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ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~  作者: 青空顎門
第1章 少女が統べる国と嘱託補導員

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064 己に適した戦い方について

「この状態の俺にもついてくるか。規格外な奴め」

「や、でも。俺は空を飛んでますし」


 次なる補導対象である水精の少女化魔物(ロリータ)の出現地点へと向かう途中。

 人狼形態で走るシニッドさんを、俺は飛行の祈念魔法を使用しながら追いかけていた。

 さすがに複合発露(エクスコンプレックス)まで使用して走られてしまうと、いくら第四位階とは言っても祈念魔法レベルでの身体強化では引き離されてしまう。

 とは言え、空を飛ぶのはちょっとズルい気がしてならない。


「いや、普通そんな簡単には空は飛べねえぞ……」

「でも、父さんは……いえ、何でもありません」


 ウルさんとルーさんの忠告を思い出して口を閉ざす。

 ヨスキ村を基準にする以上に、父さんを基準にするのは適切ではない。


「ところでシニッドさん。さっきのがウルさんやルーさんの(アーク)複合発露(エクスコンプレックス)なんですか?」


 今現在、人狼の如き姿となっているシニッドさん。

 しかし、土精の少女化魔物を補導した時は、明らかに今よりも凶悪な姿になっていた。

 あれが全力かは分からないが、少なくとも現状の上位互換ではあるはずだ。

 攻撃速度が比べものにならないぐらい向上していたことを考えても。


「ああ。ウルとルーの真・複合発露〈魔狼王転身ライカナイズ・ヴァナルガンド〉。それから俺が先天的に受け継ぐ〈擬狼転身(デミライカナイズ)〉。その三つを同時発動させたのがさっきの形態だ」

