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ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~  作者: 青空顎門
第1章 少女が統べる国と嘱託補導員

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084 一先ずの情報共有と今後の対応

 ルトアさんと居酒屋ミズホに行き、情報収集を行った翌日。

 俺は早朝から事務局に向かうと、受付にいた彼女にトリリス様との面会を取りつけて貰い、その日の午後に学園長室を訪れていた。


「――と言うことでした」


 そして、昨日得た情報を包み隠さず彼女達に伝え、反応を窺う。


「……まさか、あの幽霊の噂がこの件に関係している可能性があるとはナ」

「あの、と言うことは、把握してたんですか?」

「風の噂で聞いただけだゾ。警察はともかく、ワタシ達は特に調査もしていないしナ」

「調査しなかった?」

「必要性を感じなかったのです。イサクの前世ではどうだったか分からないですが、この世界では幽霊もといゴーストは特段珍しい存在ではないのです……」


 トリリス様に代わり、いつものように彼女の隣にいるディームさんが答える。

 思念の蓄積によって魔物が発生する世界だ。

 さもありなんというところだろう。


「丁度、通夜の護衛をしていた時の話とは聞いていたからナ。それこそゴーストの一体や二体、現れても何らおかしくはないのだゾ。それに、魔物化していない幽霊など恐れるに足りない存在でしかないからナ……」


 この世界に何か強く働きかけたいという意思が激しければ、まず間違いなく魔物(ゴースト)として現れる訳で、そのレベルに至らない幽霊は無害というのが一般的な認識なのだろう。


「結局のところ何の被害もなく、それ以後も似たような話が一度も出なかったので諜報部も早々に見間違いか何かとして調査を打ち切ったようなのです……」

「……まあ、そう、でしょうね」


 当事者であるガイオさん達も触れて欲しくない感じだったしな。

 周りは周りで馬鹿にしていたようだったし、まともな情報など得られなかったはず。

 被害者もいない与太話みたいな噂を調査している程、諜報部も暇ではないはずだ。

 そんな状況では、例の事件への関連性を疑うのは困難にも程がある。


 俺としても実のところは、情報収集を開始して最初に出てきた話だったということもあって「折角だから詳しく聞いてみようか」と思っただけなのだ。

 ある意味、RPGで情報収集を行っている時のような心持ちと共に。

 事件発生から解決の流れをそうしたゲームのイベントの流れで考えると、その辺りの情報がキーとなるかもしれないというお約束(・・・)を期待して取った行動でもあった訳だ。


「これはワタシ達の失態だナ。すまなかったのだゾ」

「いえ、そんなことは。正直なところ、俺が深読みして突っ込んだようなもので、結果としてそれらしい理屈が成り立っただけですから」


 申し訳なさそうに頭を下げるトリリス様に、フォロー気味に言う。

 そもそも――。


「まだ事件解決に繋がると決まった訳でもないですし」


 一つ手がかりらしきものを得たに過ぎない。

 本当に関係しているかも分からない。

 これから更に調査を重ねていかなければならない。


「うむ。その通りだナ」


 と、顔を上げ、腕を組みながら鷹揚に首を縦に振って同意を示すトリリス様。

 直前まで申し訳なさそうにしていた少女の姿とは思えない。

 相変わらず、単なるポーズに過ぎなかったのだろう。仕方のない人だ。


 とは言え、少なくともこの件に関しては彼女らに謝罪が必要な程の落ち度はなかったと思うので、今回はサクッとスルーしておく。


「何にせよ、この偶然の産物。無駄にしてはいけないのです……」


 同じく軽く流したディームさんの言葉に深く首を縦に振る。

 相手が認識を書き換える類の複合発露(エクスコンプレックス)、それも第六位階に相当するそれを有するならば、そもそも尻尾を掴むことなどほぼ不可能と言っても過言ではない。

