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捨てステータス【幸運値】が高いだけのザコとして追放された剣士、レアイベントをすべて発生させて無双する  作者: 森田季節


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10/30

10 資産激増



 フクロウのポポロはどんどん空を飛んで地上の俺を誘導していく。


「おい、空は何もないかもしれないけど、地面は草むらもあるし、アップダウンもあるから……」

「ポッポポポ、ポッポポポポ」



 多分だけど、「それぐらい我慢してついて来い」と言ってるな。もしかしたら丁寧語で「ついてきてください」ぐらいかもしれないが、こっちがやることは変わらない。



 もう少し、地上から離れられない側の苦しみも考えてほしい……。

 高山地帯を突き進むのは、ちょっとした戦闘よりはるかに疲れる……。しかも標高が高くて空気も薄いし。


 たまにポポロが地上のこっちを見てくる。

 ついて来てはいるな、じゃあこのまま行くか、とでも考えているんだろう。



「これでたどりついた先にドラゴンでもいたら、本気で恨むぞ……」



 いくら俺が強くなってるとしても、クマには勝ててもドラゴンは無理だ。エンカウントした時点で終わる。



 たしかにポポロが俺を裏切らない根拠ってとくにないんだよな。別にポポロの命を救ったとかいったことがあるわけじゃないし。戦闘でボコボコにしたわけでもないから恨まれてることもないとは思うんだが。



「まあ、ここは信じるか」



 俺の元パーティーの冒険者たちの危機を教えてくれたのもポポロだった。人間に友好的な個体なのだと思おう。


 もし裏切られたら、その時はその時だ。裏切られる前から疑うのはやめにする。



 それはそれとして、本当に走らされるな……。高負荷トレーニング並みかもしれない……。








 そろそろ「止まってくれ」と本当に要請しそうになったところで、ポポロはようやく少し先の地面に降り立った。



 そこに何があるのかわからないが、とにかく走らずに済むだけでもありがたい。



 背の低い木の間を押し開いて、ポポロの先に入った。




 どこかで見たことのある草がそこそこ生えている。

 でも、どこで記憶に残っているんだ? 草なんていちいち覚えようとしないだろうし。



 あっ、この葉っぱの形……。

 とがった刃物状の葉っぱがくるんとカールして、三日月のように見える。



「月光草だ! クエストの説明にイラストで描いてあったやつと同じだ!」



 ポポロが少し首をそらしている。これ、胸を張って自慢しているな。


「ありがとうな、ポポロ! これでクエスト達成だ!」



 だが、ポポロはまだやや不服そうだった。とことこ歩いて、いろんなところで立ち止まる。その草だけじゃなくて、この場所自体に注目しろと言ってるみたいに。



 それで俺もここのすごさに気づいた。




「この場所……もしかして……」



 自分でも興奮してきているのがわかった。



「月光草の群落かよ! とんでもない大発見だぞ!」

「ポッポポポポ!」



 おそらく、「どうだ、すごいだろ」という鳴き声だと思う。

 ポポロがちょっとドヤ顔しているようにも見える。フクロウは表情が読み取りやすいので、本当にその可能性が高い。



 一つ見つけるだけでも大成功の月光草の群落が見つかったら、それはとんでもない成果だ。



 そして、群落という言葉もどこかで見た記憶があるなと思った。



「攻略ウィキに書いてたな……」



 自分が「ゲーレジェ」のプレイヤーだった時はCランク冒険者しか作れなかった。戦闘時にアクション要素があるので、やり込みだけでは限界があった。


 でも、攻略ウィキは細かいことまで目を通しまくっている。クエストに付随するレアイベントすら頭の片隅にある。



「一部の貴重な草のクエストで群落が見つかることが本当に本当に奇跡的な確率であるって……」



 その奇跡が起きた。






◇◆◇◆◇






 現地に来ていたバイトーラ天使教の関係者を連れてきたところ、その人は本当に腰を抜かした。



「し、信じられません……。これでいつまでも我々の教えの祭祀を続けられます……」



「私の権限では正式には決められないので、後日教団の上の者とも話し合って正式にお伝えいたしますが……そうですね、最低でも3000万ゴールドはお支払いいたします」


「3000万!?」


「その額なら私個人の範囲でもお支払いできますからね。まあ、もっと上の条件を上層部も提示してくれると思いますが、決定がいつになるかわかりませんし、当座のお金として3000万ゴールドをお支払いします」



 ポポロの飼育代とかどうしようかなとか思っていたが、気にしなくてよくなった。


 飼育代と言っても餌は勝手に探して獲ってきそうだが、それでもいろいろとお金はかかる。たとえば、ペット可の宿となると数が限定されるし、値段も張るはずだからな……。


 普通の宿に泊まって窓から偶然入ってきたということにもできそうだけど、ウソをついて宿泊するのも落ち着かないし。


 まあ、一泊300万ゴールドのスイートルームとかに泊まらない限り、当分暮らしていけそうだ。



「お前、自分の生活費、自分で稼いだんだな」


 俺はポポロの頭を撫でた。



「ポポポ~♪」



 楽しそうに歌うように、ポポロは鳴いた。




 その時、ふと前世の記憶がよみがえった。


 フクロウってたしか「福が来る」とか、「不苦労」と読めるとか言われて、幸運のシンボルとして扱われることがあったはずだ。


 もちろん、ダジャレみたいなもので、フクロウをペットとして買うと宝くじに当たりまくるなんてことはないが、縁起物として置物が作られたりはしていた。



「お前、マジで福を呼び込んだんだな。しかも、不苦労な形で」

「ポポポ!」



 またポポロがドヤ顔したのがはっきりわかった。



 ポポロからしたら自分のおかげだと思ってるだろうし、実際にそのとおりなんだけど、因果関係を考えていくと――



 ポポロが俺のところに来た時点で【幸運値】がカンストしたせいだろうな。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
来た時点で【幸運値】カンスト☓  来る前から【幸運値】カンスト〇  マスクデータとして実は4桁目が存在するとかは有りそう。
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