167回目 新学期にて行っていく事
これらをこなしながら、組織作りも進めていく。
入学から夏休みまでの間も、協力してくれる者達を集めて運用はしていた。
だが、それだけではただの仲良し集団でしかない。
これを効率良くまとめ、あるいは分割して組織にせねばならない。
でないと、違う学年が掌握出来なくなる。
教師や職員などの学校関係者も同じ事が言える。
トモルの目の届かない所にも、目となり耳となる存在が必要だった。
さしあたっては信用出来そうな者達を頂点にした集団を作っていく。
まとめ役になる頂点の者達には、何かあればすぐに報告をするように指示を出していく。
何も無ければ無いで、その事も報告するようにさせる。
学校内の動きを少しでも掴むためだ。
ただし、事件が起こっても解決する事までは求めなかった。
それが出来れば良いのだが、手に余る事態だって起こりうる。
また、発生した事態の解決というのはそれなりの知識や経験も必要になる。
いきなりやれというのも酷なものだった。
これが子供同士の中での事件ならば、そう難しくはないかもしれない。
だが、ここに集まってるのは貴族の子女である。
出自となる家がここに加わってきてしまう。
名目上、学校内では家を持ち出さない事にはなっているのだが。
それでもどうしても家の権勢がものをいう場面が大きい。
下手に持ち出せば、森園スミレが陥ったような面倒になりはする。
なので、そうそう簡単に家名を持ち出す事はない。
無いのだが、それでも無言の圧力がある。
これが無言のままで終われば良いのだが、なかなかそうはいかない。
子供といえども、貴族社会の一部であるという事に変わりはないのだ。
だからこの学校でのもめ事は解決が面倒になる。
極端な話、学生の代表たる生徒会長であったとしても、家格の高い新入生の顔色をうかがわねばならない事もある。
学校内での役職があったとしても、それがまっとうに機能するとは言い難い。
だからこそトモルは、各学年の組織員達に無茶はさせないようにしていた。
それよりも、簡単で確実にこなせる作業を遂行する事を求めた。
先々はともかく、当面はこれで充分だった。
解決はトモルが行えば良いのだから。
これらを訓練としている事も大きい。
大人であっても初めて行う作業には戸惑うものだ。
まして子供である。
やれと言ってすぐに出来る者などいない。
特に組織立った行動など全く理解してない。
だからトモルは、それを教えるためにも、簡単な事をしっかりやらせるようにしていった。
小さな事でも続けていけば経験となっていく。
そして、そこに馴染めばそれなりの智慧も働くようになる。
学校内の支配を進めながら、トモルは自分の手足となる者達の育成にも励んでいた。




