11/10 停戦
~1:10 ロシアのMi-24ハインド攻撃ヘリがアルメニア領内で撃墜された。2名死亡、1名負傷
~1:20 ロシア国防省がヘリ撃墜を確認
~1:40 ロシアの第31旅団がナゴルノカラバフに向かう。同時刻、ロシア外務省はより積極的に停戦に介入すると声明を発表
~2:20 アゼルバイジャンがロシア軍ヘリへの誤射を認める
~3:10 カスピ海でロシア軍機の活動がこの時刻の一時間前から急増
~3:50 ステパナケルトに空襲
~5:00 アルメニア首相が停戦声明に署名した
~6:00 停戦合意発効
~6:10 アルメニアがイスカンデル戦術弾道ミサイルを発射?
~7:10 アゼルバイジャンの首都バクーに弾道ミサイルが着弾。実際はもっと前と思われる
~7:40 アルメニアの国会議事堂に、停戦に反対する市民が詰めかける
~9:30 アリエフ大統領がパシニャン首相を挑発
~9:50 アルメニア議会の議長は集まったアルメニア市民らに車から引きずり降ろされ、暴行を受ける。同時刻、パシニャン首相の事務室に抗議者が詰めかける
~10:05 ロシア軍の平和維持部隊がアルメニアのゴリスに到着。ここからナゴルノカラバフまでは6~7km
~10:40 アゼルバイジャンは戦勝パーティー状態
~10:50 アルメニアのパシニャン首相「戦況を鑑みれば他に選択肢は無い。我が軍がアゼルバイジャン軍とトルコ、テロリストの連合軍に敗れたことを認めねばならない」
~11:00 ロシアが平和維持軍を配備
~14:50 アルメニア側から、実際には7日にシュシのコントロールを失っていたと発表
~16:10 アルメニアの市民の一部がパシニャン首相の自宅から物を盗んだ
~17:40 アルメニア国会議事堂周辺の市民は半暴徒化
~17:50 ナゴルノカラバフの停戦ラインに平和維持軍として展開するのはロシア軍のみとの情報
~19:10 アルメニア国会議事堂内で抗議と説明が行われている。抗議者は叫んだり叩いたり物を投げたりと暴徒化しそうな勢い
~20:00 ロシア戦闘機がシリアに空爆。ロシアとシリアの戦闘は、当然だが続いていく
~21:30 アルメニア国会議事堂の前で抗議集会
停戦条件
1.戦闘は真夜中に停止
2.アゼルバイジャンはアグダムを領地として10/20より回復
3.1960人のロシア平和維持軍がナゴルノカラバフ(のアゼルバイジャンとの近接ポイント)とラチン回廊に配備
4.ロシア部隊はアルメニア軍がこれら地域から撤退するのと同時に配備される
5.ロシア平和維持軍はまず5年間配備される。その後、特に発表などがなければさらに5年間延長される。
6.停戦監視センターが設立される
7.アルメニアとアゼルバイジャン両サイドは、現在までに握っているポジション(領地)を維持する
8.アルメニア軍はさらにKalbajarとLachinからも撤退し、ラチン周囲5kmをロシア部隊に渡す
9.ラチン回廊を使ってナゴルノカラバフのアルメニア人がナゴルノカラバフ・アルメニア間で安全に暮らせる計画を3年以内に計画する
10.アゼルバイジャンはラチン回廊を使った全ての往来に関して安全を保証する
11.全ての避難民は故郷へ戻る権利を有する
12.捕虜交換と帰還も保障される
13.アゼルバイジャンによってコントロールされるエリア、及びアルメニア、ナヒチェバン間の経済活動を目的とした車両の安全な通行は保障される
14.ナヒチェバン(アゼルバイジャンの飛び地)とアゼルバイジャン本国を陸路で繋ぐルートが作られる
15.この条約の破棄には6ヶ月前に事前通告が必要
11/10時点での双方の損害累計 (映像や写真で確認できるもののみ)
アルメニア
戦車×183、装甲戦闘車両×44、歩兵戦闘車両×43(+1)、装甲回収車×4、自走対戦車ミサイル×3、けん引砲×147(+1)、自走砲×19、多連装ロケットランチャー×72、迫撃砲×16、自走対空砲×1、地対空ミサイル×26(+2)、携帯式地対空ミサイル(MANPAD)×2、弾道ミサイル×1、対ドローンシステム×2、電子戦車両×1、早期警戒レーダー×12、航空機×1、トラック、ジープ×451、ハリボテ×5、対戦車誘導ミサイル×52、無人機×6、弾薬庫×2、指揮所×4、軍事基地×8、ラジオマスト×4、貯蔵庫×5、空港、軍病院一つずつ
アゼルバイジャン
戦車×31、装甲戦闘車×13、歩兵戦闘車×32、迫撃砲×1、工兵車両×1、航空機×12、無人機×28、トラック、ジープ×31、多連装ロケットランチャー×3、弾薬庫×1
総評
停戦しました。ロシアが前日から(今日未明のヘリ撃墜事件も、あるいは)用意していたらしく、パシニャン首相が停戦に合意した数時間後にはナゴルノカラバフ入りしています。これで両国、停戦無視RTAはできないでしょう。また、ロシアは当初予想された権威の失墜、アルメニアの西欧化を回避しました。
これをもって、通称第二次カラバフ戦争は終わったと判断します。パシニャン首相は英断を下しました。アゼルバイジャンは予想をはるかに上回る寛大な処置を選びました。それは水面下で何があったとしても、表面上はナゴルノカラバフが消滅を避け、虐殺続きであった両国の関係を正常に戻す第一歩となるはずです。どうか後退しないことを願います。
アルメニアはしばらく怒りに染まると思います。アリエフ大統領は気を良くしすぎて、無いことまで言ってしまっているようです。戦後処理が適切に行われますよう。
両国の土地には多数の不発弾が眠ってることでしょう。二次被害が出るのは避けられません。地雷処理NGOのHALOのサイトで寄付をお願いします。
アルメニアは避難生活と本国に戻った時に住居が足りず雑魚寝となることで、アゼルバイジャンは戦勝のお祭りで密になります。COVID-19はこれまで以上に猛威を振るうでしょう。
NATOがトルコをどう評価するのか、まだだれにも分かりません。
戦争は終わりましたが、地獄は残ったままです。少しづつ前に行けるよう、祈ります。
著:関山耕吾




