表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/30

11 「ざまあ」のつもりはなかったんだが

 この月光草採取クエストに参加していた冒険者たちも一律にちょっとした祝い金をもらえることになり、俺は英雄みたいに讃えられた。


 野外に机を出して、ちょっとした宴会のようになった。



「ソロ剣士! あんた最高だよ!」

「ソロじゃねえな、フクロウいるもんな!」

「お前、本当にラッキーだな! そのラッキー分けてくれよ!」



 そう、本当にラッキーなんだ。

 ポポロが教えてくれなかったら見つけられなかっただろうし。


 バイトーラ天使教も粋なことをしてくれる。これで俺だけが得をしたら、現地のほかの冒険者から嫉妬されまくるからな。

 しかもフクロウに見つけてもらったという事実があるから、実力以外で勝手に利益を得た奴として、二重に嫉妬される。



 ポポロも終始、自分が見つけたんだぞと偉そうにしていた。それでいい。

 バイトーラ天使教の人間からしたら、像でも作って拝みたいぐらいかもしれないしな。



 ちなみに、ほかの冒険者が頭を撫でようとしたりすると、体を反らして「撫でるな」という態度をとった。


 どうやら誰にでもなつく個体じゃなくて、俺を主人とみなしているらしい。主人じゃなくてあくまでも相棒、あるいは子分ぐらいの扱いかもしれないけど……。




 と、宴会の最中に視線を感じた。


 ガストルがこっちにやってくる。後ろには前パーティーのほかの面々もいた。



「その……助けてくれてありがとうな」


 ああ、ブラッドベアを倒したんだった。群落発見の衝撃で忘れかけていた。


「別にいいさ。ヤバそうな冒険者がいれば加勢するのは人として当然だろ」


 Bランク冒険者の力があればブラッドベアも十分に倒せる。倒せるのに助けないのは人としてダメだろ。


「それでさ……アルク」

「ああ、なんだ?」


 なんとなく、ガストルが遠慮しているように思える。

 やっぱり気まずいのか?


 そりゃ、そうだよな。俺がガストルの側でもどういう態度でいようかと迷う。



「別に気にしなくていいぞ。俺はみんなを恨んだりとかはしてない」



 俺が表情を少しゆるめたその時――



「よかったら……アルク、パーティーに戻ってきてくれないか?」


 そうガストルは言った。



 ああ、だから遠慮してるように見えたのか。




 俺ははっきりと笑顔を作り直して、こう言った。







「無理に決まってるだろ」







 お前、それはいくらなんでもダメだって。


「えっ? 恨んだりとかはしてないんだろ? だったら、別にいいじゃないか」

「別にお前らを恨んだりも何もしてない。それは本当だ。剣士なのに治癒師未満の【攻撃】の数字じゃ使い物にならなない」



 実力不足を他人のせいにしたことは本当に一度もない。


「で、幸運にも俺は成長してBランク冒険者になった。それだけのことだ。もう元の鞘には戻れないだろ。っていうか、同じパーティーになったらBランクの俺がガストルにも指示を出したりダメ出ししたりするわけだけど、それ、耐えられるか?」


 ガストルは口ごもった。


「ええとな……それは……」

「そういうことだよ。みんなの中では俺は使えない奴だった。でも、その関係性が変わった。じゃあ、仲良くやっていくことはできない」



 大商人が奉公人をこきつかっていた。

 その奉公人は30歳で独立して、資産家になり、一方で大商人は没落した。

 元の大商人はかつての奉公人に頭を下げ続けて働けるか? きっと、なんで自分がかつての奉公人に使役されるんだと恨む。


「冒険者としてのお前らをバカにしたりなんて俺はしてない。また未来に俺を抜いて、Aランクの冒険者になるかもしれない。応援はする。でも、一緒にはやれないってことだ」


 魔法使いのアルティナが後ろからやってきた。


「ガストル、しょうがない。ここは下がるしかない。運が悪かったってこと」



 そう、本当に運なんだ。

 世の中、見捨てた奴が成功する確率だってある。

 俺の場合はかなり特殊だけど、成長曲線って人によって違うからな。まあまあ年をとってから一気に伸びる奴もいる。


 まあ、この場合、ガストルたちの運が悪かったっていうのは少し違うとは思うが。


「みんなの運が悪いって言うより、俺の運がよすぎただけだ。ほんとに偶然だ」

「違うよ。偶然じゃない」


 アルティナが優しい表情で首を振った。


「高負荷トレーニング、何度もやったんだよね。アルクは危険の多いことをあえて選択した。寝て起きたらBランク冒険者になったわけじゃない。決断して動いたのはアルクだよ」

「ありがとうな、アルティナ」


 かつての仲間にこう言われて、少し心が軽くなった。



「じゃあ、待たね。たくさんの冒険者が参加するクエストで一緒になったらその時はよろしく」


 アルティナはガストルを連れて、パーティーのほうに戻っていった。



 ううむ……。「ざまあ」な別れ方なんてする気はまったくなかったのに、なんかそんな感じになったな……。



 と、ポポロが俺の足に体を寄せてきた。


「そうだな、これからはお前がパーティーだな」

「ポーポポポ」



 これからは1人と1羽で新生活スタートだ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

本作を応援してくださる方、続きが気になると思ってくださった方は、

ブックマークの登録や、

ポイントの投入(↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に変えて評価)をして下さると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