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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第3章

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74回目 迂闊に持ち出してよいものではない

(しかし、藤園カオリって?)

 新たに出てきた名前に首をかしげる。

 国の中でも大きな家の者なのは分かるが、その中の一人一人まで把握してるわけではない。

 これが当主や役職者ならある程度は把握してるのだが。

 残念ながら、一族全てを網羅してるかというとそんな事は無い。



 藤園家そのものが巨大なので、とても全部はおぼえきれない。

 有名な人をどうにか記憶するのが限界だった。

 それでも能力値の拡大に伴い、記憶力もかなり上がってはいるのだが。

(でも、知ってる中にはいないな)

 おそらく成人ではないのだろう。



 まだ貴族社会にも出てない、あるいは出て間もないのか。

 それほど有名ではないのかもしれない。

 だが、わざわざ名前を出してきたのだ。

 放置も出来ない。



(調べておくか)

 自分の身近にいる情報源(学校関係者)などから話しが聞ければいいのだがと思いつつ。

 そして、そのカオリの名前を出してきた事に疑問を抱く。



(けど、ああやって名前を出していいのかな?)

 カオリそのものがどんな人物かは分からない。

 しかし、名字からして国の重鎮に連なってるのは想像が出来る。

 だからこそ、その名前を勝手に簡単に出して良いのかとも思った。



(普通、こういう喧嘩に有力者の名前なんて出さないだろ)

 威圧のつもりで言ってるのかもしれないが、それは逆効果である。

 確かに権勢を誇る者達の名前を出せば、それなりの脅しにはなるだろう。

 だが、名前を勝手に出された方はそんな事を看過していくわけにはいかない。

 そのつもりもないのに勝手に名前を出してあれこれされたら、家名に傷が付く。



 何か重要な事でも起こってるならともかくだが。

 つまらない出来事に引き出されれば、家が小さく見積もられるのだ。

 あの程度の事にわざわざ出しゃばってくるのかと。

 もちろん大きな家ならばたいていの問題を片付ける事も出来るだろう。

 だが、大きな家を持ち出すならそれなりの問題でないと釣り合わなくなる。



 一種の見栄とも言えるだろう。

 だから、小さな問題で名前を持ち出すと、持ち出した者にも叱責が飛ぶ。

 勝手に家の名前を使ったという事で取りつぶしになる事さえあり得る。



 なぜなら、名前を持ちだしたら後に引けなくなるからだ。

 名前を出したにもかかわらず、問題が解決しませんでしたではその後に差し障る。

 あそこは図体は大きいが力が無いと見くびられる。

 それは権威にすり寄る下級貴族の離反を招き、貴族社会の中での権勢を失う事になる。



 どんな小さな、弱い者であっても集まればそれなりの影響力は持つ。

 貴族社会もそれは同じで、普段はさして気にもされない下級貴族も、勢力争いでは重要な駒になる。

 それらの離反は、貴族としての力を確実に減少させる。

 そしてそれは、他の勢力からの無意味なちょっかいを増大させる事にもなる。

 だからこそ、大貴族ほど迂闊な事は出来ない。

 家名を簡単に持ち出す事は出来ない。



 今回のスミレの行動はそこに抵触する可能性があった。

 あくまで子供の中での話ではある。

 せいぜい学校内での出来事ではある。

 だが、藤園の家名を出したのは事実だ。

 それを藤園家がどう受け取るか。



 また、はっきりと名前を出された藤園カオリなる人物がどう反応するか。

 そこは全く予想が出来ない。

 何もなければいいとは思うが、そうはいかないだろうとしか思えない。

(面倒になったなあ)

 どうしてこうなった、と思ってしまう。



 もちろん理由はトモルがスミレを叩きのめしたからだ。

 それが原因になっている。

 この際、スミレがやらかした不当な行為を追及する事は出来ない。

 貴族社会において、上の者に下の者が逆らう事などあってはならないからだ。

 だが、人間としてそれは明らかにおかしいとトモルは考えている。

 なので、問題は自分にはないと思っていた。



(本当に分をわきまえない奴だな)

 そうスミレを胸の内で糾弾する。

 悪いのはあいつで、俺ではないと考えて。

 実際トモルが悪いのかというとそうではない。

 ただ、貴族社会がそれを許さないだけである。



(やっぱり戦争か)

 だからこそ、避けられないと思った。

 確信と言って良い。

 人としての道理を掲げるトモルと、貴族としての規律を持ち出すスミレ。

 この二つは決して相容れない事とトモルは考えていた。



(まーた対策をたてなくちゃ)

 面倒が増えてため息が漏れる。

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