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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第5章

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161回目 夏のひとときが終わった後の顛末 2

 とりあえず父は、伝手を辿って経験者を探った。

 まずは即戦力がどうしても必要であった。

 新人を雇って鍛えてる暇は無い。

 なので、引退した役人などを探っていく。

 それも、ある程度の役職だった者を。

 でなければ、管理など出来るものではない。



 また、平役人として活動していた者もさぐっていく。

 役職を持っていた者は統率は出来るが、実務の方まで全てを知ってるわけではない。

 指示を出すことは出来ても、指示された事をこなす能力はまた別である。

 なので、言ってみれば下っ端として働いてた者もどうしても必要になる。



 こういった人材をとりあえず探して、柊領へとやってきてもらった。

 いずれも定年退職した者達である。

 現役の者達を引き抜くわけにはいかなかったのでこうなった。

 ただ、長年仕事をしてた者達なので、さして手間取る事もなく仕事をこなし始めてくれた。



 それらに加えて若手を下につけていく。

 仕事が出来る者達はありがたいが、基本的に定年退職した者達なので働かせるのも酷である。

 それに、どうしたってそのうち世代交代する。

 それまでに出来るだけ仕事をおぼえさせねばならない。

 なので、若い者を現役復帰した者達の下につけて仕事をおぼえさせていった。



 この若手を集めるのも大変だった。

 とりあえず隣近所の領地を治める貴族に声をかけていったのだが、意外とこれがはかばかしくない。

 どの貴族にも子供はいるのだが、だからといって適した年代の者がいるというわけではない。

 部屋住みのまま30代になった者もいるし、まだ少年と言ってよい者しか居ない所もある。

 年齢的には問題無いが、女子しかいないという場合もある。

 なので、近隣の領主に打診をしても意外と人数が集まらなかった。



 ならば一族から、となる。

 血筋の同じ同族から、適した年代の者がいればと声をかけてもいった。

 しかし、今度は別の問題が発生する。

 貴族としての地位である。



 同族と言っても同じ位階ばかりというわけではない。

 男爵という一番下の家が多いのは確かだが、中には子爵などもいる。

 そういった家の者は、男爵家の仕事など、と拒否していく。

 身分がはっきりしてる社会なので、自分より格下のところに勤めるというのが出来ないのだ。



 正式にそうなるわけではないが、もし柊家の下で働くとなると家臣や家来のような扱いになってしまう。

 位階が上の者が下の者の家臣や家来になるというのは、貴族社会としてはさすがに考えるものがある。

 上の家の者が下の家に人員を派遣するというならともかく、そうでもないならこれは階級を崩しかねないと考えられてしまうのだ。



 そういった問題を解決したとしても、名誉に泥を塗られると考える者もいる。

 誤った矜恃のもちかたであるのだが、貴族社会となると位階が色々と絡んでくる。

 自分のより格下のところになどいけないというのも、この中ではそれなりの意味を持っている。



 そんなこんなで人手集めはかなり難儀する事になった。

 それでもどうにかこうにか伝手を手繰って人を集め、何とか領主としての仕事をこなしていく。

 しかし、その後も少しずつ増大する冒険者や商売人を相手にするために、更なる人員増強が求められていく。



 何せトモルが潰したダンジョンは数カ所。

 それぞれに100人を簡単に超える数の冒険者がはりついていた。

 場所によって差はあるが200人近く、大きなところでは300人というようなところもある。

 これらのうち半分以上が柊領に流れてきている。



 冒険者を相手にする商売人も加わるので、柊領にやってくる者達の数は500人ほどにはなるだろうか。

 これらがもたらす利益は大きいが、管理するとなると相応の人員が必要になってくる。

 頑張って集めた人員だけでは足りなくなるのは当然であろう。



 柊家の当主はそれでも方々に手を伸ばして人を集めようとした。

 それが自分の息子にも及んだとして誰が責められようか。

『友達のご家族に、手の空いてる者がいたら紹介してもらうよう頼んでくれ』

 こんな内容の手紙がトモルのもとに届くのに、そう長い時間はかからなかった。



 それを受けてトモルは、意気揚々と学校の友達……というか手下に声をかけていった。

 既に候補にあがっていた者達は、トモルに言われるまま家族に手紙を書き、柊領への家族の推挙を促していった。

 この後書きを書き込んでる時点までに送ってもらった誤字脱字報告分は修正しました。

 助かってます。

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