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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第4章

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112回目 ボス攻略の前哨戦、下準備

(でも、気持ち悪いとは言ってられねえか)

 こみ上げてくるおぞましさ、どうしようもない違和感。

 それらを感じつつも、トモルはやるべき作業に向かっていく。



 歪で異様に思える存在だ。

 だからこそ、放置するわけにもいかない。

 このダンジョンの主なのだ。

 そして、モンスターの産みの親でもある。



 今もトモルが見てる前で、次々に卵を作り出している。

 そうして生み出された卵から、続々と新しいモンスターが生まれている。

 このままでは、ダンジョンに大量のモンスターが満ちる事になる。

 成長すれば、いずれ脅威になるだろう。

 そうでなくても、トモルの方にモンスターの幼虫は接近してくる。

 襲ってくる前に倒さねばならない。



 まず最初に低下魔術を使っていく。

 これによりモンスター全体の能力を下げていく。

 幼虫と言えども大量にいるモンスター。

 そのままにしておくのは面倒だった。



 何せ、幼虫とはいえ、大きさは10センチはある。

 そんなものがまとめて襲いかかってきたら、対処しようがない。

 それに加え、そこそこ育ってるものもいる。

 それらが合わせて何百匹といる。



 さすがにその全てを一気に相手にする程トモルに余裕はない。

 まずは下準備として、可能な限り能力を低下させていった。

 ついでにダンジョン中枢の巨大メス虫にも魔術をかける。

 それが向かってきたらもっと厄介な事になるのだから。



 それが終わると、この空間の空気を渦巻かせていく。

 乱気流というほどではないが、空気の流れを乱す。

 こうして、虫が飛んでくるのを阻んでいく。

 飛びかかってくるのも、飛んで逃げるのも面倒だ。

 それを阻害していった。



 そうしてから、足下の土を細かく砕いていく。

 子供の頃、家の近くでバッタを大量に始末した時のように。

 やることはその時と同じだ。

 土を軟らかくして地面の中に沈めていく。

 今回は大量にいる幼虫をまとめて沈めていった。



 更に水を魔術でうみだし、地面を泥に変えていく。

 土に沈んだ幼虫たちは、いよいよ身動きがとれなくなる。

 どれだけもがいても、泥の中から出てこれない。



 沈んで積み重なった幼虫たち。

 それらは自分の姉妹を下敷きにしながら、沈んでいく。



 最後に魔術の炎を発生させていく。

 それを泥にかぶせる。

 泥の中で幼虫は、熱にあぶられて死んでいく。

 死ななかったものも、水分を失い固まった土の中に閉じ込められる。

 姉妹の死骸を重しにされ、身動きがとれなくなった。



 加えて、炎を卵にもぶつけていく。

 意外にも卵はよく燃えていく。

 次々に燃え広がり、あっという間に全ての卵が炎上した。

 密集していたのがあだになったのだろう。



「すげえな」

 まさかここまで簡単に燃え広がるとは思わなかった。

 トモルも驚いてしまう。



 ついでに周囲にも炎を拡大していく。

 そこらに生えていた草木にも着火させる。

 潜んでいたモンスターも炎の中に取り込むつもりで。

 その狙いはあたったようで、炎が拡がるほどに、鳴き声があがった。



 その炎は中枢近くだけに留まらない。

 ダンジョン全体に拡がっていく。

 普段なら危険だからこういう延焼するような事は避けているのだが。

 どうせ壊すダンジョンだからと、そんな気遣いも捨てた。



 時間はかかるが、炎はダンジョンに広がりつつある。

 それがダンジョンを焼くのが先か。

 それとも、中枢を破壊してダンジョンが消えるのが先か。

 この場に残る最大の敵を見ながら、トモルは中枢であるモンスターに向かっていった。

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