 当然、犯人も普段は一介の市民として普通に暮らしているのだろうが、その状態では犯罪者だと見抜くことは極めて困難だ。

 たとえ見抜くことができたとしても、ほとんどの人は認識の書き換えを防ぐことなどできはしない。下手な動きを見せれば、その事実を忘れ去らせられるだけだ。


「第六位階の身体強化を持っていればいいという話でもないだろうからナ」


 今回、運よく(ガイオさんにとってはどうだったかは分からないが)情報を得られたのは、彼が仕事中だったが故。第六位階の身体強化を発動している最中だったからだ。

 その時にたまたま犯人らしき存在を目撃したことで、僅かなものに過ぎないとは言え足跡と思われるものを捉えることができたのだ。

 ……そうと分からない程に歪な形で噂が広まり、その正確なところが伝わってこないまま半年もの時間がかかってしまった訳だが。


「だが、この情報を得て尚、これを生かすことは中々に難しいゾ。第六位階の身体強化を持つ者は、諜報部には少ないからナ」

「彼らが持つ複合発露は基本、隠密、盗聴、催眠などなのです……」


 ……とりあえず物騒な内容については、聞かなかったことにしておく。

 別の問題点を指摘しておこう。


「たとえ身体強化系の(アーク)複合発露(エクスコンプレックス)を持っていたとしても、街中で使いっ放しってのも問題ですしね」


 基本的に身体強化系の複合発露は、身体変化でもある場合が多い。

 そうでなくとも(複合発露の内容としては、例えば単純な筋力増強に過ぎなかったとしても)複合発露を使用すれば、少女化魔物(ロリータ)の種族の特徴が現れてしまう。

 当然、街中でその状態でいる人間は目立つ。

 それこそ犯人の目にも容易についてしまうぐらいに。

 間違いなく犯人は警戒する。俺だって、そんな奴がいたら警戒する。


「まあ、おいそれと犯行に及べなくなるのは間違いないだろうがナ」

「この街ではやりにくいからと別の街に行かれても困るのです……」

「確かに、その問題はあるナ」


 ディームさんの言葉に同意するトリリス様。俺も頷く。

 一時的に犯罪を抑制することが最終目的ではないのだ。

 まして逃亡の可能性がある手段では、不十分にも程がある。


「いずれにしても、大っぴらに動く前にもう少し情報が必要だゾ」

「イサクの情報を踏まえつつ、捜査方法を考える必要があるのです……」


 第六位階の身体強化が使える諜報員は必須。

 その上で前述の通り、犯人に気づかれないような方法を取らなければならない。


「一先ずは犯人そのものよりも、その潜伏先。目撃証言にあったその幽霊的な存在が入っていった家を探すべきかもしれないナ」

「家は複合発露を使わないですから、本人よりも可能性があるのです……」


 確かに。さすがに住宅街にある家が似たような力を持った祈望之器(ディザイアード)のはずもないし。

 潜伏先ならば、うまいこと探し出せるかもしれない。

 おおまかな位置は、ガイオさんが受けていた依頼を見れば分かるはずだしな。

 とは言え、一先ず俺はそちらの捜査には手を出さない方がいいだろう。

 素人が余計な真似をして、犯人に気取られてしまっては意味がない。

 昨日のように、それとなく情報収集をしながら続報を待つべきだ。後は……。


「とりあえず俺は、もっと直接的な捜索方法を考えてみようと思います」


 潜伏先の次は犯人だ。家を見つけて終わりではない。

 万が一に備え、直に犯人を追うことができるようにしておかなければならない。

 勿論、俺が出る幕もなく、諜報員が捕まえてくれればそれに越したことはないが。

 手段を練ることは今後の役にも立つ。無意味にはならない。


「では、トリリス様、ディームさん。失礼します」

「分かった。引き続き、頼んだゾ。イサク」


 そうして俺はトリリス様達に別れを告げ、今ある力でどうやって第六位階の認識操作に立ち向かおうかと考えながら学園長室を出たのだが……。

 その翌々日。

 とある住宅街において無人のまま放置されていた家が突如として話題になり、犯人が近づく捜査の手に気づいて潜伏先を引き払ってしまったことが分かった。

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