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ダンジョンのある日常~とあるテイマーかく戦えり~  作者: 那田野狐
異世界のある日常

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第79話 クラン結成に向けて

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告・いいねありがとうございます。

 ダンジョンに潜れる人数は6人である。

 古典と呼ばれるRPGでの編成もそうなっている。もっとも、ダンジョンの道幅では前衛は3人が限界である。なら、中衛や後衛を増やせばいいとなるが、人数が増えれば楽になる反面、成長速度が遅くなるという問題が発生するようになり、データの集積と分析の結果、パーティーは6人が最適となった・・・という訳ではなく、単にダンジョンの最初からある謎仕様だったりする。パーティー編成が出来るけど6人までね。と。

 実際6人以上がパーティーを組んでダンジョンに潜ることは出来るけど、6人+αという扱いとなり、パーティーだと起こるモンスターを倒したときに起こる経験値の均等分配が起こらなくなるのだ。

 ただ、この規制のようなものも開拓者が一万人を超え、上級ダンジョンの下層が攻略された辺りでバージョンアップされる。

 パーティーは6人までというのはそのままに、60人までレイドが組めて、生き延びれば均等に経験値が分配されるという機能が搭載されたのだ。

 なぜこの機能が搭載されたのか?それは上級ダンジョンの下層の仕様が関係しているというのが現在の見解だ。

 上級ダンジョンの下層は通路はともかく玄室では十体以上のモンスターが出現するようになったからだ。

 複数パーティーによるアタックの推奨。これを機にパーティー同士がレイドを行うクランが結成されるようになる。

 ちなみに鬼ヶ島ダンジョンでのレイドは開拓者ギルドが主催するクランに一時的に所属するという形で行われている。

 ただ、確認したいことするには問題がある。

 クランは立ち上げ時に最低10人のメンバーを用意しなければならない。

 田中さんは協力してくれそうだけど・・・


 結局、この事を相談したら二つ返事で引き受けてくれることに。

 後日、実験に協力してくれるJ隊の人を連れて来てくれることになった。



「美里ちゃん!私怒ってマス」


 学校に登校したら、茶髪ポニーテールのギャル風少女の冬山心(ふゆやまこころ)ちゃんの頬が膨れていた。


「どうして異世界の話をしてくれないのデス!」


 ヤバい。心ちゃん本気で怒っています。


「守秘義務といいますか、開拓者ギルドから外部に漏らしたらダメって言われてました」


 世界的に報告事例のない人に近い亜人さまですよ?簡単に表に出せませんって。


「初お披露目までにこっちに情報を流す時間とかあったでしょ!」


「いや、守秘義務って言ったよね?」


「せっかく後方軍師面するチャンスだったのに!」


 いや、それってどうよ?


「ねぇ。他に何か無い?」


 心ちゃんはずいっと顔を寄せる。


「そ、そうだね・・・」


 スペースから銅貨を取り出す。


「10円?じゃないわね・・・外国の貨幣?」


 心ちゃんはじろじろと貨幣を見つめる。


「異世界の通貨だよ。価値はあんまり無いけど」


「ほへぇ?」


 心ちゃんが何か物凄く慌てたように銅貨を扱う。


「まぁ、500枚ぐらいあるから」


 そう言って次は銀貨と金貨を取り出す。


「で、これが銀貨と金貨。貨幣としての価値はないから、同じ重さの金属塊だね」


 そう言って心ちゃんの手の平の上に一枚一枚置く。


「お?なんだなんだ」


 スポーツ刈りで細目でへの字眉の同級生の男の子赤虎隆司(せきこりゅうじ)くんが声をかけて来る。


「異世界の話だよ」


「ああ、九竜が引き当てたアイテムのヤツか」


 隆司くんはぽんと手をたたく。


「ほら、これ」


 心ちゃんは自分の携帯を取り出し隆司くんに自分のサイトを見せる。


「おぉエルフ・・・」


 まぁ、物語通りというか、エルフって美形よね。


「九竜は異世界でエルフと知己を得ているのか・・・いいなぁ」


 隆司くんはうんうんと唸る。


「そうよ。異世界に行けるのは美里だけなの?扉だから人数行けるんじゃないの?」


 鋭い質問です。さて・・・


「ノーコメントで」


「それも守秘義務?」


「仮に複数人数が行けるとなったら、自分パンクするまで輸送係ですよ」


 まあパンクはしていないけど、輸送係はしているんだけどね。

 これも当分明かせない秘密だ。

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