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捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


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21 王城へ入る前の試練

 無事にマヒア女神様への参拝も終えて、俺とポポロはいよいよ王都ボースティンへ向かった。宮廷御前試合のためだ。



「ステータス変化の影響がよくわからないままなのが、気にはなるんだけどな」


 道中の馬車の中で俺はポポロに言った。旅路が長いので、そういうどうでもいいことも話題に出がちだ。



「ステータス変化は何もわかりませんけど、試合は上手くいくと思います」

「ちなみに、それはなんでだ?」

「アルクさんからこれまでにないほどの情熱とやる気を感じます」


 淡々とした調子でポポロが言うので、気恥ずかしくなってきた。


「あ、ありがとうな……」

「情熱が強い者ほど成功するというのはフクロウの世界でも同じです。勝てるはずです」



 こんなセリフ、中興の部活とかで女子に言われたら絶対惚れてしまうと思う。その場合、「フクロウの世界」の部分は修正が必要だけど。












 王都ボースティンにはこの世界に転生して初めて来たが、言うまでもなくこの人生最大の大都市だった。


 これまで拠点にしていた州都スラーツもそれなりの都市だと思っていたが桁が違う。

 にぎわっている通りなんて、祭りが開催されてるのかと思うような人口密度だった。



 ここをしばらくぶらついたら、おそらく何かのレアイベントが発生するだろうけど……今はやめとこう。

 もし長い期間がかかるイベントだった場合、試合のほうに参加できなくなる。こちらのほうはまた一週間後にリスケして開催しますということはない。



「王城の裏門のほうに向かうか。試合は2日後だけど参加者は少し前から来ていいらしいんだ。むしろ、直前に来られるほうがセッティングしづらいから嫌がられる」

「裏門? 正面の門からは入らないんですか?」



 ポポロがよくわからないという顔をする。



「王城の正門は即位式とか王族の結婚式とか、特別な場合にしか開かれないんだ。一般の入城は裏門でやる。それでもいろいろ検査を受けるから面倒だぞ」



 入ったこともない王城について知識があるのは完全に攻略ウィキのせいだな。

 でも、たまに行ったこともない観光地を見てきたようにしゃべる奴っているし、俺の場合は本当に現地に来てるからいいだろ。







◇◆◇◆◇








 裏門のいかめしい兵士たちに宮廷御前試合の招待状を見せる。




「おお! これは御前試合の! 確認を取るのでしばらくお待ちください!」



 見てるだけで怒鳴ってきそうな兵士たちが急に下手したてに出るのって面白いな。

 まあ、招待されてるってことは客人だからさすがに塩対応はできないか。



 しばらくすると、案内役らしい兵士がやってきた。


「確認が取れました。アルク様とそのお供の方ですね」

「私はポポロです。冒険者ギルドに登録もしていますが、メイドだと思っていただければ」


 ポポロが軽く会釈をする。


「では、お入りになる前に最終確認だけさせてください」





 兵士に案内された先には、五十センチ四方ぐらいのタイルが一枚床にはまっていた。




 ただのタイルではない。そのタイルから魔力みたいなものが発せられている。


 魔法が何も使えない俺でも、魔力の反応がわかるぐらい露骨だ。タイル上の部分だけ空間が揺らいでるように見える。魔力がタイルの上に何か影響を与えているのだ。




「あの、すみません、これは何ですかね?」



 少し気味が悪いので尋ねた。



「これは『魔族判定装置』というものです。もし凶悪な魔族が偽って王城の中に入ってきたらまずいですからね。といっても、魔族ならなんでも反応するわけではなくて、心の乱れに反応するというのが実情です。心が清らかな魔族なら問題ないですし、逆に暗殺をもくろむ人間なら反応します」


 一種の身体検査か。それは場所だけに必要だよな。




 ただ、そこであることが気になった。







 これ、ポポロが踏んだらどうなるんだ?









 ポポロはあくまでも本体はフクロウだ。姿を人に変えているという状態で踏んだ場合、フクロウの姿になったりしないか?





 それで、魔物を変身させて侵入させているということになったら、大問題にならないだろうか。



 これ、けっこうピンチじゃないか?




「ええと、兵士さん、ちなみに、これまで凶悪な者が発見されたってことはあるんですか?」

「ええ、もちろんありますよ。王族の命を狙おうとした魔族がここで見つかって槍で串刺しになったことがあります」




 実績が怖い……。

 ポポロも少し青い顔になって、タイルと違う方向に目を向けていた。



「といっても、長らく魔族も本格的にこの国を狙おうとしてはいませんがね。魔族の中にも変なことをして名を上げてやろうというバカがいて、そいつ個人が侵入を試みたというわけです。個人の行動だからこのタイルの存在も知らず、バレて死んだというわけです」



「そうですか。あの、この後もいろいろ手続きがあると思うのでトイレ行ってきていいですか? 身だしなみも整えたいのでメイドに確認させます」

「はあ、それは構いませんが、近場のトイレは兵士用なので来賓の方用の豪華で清潔なところではないですよ」


「いえ、十分です! 冒険者なんてダンジョンじゃトイレじゃないところで用を足すのが当たり前ですから!」








 俺はポポロとともに、一回トイレのほうに避難した。

 トイレに入って落ち着きたくもあったが、兵士用の場所だからか男子トイレ専用という感じでポポロを入れづらい。

 臭そうだし、トイレの前で対策を練る。



「ポポロ、お前、大丈夫そうか?」

「はっきり言って、バレると思います。ですが、勝てるとは思います」


 なぜかポポロは任せろという顔になった。


「勝てるって誰にだ?」

「兵士の方々です」



「いや、勝っても根本的な解決にはならないからっ!」



 これ、どうしたものか……。


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