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捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


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7 魔物使いじゃないのに……

 現地の高山地帯についてからも、俺は前パーティーのガストルたちに見えないように気をつけて移動した。



 別に弱いから追放されただけで、仲間のものを盗んだとか犯罪をしたわけではないので、コソコソする必要はないが……お互い気まずいしな。



 なお、別に俺はガストルたちを恨んではいない。


 パーティーの中でEランク冒険者だったのは俺だけで、ほかはみんなDランク。ガストルはこのままならもうすぐCランクに昇格できるかもという実績だった。



 冒険者というのは命がけの仕事だ。そこで足を引っ張るお荷物がいるのは大問題だ。戦力外通告だと思えばおかしなことじゃない。




 どっちかというと――

 それから短期間で【幸運値】しか取り柄のないバグみたいなステータスの俺が、Bランク冒険者になってしまったことが面倒だ。



 当てつけで強くなったみたいな感じが出ると嫌だな……。

 もちろん、当てつけで強くなれたら苦労しないし、強くなること自体は悪いことじゃないが、当てつけの感じは出そうだ。きっと気まずくなる。





 幸い、高山地帯を探索するわけで、調べる範囲はものすごく広い。

 ガストルたちが向かった方向とは違う方面に移動すればいい。これで会うことはまずないだろう。



 もはや、前パーティーに会わないことが目的になっちゃってるな。

 まあ、稀少な月光草を探すこのクエストは失敗しても冒険者ランクの査定にマイナスにはならないので、見つけられなくてもいいのだ。



 たとえば警護のクエストで不審人物に何人も通過されたら、ふざけるなという話になる。こういう失敗が多いと、ランクを下げられることがある。一番多いのがCからDに下げられることだ。



 どっちかというと、懲罰というより「お前、最近たるんでるから気合い入れろよ」というハッパをかけてる意味合いが強く、少し真剣に取り組めばまた上のランクに戻れるそうだが。


 なお、EランクがFランクに落ちることはない。Fランクは冒険者見習いだからな……。



 今回のような稀少なアイテムを探す場合は、ダメ元で人海戦術で取り組むものだ。

 それを失敗したからといってマイナス査定にしたら、誰も参加しようとせず、人海戦術自体ができなくなってしまう。

 だから、参加にさほどのリスクはない。






 もっとも、戦闘でのリスクは別だ。

 単独行動している俺の目の前に、デカい猛禽類が突っ込んできた。


「うわっ! 危なっ!」



 ギリギリのところで体を反らして回避する。

 これ、野鳥じゃなくて、魔物だな。明らかな敵意を持って、俺を狙ってきた。


 鳥の魔物は旋回して、また迫ってくる。


 こういう魔物もいたよな。ええと、名前はクマ食いフクロウだったか?

 この世界に転生してからはこのレベルの敵と戦える場所に出たことがほぼなかったので、知識があやふやだ。


 俺は剣を振るう。

 フクロウの鉄のような爪と交差する。


 ギリリッ!

 耳障りな金属的な音が響く。Bランク冒険者の剣で斬れないって相当な硬さだな。





 結局、フクロウのほうも分が悪いと判断したのか、どこかに飛んでいった。


「Eランクの時にエンカウントしてたら死んでたな」


 戦闘が終わってから、少し冷や汗が出た。剣士一人で戦うのって、なかなか危なっかしいかもしれない。






 地道に探しているが、月光草は見つからない。

 もっとも、面倒な魔物もあれから出てきてはいないからいいか。ある意味、久しぶりに冒険者らしいことをしていると言えるかも――




 何かに見られている気がした。

 おそらくステータスが上がってるからだ。気配にも敏感になっている。



 でも、いったい何だ?

 人間の気配はないんだけどな……。



 少し先の低木にフクロウが停まっている。



「こいつ、また俺を狙いに来たか?」



 フクロウの魔物だけあって知能が高いらしい。遠距離から隙を探しているわけか。



「俺を獲物と認定したのか? なら受けて立つぞ」



 しかし、そこでフクロウは地面に下りた。



 そしてゆっくりと俺のほうに歩いて近づいてくる。


 敵意は……ないよな。

 歩いて接近するメリットは鳥のほうにない。

 戦うなら空中から頭を狙ったりするのが定石のはずだ。


「ポー、ポー」


 と、フクロウが鳴いた。


 何か呼びかけられている気がする。


「ポー?」と俺は言ってみた。


 なんとなくフクロウの言葉で伝えるべきと思ったのだが、通じるわけないよな。フクロウの言葉など知らないし。我ながらあほだ。



「ポー。ポ。ポポ」


 またフクロウが鳴く。意味はわからんが、やっぱり敵意はない。

 敵意がないとわかるとかわいいものだ。これはたいていの野生動物に共通すると思う、



 そのまま、フクロウは俺の足下まで近づいてきて、足に体を引っ付けた。

 その時、ステータスに何か変化が起きた感覚があった。




=====

アルク レベル19 冒険者ランクB

HP 107/107

MP 0/0

攻撃 118

防御 136

敏捷 131

知力  47

精神  19

容姿  35

幸運値999


スキル

超刺突・薙ぎ払い・這い上り斬り・みね殴り・一刀両断


仲間

クマ食いフクロウ(名前は未設定)

=====



「フクロウが仲間ってことになってる!」

「ポー。ポポポ」


 フクロウの言葉はわからないが、「そうですよ」ぐらいの意味の気がする。



 もっとも、フクロウが仲間になってよかった~とは素直に思えない。



「『ゲーレジェ』には魔物使いって職業がちゃんとあるんだよ! 魔物使いでもないのに仲間にはできない! 剣士にそんな能力はない」



 しかし、ふと攻略ウィキの魔物使いの項目を読んだ記憶がよみがえった。



 そこにはたしかこんなことが書いてあった。





『なお、極めて低い確率ではあるが、魔物使い以外の職業でも、魔物を仲間にできることはある。海外のプレイヤーが魔物使い不在の戦闘で魔物を仲間にした動画をアップした事例もある』





 極めて低い確率の出来事が起こった。


 間違いない。【幸運値】のせいだ。

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