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ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~  作者: 青空顎門
第5章 治癒の少女化魔物と破滅欲求の根源

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229 皆でお買い物

 飛び級試験合格祝いにセト達と寿司屋に行った翌日。

 俺達は大所帯で街に繰り出していた。

 勿論、イリュファ達はいつも通り影の中にいるのだが、それを差し引いた上でも今日はいつにも増して同行者の人数が多い。

 しっかり整列して歩かなければ通行の邪魔になりかねない程だ。

 そのメンバーはと言うと俺達の前方を歩いてる、今回の合宿もとい海水浴の主役であるセトやダン、トバルとラクラちゃんは当然のこととして――。


「ルトアさんも一緒に行けることになってよかったです」


 まず俺の右隣(定位置のように左隣にいるレンリの逆側)には、スキップでもしそうなぐらい楽しげな表情を浮かべているルトアさんがいる。

 快活な彼女の混じり気のない笑顔は夏の日差しよりも眩しい。


「本当に! 業務命令だから大手を振ってイサク君についていけますし!」


 その元気な言葉の通り、ルトアさんは何か問題が起きた時の連絡役だ。

 ホウゲツ学園所有の海水浴場には情報伝達係を務める少女化魔物(ロリータ)ムニさんの端末も存在するらしいので、名目上は出張補導員事務局というところだ。

 もっとも、その実態は俺の担当になってから割と忙しくなってしまったルトアさんを労うため、というところが大きいようだが。

 トリリス様もたまには粋な計らいをしてくれるものだ。

 嬉しそうに腕を組んでくる彼女に微笑み、それに対抗するように逆側の腕を取るレンリに軽く苦笑しつつ、次に後ろに続く三人を振り返る。


「ライムさん達も、折角ですから羽を伸ばして下さいね」

「ああ」


 こちらは、建前としては俺達の護衛として特別労役の一環で同行することになった同郷の彼と、そのパートナーたるルシネさんとパレットさんだ。

 前回、ウインテート連邦共和国へと共に行った時には放置して帰ってきて以来なので少し気まずい気持ちを抱いたが、ライムさん達は特に気にしていないようだ。

 まあ、それはともかくとして。

 彼らは模範的に特別労役をこなしてきたことが真っ当に高く評価され、三人一緒に同じ任務につくことが許可されたらしい。

 その任務の内容が半ば休暇なのは……こちらはアコさんの計らいだろう。

 ヨスキ村襲撃とホウシュン祭襲撃のこともなくはないので、護衛という大義名分は完全に嘘偽りという訳でもない。


 ちなみに出発は明日なのだが、今日は普通に近くのホテルに泊まるそうだ。

 そこまで行くと、さすがに色々と緩過ぎやしないかと少し思うけれども……。

 怪盗ルエットの事件でのマナプレーンでもホテルでもそんな感じだったし、それだけ真摯に特別労役に向き合って信用を回復してきた証とでも言うべきだろう。

 そもそも、彼らは最凶の人形化魔物(ピグマリオン)【ガラテア】によって人生を狂わされていなければ、罪を犯すような悪人ではないのだから。

 そういった情を抜きにして考えても、アコさんの複合発露(エクスコンプレックス)命歌残響(アカシックレコード)によって保証されているので何ら危険はない訳だし。

 法律上の問題がなければ、俺としては構わないと思う。


「それにしても、ヨスキ村の子供が同い年で三人もいるとは思わなかった」


 既に各々初対面の挨拶はホウゲツ学園で済ませていたが、改めてパレットさんが俺の前を歩くセト達に視線を向けながら呟く。


「兄さんとライムさんの時も割と珍しいって言われたんでしたっけ?」

「ああ。少女化魔物は人間に比べて子供ができにくいからな」


 ヨスキ村では数年に一度の頻度だったはずだ。

 まあ、これは人口が少ないせいというのもあるが。

 単純に出生率で見ると、おおよそ一と少しというところ。

 しかし、基本的に掟によって少女化魔物の嫁を探してくることになるため、前世のように出生率が二以上でないと確実に村の人口が減少する訳ではないそうな。

 これは余談だが。


「旦那様、人間の私となら比較的でき易いですよ?」


 と、そこへ隣から明け透けにぶち込んでくるレンリに、逆側から「ふえっ!?」と珍妙な声を出して驚きを顕にするルトアさん。

 合わせて変に体に力が入ったようで、腕への圧力が強まる。


「セト達の教育に悪いから慎んでくれ……」


 両腕とも動かせない状態にあるので実際にはできないが、俺は頭を抱えるような心持ちで嘆息と共に返した。

 レンリもレンリなりに多少は互いの立場を弁えた態度を取っているつもりのようだが、たまにこうやってぶっ込んでくるのは心臓に悪い。