「三つ……成程」


 真・複合発露。それも同系統を同時にか。

 そうなると――。


「少しばかり消耗はきつくなるがな。基礎的な身体能力に限って言えば確実に、あの形態の俺の方がお前達の父親(ジャスター)よりも強いぞ」


 だろうな。

 勿論、同じ複合発露ではないのだから単純には比較できないが、もしステータスのパラメータなんてものがあったら倍以上違うかもしれない。

 父さんと同格であるEX級補導員。その名に恥じぬ力と言える。


 ただ、父さんの場合、忘れてはならない要素が一つある。

 父さんが母親から受け継いだ複合発露〈擬光転移(デミライトナイズ)〉。

 あれを同時使用すれば、父さんの速度は瞬間的に数十倍どころではなく跳ね上がり、それに付随して攻撃力も増す。

 だから、実際に二人が戦ったらどうなるかは分からない。

 まあ、そんな状況は起こり得ないだろうが。


「分かってると思うが、俺達少女征服者(ロリコン)の能力は、ほぼ契約した少女化魔物次第だ。俺のように望んだ能力を持った相手と契約できるとは限らねえ」


 シニッドさんの言葉に頷く。

 単なる少女契約(ロリータコントラクト)であればビジネスライクな関係でも結ぶことができるだろうが、真性少女契約ともなると性格や諸々の相性がよくなければ不可能だ。

 その辺りは巡り合わせとしか言いようがない。


「シニッドさんは最初から同系統の複合発露の子を探してたんですか?」

「生まれ持った複合発露を軸にずっと戦い方を学んできたからな。俺は器用な人間じゃねえし、少女征服者として一端の人間になるにはそれしかなかった」

「……成程」


 生まれながらに複合発露を持つことは相当のアドバンテージではある。

 だが、それを基に培ってきた技術と、契約できた少女化魔物が持つ複合発露とがマッチしなくて大成できなかった者も数多くいる、のかもしれない。


「ああ。勿論、俺はウルやルーを愛してるぞ。そうでなけりゃ真性少女契約なんて結べねえからな。……まあ、俺は運がよかったんだろうよ」


 どこか謙遜するように言うシニッドさん。

 確かに希望した複合発露を持つ少女化魔物と出会えるかは完全に運だ。

 しかし、彼女達が真性少女契約を受け入れたのは、彼自身が能動的に口説いたからに他ならない。機会を掴み取ることができたのは、間違いなく彼の努力の賜物だ。


 チャンスの神様は前髪しかないと言うし、俺も機会が目の前に訪れたなら積極的に手を伸ばしていかなければならないだろう。

 救世の転生者としての使命を果たすためにも。


「イサクはどうなんだ? 将来、どういう少女征服者になりたいとかあるのか?」

「俺ですか?」


 改めて問われ、少し考える。


「……そう、ですね。とにかく、どんな状況にも対応できるようになりたいです」


 この先、何が待ち受けているか分からない。

 そして、どのような苦難を前にしても敗北は許されないのだ。

 いついかなる時も負けることなく、勝利の可能性を保ち続ることができる力が必要だ。


「オールラウンダーか。だとすると、俺と同じく身体強化系の複合発露を持つ少女化魔物と真性少女契約を結ぶのは必須だな」

「そう、なりますよね。やっぱり」

「ああ。お前と契約している少女化魔物を見る限り、防御力がちと弱い。攻撃力ならトップレベルだから、勝負をすれば俺やジャスターにも勝てる目は十分あるが……」


 シニッドさんの指摘に首を縦に振って同意を示しながら、己の戦力を振り返る。

 イリュファの〈呪詛(アヴェンジ)反転(リトリビュート)〉とフェリトの〈不協調律(ジャマークライ)〉は、厳密には異なるが、相手の防御力に対するデバフの側面もある。

 リクルの〈如意(フィギュア)鋳我(トランスファー)〉は全体的なバフ。

 それらによって補助されたサユキの〈万有(アブソリュート)凍結(コンジール)封緘(サスペンド)〉は、恐らく世界でも有数の威力を持つだろう。


「攻撃力に対するデバフがあるとは言え、それは通常の複合発露による力。第五位階だ」

「防御力の基礎になる複合発露は、母さんから受け継いだ〈擬竜転身(デミドラゴナイズ)〉だけですからね。真・複合発露。第六位階の攻撃を食らったら一溜まりもないでしょう」

「それと精神干渉系の複合発露だな。あれは回避も不可能な上、同位階以上の身体強化系の複合発露がないと完全には防げないからな」

「はい。単純な攻撃系の複合発露への対抗策は考えがありますけど、精神干渉系はどうにも。こればかりは、身体強化に特化した少女化魔物と契約しないと……」


 そういう打算的な考えで少女化魔物(人外ロリ)と接したくはないが、決定的な弱点を放置する訳にもいかない。これもトリリス様に相談してみた方がいいかもしれない。


「それと一つ。分かってるかもしれねえが、お前の場合は少女化魔物と肩を並べて戦わない方がいい。例外は、余程火力が足りなくてサユキと同時攻撃する時ぐらいだな」


 リクルはほぼ同化しているようなものだから別として、イリュファとフェリトとサユキの三人。合理的に考えれば、シニッドさんの言葉は全く以って正しい。

 祈念魔法と最低限の護身術は学んで貰ったが、身体強化系の複合発露ではない以上、皆一様に防御に難がある。複合発露の戦いにおいては影の中にいた方が安全だろう。

 むしろ職員寮にいた方がいいかもしれない。


 ……いや、契約した少女化魔物を殺されたら少女征服者も弱体化するのだから、最悪離れ離れになったところを狙われる可能性もある。

 普通なら考え過ぎと言われそうな可能性だが、少女化魔物をパートナーとする救世の転生者をよく思わない組織が現実に存在するからな。

 俺の場合は一緒にいた方がいいか。

 やはり影の中にいて貰うのが最善の方法になりそうだ。


「っと、イサクが楽々ついてきたおかげで思ったより早く着いたな」


 そんな風に今後の方向性について考えていると、視界の中に小さな村が映った。

 いつの間にか目的地付近まで来ていたようだ。

 如何にも田舎という感じの村。懐かしい印象を受ける。

 あれが水精の少女化魔物の被害(悪戯レベル)を受けている村のはずだが……。


「あの村の近くの小川でしたっけ」

「ああ。村の奥の方に流れ……ん?」


 何だか様子がおかしい。シニッドさんも立ち止まり、不審そうに眼を凝らしている。

 遠目だが、どうやら一つの家屋の周りに人が集まっているようだ。

 何か問題が発生しているのかもしれない。


「……急ぎましょう」

「ああ」


 顔を見合わせて頷き合い、それと同時にシニッドさんは村人を刺激しないように人狼形態を解除する。それから俺達は、可能な限りの速度で再び村へと駆け出した。

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