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ダンジョンのある日常~とあるテイマーかく戦えり~  作者: 那田野狐
ダンジョンのある日常

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第34話 原爆ドームダンジョンその4

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告・いいねありがとうございます。

「きぃ」


 ハーフインプが嬉しそうにクルクルと自分の周りを回る。正直言うとダンジョン内でのモンスターの行動ではない。が、心当たりがある。

 テイムが成功しそうなモンスターの「仲間になりたさそうに見ている」状態だ。

 ペンタントちゃん以外に知り合いのハーフインプというのはいないし、恐らくこれがペンタントちゃんのコピー体だろう。


「テイム!」


 スキルを行使するのと同時にハーフインプは光に包まれ、ペンタントちゃんに吸い込まれた。


「マスター。ありがとうございます。誠心誠意お仕えさせて頂きます」


 ペンタントちゃんはぺこりと頭を下げる。


「あ、あぁ。今後とも宜しく?」


「では、本来の私の力をお見せ致しますね♪」


 ペンタントちゃんはクルクルと杖を回して、ピシッとエンジェルに向ける。


「常夜の光よ来たれ!ブラックサンダー」


 ペンタントちゃんが呪文を唱えるのと同時に杖の先端から黒い何かが迸る。


「ぎゃ!」


 黒い何かの直撃を受けて、エンジェルがポトリと落ち、魔石となって消える。


「一撃か・・・」


「今まではコピー体に力を分けていましたので、融合した分、強くなりました」


 てへぺろとしながらペンタントちゃんは説明する。へぇそうなんだ・・・まぁテイムが難しいモンスターだから、テイムしたことのボーナス的なものかもしれない。


「やっぱりハーフインプはペンタントちゃんのコピー体だったか」


 残るエンジェルを倒した隆司くんが笑いながらやってくる。


「ペンタントちゃんがテイム出来ただけでも自分の今回の目標は達成だよ。ありがとね」


「いいって事よ。知り合いのパワーアップは俺たちにも利がある」


「そういうことだね」


 隆司くんに続いて心ちゃんも同意の言葉を告げる。まあ、ペンタントちゃんは種族特性としてジョブが魔法使いなら属性魔法以外に光と闇の魔法も覚えて行使が出来るからレベルが高くなるなら歓迎だ。


「さて、今日の目標である第25階層まであと少し、油断せずに行こう」


 隆司くんの言葉に気を引き締めて、歩き始める。


「今日は第25階層まで降りて休息。午前中に降りれるまで降りて、第30階層の転移陣で帰る・・・で、いいかな?」


「「いいよ」」


 隆司くんの提案に自分と心ちゃんが答える。今回、魔石にドロップアイテム。ざっと計算したところ三人で頭割りして、武器や防具のメンテナンス費用をさっ引いても十万ちょっとの利益がある。帰ってもいいだろう。さっさと第25階層を目指す。

 ちなみに、上級ダンジョンには25階層ごとに休憩階層と呼ばれる階層が存在する。そして、第50階層と第100階層、お尻が0の階層にはボス部屋が存在するけど、ボス部屋は基本的に隔離されているので、イレギュラーが発生しない限りは安全だったりする。


「原爆ドームダンジョン第25階層へようこそ」


 第25階層に到着するなり、天使・・・恐らくミドルエンジェルの上位種であるアークエンジェルであろう白い羽の人物が出迎える。


「私はこの階層の主任であるアークエンジェルのシオンと申します」


 ぺこりと頭を下げるシオンさん。


「階層主任?」


「はい。この階層にはモンスターが湧きません。しかし、だからと言って安全でもありません」


 隆司くんの問いにシオンさんはそう答える。ドローンで画像という証拠が残りやすいとはいえ、開拓者同士のいざこざがなくなることはない。

 スリ、置き引き、詐欺、傷害、恐喝に窃盗。地上で起きる事はダンジョンでも起きる。最初にドローンを破壊したら、どこにも証拠は残らないということは犯罪者でなくても知っていることだ。


「この階層で睡眠を取られる開拓者はそれなりに居ます。当然、治安の問題も発生します。我々は睡眠を必要としませんから、ここでの治安活動を担っています」


 そう言ってシオンさんが向ける視線の先には巡回中であろうミドルエンジェルがサスマタを両手に抱えパタパタと飛んでいます。


「休息ですが、結界外は無料で結界内では一パーティーで一泊三千円かかります。結界内にはパーティーメンバーしか入ることはできません。如何しますか?」


 シオンさんは笑顔を崩さずいう。


「結界内。一泊でお願いします」


 相談することなく即決です。ダンジョン内の安全は多少高くても買えるなら買え。我が家の教えです。

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[一言] >相談することなく即決です。ダンジョン内の安全は多少高くても買えるなら買え。我が家の教えです。  至言ですわ。  ここでケチって命を落としました〜なんて笑えないですもん。
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