれてもいた。

 遊んでるようにも見えるな・・・。でも『手を出さなくていい』っても言ってたから、鍛錬・・・なのかな?


 「守護の強さは思いの強さ。守りたいって気持ちだよ」

チルとミランダも修行に入った。

僕も様子を見させてもらおう。


 「雪崩も止められるってことは・・・チルはこの土地がとっても好きなんだね」

「好きだよ。・・・ここは風脈の源。風が集まってまた流れる場所・・・心を世界に飛ばすのがチルの役目。女神様がここはチルの場所って言ってくれたんだ」

その通りだ。でも飛ばすのは、雨雲とかもなんだけだな・・・。


 「じゃああたしは、シロとニルスを守れるように強く思うよ」

「シロが教えたみたいに体力、集中力、精神力も大事。人間は疲れがあるからチルたちみたいにはいかない。でも、素質のあるミランダなら大丈夫だと思う」

「大丈夫、全部うまくいくようにするよ」

ミランダは僕に教わっていた時と同じように真剣な顔だ。

 思いはとても強いけど、器がまだ歪・・・。だから僕やチルが整えていけばきっとできるようになる。


 「じゃあやってみよ。ニルスーこっち来てー」

チルがニルスを呼んだ。

 「わかったー」

いつの間にかとても大きい雪山ができていて、その頂上にニルスは立っていた。

 「早くー」

「うん、すぐ行くよ」

ニルスは大きな山から跳び、僕の目の前に音も立てずに着地してみせた。

 オーゼの所でもそうだったけど、僕がつららを飛ばすのと同じくらい速い。ジナスの左腕を落とした時は胸が震えたな・・・。


 「シロ、今からニルスにつららを撃って。ミランダは守ってあげてね」

いきなり実践するみたいだ。

もっと段階的にやるのかと思ってたけど、そうでもないんだな。


 「ニルスはミランダを信じて何もしないでね」

「大丈夫、信じてるよ」

そうは言っても撃つのは僕なんだけどな・・・。

 「五本くらい一気に。殺すつもりで」

「・・・わかった。撃つよ」

「ミランダ」

「うん」

ミランダが手を伸ばし、結界でニルスを包んだ。

始めた頃の壁が布だとしたら、今日のはまだ薄いけど鉄って感じだな。



 「く・・・」

五つのつららがニルスに風穴を開けようと宙を走り、邪魔な結界とぶつかった。

 「やるじゃんミランダ」

「と・・・当然よ」

僕のつららはニルスを守る結界に五本とも弾かれ、食器が割れるような音を立てて砕け散った。

でも、これだけで結構辛そうだ・・・。


 「ね、難しくないでしょ?」

「うん、できた・・・ニルスを守れたよ」

「たった一度でそんなに喜ばないで。せめて百のつららを百回防いでから」

「うん・・・そうだね」

たった一度、それでもここまでできるようになったのは驚きだ。

きっともっと頑強なものになる。


 「あとね、ニルスとやってた殺気を浴びながらってすごくいいと思うの。今からできる限り、ずっと殺気を当ててあげて」

「ずっと?」

「うん、胎動の剣で斬られても平気にならなきゃいけない」

きのうまでは瞑想の時だけだった。

チルは僕より厳しいな・・・。


 「ん・・・慣れないな・・・寒いのもあるけど体が震える・・・」

「チル、ずっとはさすがに辛いと思うよ。オレも経験あるけど、かなりキツい」

「大丈夫・・・あたしはそれでいい。守るって・・・言ったでしょ?」

「ミランダ・・・わかった」

ニルスのを当てられるのは本当に辛いだろうな。

僕も気を張っていないと竦んでしまいそうだ・・・。



 二十日が過ぎた。


 「もっと集中して、殺気はまやかし。跳ね返すくらいもうできるはず」

「うん・・・これでも慣れてきたのよ。シロ、もう一回」

初めは食欲も湧かなかったミランダが、少しずつ元気になっていった。

そして、守護の強度も上がっている。


 「じゃあ、ミランダは休憩。シロ、ニルスに人形出してあげて」

「うん。ニルス・・・今日はどうする?」

「オレでいいよ。できるならもっと重い攻撃してくるように」

ニルスも頑張っている。

 「わかった」

「さあ来い・・・オレ」

作ったのは、僕の記憶から作ったニルス本人の人形だ。

これが一番修行になるらしい。


 

 それからまた二十日が過ぎた。


 「ニルス、疲れたでしょ?明日から殺気は出さなくていいよ」

ミランダが夕食をおかわりしているのを見てチルが言った。


 「やっとか・・・」

「あたし何度もニルスに殺される夢見たのよね・・・毎回怖くて飛び起きた・・・」

「う・・・もしかして嫌いになった?」

「あはは、なるわけないじゃん。感謝してるよ」

なにをされても仲間への信頼は変わらないんだろうな。・・・僕もそうだ。


 「・・・チルのことも嫌いになってない?」

チルは自分も心配になったのかミランダを見た。

ふふ、気にしなくていいことなのに。

 「どうしてそう思うの?」

「きびしいこと・・・たくさん言ってるから・・・」

「ふーん、あたしはチルのこと大好きだよ」

「・・・本当?」

「ほんとだよ」

ミランダがチルを頭から抱き寄せた。

偽りは無い、チルもわかっているはずだ。


 「厳しく言ったのはシロとニルスを守ってほしいからでしょ?でも・・・あたしにはとっても優しく聞こえたよ・・・師匠」

「・・・チルも、ミランダのこと大好きだからね。でもまだ・・・修業は残ってるからね」

ミランダから離れたチルの口はまた変な形に曲がっていた。


 女神様が蒔いた種ではないけど、ミランダもその一つなんだと思う。

そして、もう芽吹いている。実を結ぶのはそんなに遠い日じゃない。

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