第50話 ボス部屋に突入する前に
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「わんぉ!わんぉ!」
疾風が楽しそうに槍を振っている。そして周りの視線を集めている。
どうやら、ドロップ品から階層は浅いが上級ダンジョンではないか?という噂が広がっているらしい。まぁそう言われても仕方ないドロップ品ではある。
「階層上がるぞ!」
伝令と話し込んでいた胸鎧の男性が宣言する。
どうやら4体いた階層守護者が全て討伐されて最上階への扉が開いたらしい。そしてどの階層守護者でも金箱が出てそれぞれ一級品のものが出たらしい。
ただ問題は、どの階層守護者とも激戦を繰り広げた結果、最上階にアタックするパーティは全部で20も居ない。あと、最上階には最大2パーティ12人しかアタック出来ないことが判った。
最終ボスは赤いオーガジェネラルとその取り巻きのオーガ4体。取り巻きのオーガは階層守護者らしく、それぞれ青、緑、黄色、桃色のオーガ。桃色のオーガは女だ。
斥候として飛び込んだパーティリーダーの「戦隊モノかよ!」という声が冗談でも何でもないほどの連携で、あっという間に開拓者パーティを殲滅したらしい。
情報が取れたのはドローン様々であるが、同時に絶望感も支配した。それほどまでに階層守護者は強い。
もっとも、唯一の救いとしては、攻略するかこちらが全滅まではボス部屋がリセットされないとボスから明言されたということ。それなら人海戦術で攻略出来る可能性がある。
今回は無理でも次回。もっと高レベルの開拓者を揃えればなんとかなる・・・というのが開拓者ギルドの見解らしい。
つまり、自分たちに課せられた新たな任務は、ボス攻略を進めながら可能な限り情報を引き出す事。身代わりの護符があるとはいえ死んでこいとは惨い命令だ。
契約にないと抗議したけど、緊急クエストに切り替えたと取り合ってもらえない。
攻略組の悲哀である。今後は二度とやらない!
なお生産組はとっくに撤退した模様・・・
散々ゴネた結果、自分は最後にアタックする権利を得た。その最後の組として一緒に入るパーティのリーダーである戦士の岡部強さんがミーティングから帰ってきた。
「攻略出来なくてもギルドへの貢献ポイントは通常の倍出すって」
岡部さんは笑顔で決まったことを説明する。ギルドが無茶をするなら相応の対価を払えと。ついでに身代わりの護符の代金ももぎ取ってきたらしい。ただ、報奨金の増額までは無理だったらしい。まぁ、開拓者ギルドも営利団体だから金を奮発するより腹の痛まない貢献ポイントなんかで誤魔化したのだろう。
つぎに作戦について話が進む。
こちらは状況がリセットされないことから、取り巻きの四天王を確実に潰してあとは人海戦術でオーガジェネラルを倒すことになった。
ドロップ品はボスを倒したパーティの総取りとなった。
「漁夫の利になれば良いのですけど・・・」
「まぁ、我々にお鉢が回って来ることが無いことを祈りたいですね」
岡部さんは笑う。俺たちが倒す!ではない人で良かった。互いに戦う方針が違うと連携し辛いからね。
「いざ戦いになったら、うちの紅桃が先頭に立ちますので、遊撃をお願いします」
「了解だ」
岡部さんは頷いた。
最初の2パーティが最上階のボス部屋に突入する。元気満タンのオーガたちを相手に奮闘し、桃色と緑のオーガが討ち取られたことで順調に進むと思われたが、ここからオーガたちは連携を見せるようになった。
黄色が補助魔法と回復魔法を使い、青が攻撃魔法で支援。ジェネラルが肉弾戦でパーティを攻撃した。
オーガが回復魔法を使ったというのは驚きというより、敵は回復魔法が使えるのズルくね?と声が上がったけど、このくらいの理不尽は許容範囲と誰かが叫んだら静かになったのは面白かった。
まあ、ダンジョンの規模に比べるとオーガジェネラルのボスといいモンスターの質が高いのよねこのダンジョン。