「はい。では、皆さんがいない時にまた」


 しかし、対するレンリは悪びれる様子もなく当たり前の顔でそう応じ、その姿にルトアさんは更に目を丸くする。

 彼女の積極性はサユキとはまた別ベクトルで過剰だ。


「とは言っても、二次性徴を迎えるまでは駄目だぞ」


 俺も男だし、大分前からもうレンリのことは好ましく思っているが、まだまだ子供な体格の現状ではそういう気分にはならない。

 レンリに限らず同じぐらいの背丈、どころか往々にして俺の方が背の小さい場合が多い状態では、おねショタみたいな感覚に陥ってしまうからだ。

 まあ、相手はともかくとしてもショタとして行動を起こしたくはない。

 非常に申し訳ないが、人外ロリコンである俺にそうした属性はないのだ。


「では、二次性徴を迎えればいいということですね?」

「まあ、そういうことではあるけども……」

「言質は取りましたからね」


 言いながら腕を組む力を若干強めるレンリ。

 獲物を捕らえたようなその表情は少々怖い。

 が、別に言質を取られて困るものでもないし、苦笑して流しておく。

 どちらかと言うと、反対側の腕が全力で抱き締められている方が今は困る。

 常時身体強化中なので別に痛くはないが、歩きにくい。


「とは言え、高度な身体強化を常時続けていると成長が抑制され、二次性徴が大幅に遅れます。その未来が来るのは相当先のことでしょうね。アガートラムの複製品(その指輪)を身につけていれば尚のことです」


 そこへレンリの影の中から、彼女と真性少女契約(ロリータコントラクト)を結んでいる三大特異思念(コンプレックス)集積体(ユニーク)が一体、リヴァイアサンの少女化魔物たるラハさんの声が聞こえてくる。


「え……そうなんですか?」


 その内容に思わず呆然と問い返してしまう。

 いや、正直なところ薄々感づいてはいたけれども。

 ズバッと言われるとグサリと来るものだ。

 しかし、そうなると下手をすれば、セト達の方が先に二次性徴を迎えて俺よりも大きくなってしまう、という可能性もありそうだ。

 兄としての威厳が……。

 せめて寮にいる時とか、身体強化を切っておいた方がいいのではなかろうか。

 真剣に悩むが、救世の使命を終えるまでは控えた方が懸命だろう。

 それはそれとして、望みが遠退いてしまいそうな事実を前に、レンリがどんな反応を示すだろうかと隣を見ると――。


「構いません。全てを片づけた後で、気長に待ちますから」


 彼女はそうサラッと受け入れるのみだった。

 レンリが持つ第六位階(オリジナル)のアガートラムは、身体強化の副次的な作用によって所有者を不老にするらしいから、いずれいい塩梅になるのは確かだろう。

 最終的には絵面が犯罪みたいになってしまうだろうが、それはもうこの世界では割とよくあることだと言い訳するしかない。

 人間相手なら珍しいが、少女化魔物相手なら必然的にそうなる訳だし。

 ヨスキ村だったら、それこそ当たり前の光景だ。


「…………いやはや、最近の子は凄いな」


 そんな俺達の様子を後ろから見ていたルシネさんが、ライムさんの隣で言う。

 事情を知らなければ、レンリの言動にそんな感想が出るのも分からなくはない。

 すみませんこの子これで二十歳超えているんですよ、とは弟達のいるこの場では言えないが、俺が救世の転生者であることを知る彼女達には後で伝えておこう。

 その複雑な出自も含めて。

 驚くルシネさん達の顔が今から目に浮かぶようだ。


「っと、セト。行き過ぎだ」


 いつの間にか目的の店に至っていて、その前を通り過ぎてしまっていたセト達四人へと後ろから声をかける。

 そして俺達は、回れ右して速足で戻ってきた彼らと共に西洋風の服を主に扱うその店に入り、店内の一区画にある水着コーナーへと向かった。

 時期が時期だからか、割と広く場所が取られている。

 ちなみに、ここはルトアさんからお薦めされた店だ。

 彼女はここで普段着も買っているそうだ。

 当然ながら既製品もバリエーションに富んでいるが、複合発露や祈念魔法によってオーダーメイドも自由自在とのことだ。

 水着に関してもそうらしい。


「では、旦那様。約束通り、選んで下さい」


 それから早速俺に丸投げするレンリと、着物以外を着るのを嫌がって少し説得が必要だったサユキ、それと事情が事情のテアを除いて。

 各々自由に自分の好きな水着を選んでいく。

 支払いの時にチラッとは見えたが、着た状態のお披露目は現地でのお楽しみだ。

 そうして水着を購入した後はまた別の店に行って海で遊ぶための道具を色々と買って帰り、各々泊りの準備をして翌日。

 俺達は、寝つけなくて寝不足っぽい子供達と共に海水浴場のある森林都市モクハへと向かうため、マナプレーンの発着場を目指してホウゲツ学園を出発した。

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