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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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忍び寄る影響

 ゲームのシナリオとは、全く違う方向に、悪役令嬢である私が動き出してしまった。その影響は……静かに、でも確実に。私に忍び寄ってきていた。


 まず、継母と父親はぎくしゃくとした関係になる。どうやら父親は自身の性癖を継母には明かしていなかったようなのだ。代わりに父親は、病気を理由に、継母と寝室を別々にしていた。つまり夫婦関係が一度もない。


 この世界で結婚は、愛が前提ではなかった。特に貴族において、損得抜きで、純粋な恋愛感情だけで結婚することの方が少ない。様々な忖度と打算で、結婚は成立している。父親は金山を欲し、マリセットは地位と名誉と金を欲しがった。利害が一致し、結婚したのだ。妥協は必要だったと思うが、継母は違った。


 継母は次第に、父親と夫婦の営みがないことに、ストレスをためる。本人は自身の美貌に自信と持っていただけに、なおのこと父親が手を出さないことが、許せなかったようだ。継母は次第に男性の使用人に手を出すようになるが、父親は見て見ぬふり。しかも丁度その頃、調査を始めたあの山で、金が採掘された。父親は「金山の採掘作業を、軌道に乗せる必要があるから」と、屋敷を出た。


 つまり金山に近い、継母とロージーがかつて暮していた屋敷へ、単身赴任してしまったのだ。


 ヘッドバトラーや主要な使用人を引き連れ、父親が屋敷を出てしまったので、新しい使用人を継母が雇った。そして留守宅を預かった継母は、次第に屋敷の女主として、君臨するようになる。


 同時に。


 金山は本格的な採掘が始まり、父親は年単位で屋敷へ戻らないことが確定した。


 父親が屋敷を出てから数か月は落ち着いていた。


 でも……変化が訪れる。


 それは、ロージーの無邪気な一言から始まった。


「どうしてパメラお姉さまには婚約者がいて、ロージーには婚約者がいないのですか?」


 ロージーは平民成り上がりの領主の子供であり、貴族ではなかった。この乙女ゲームの世界では、貴族の子供は比較的若いうちに、婚約者を決めることが多い。対して平民は年頃になってから、幼馴染みや年齢の近い男女の間で結婚話が浮上する……ということがほとんどだという。


 よって男爵家の養女だった私に婚約者がいて、ロージーに婚約者がいないことは、別におかしなことではなかった。だがこれをきっかけに継母は、いろいろと気づいてしまうのだ。


 私のドレスがロージーよりも上質であることに。与えられている私の部屋の日当たりが、とてもいいことに。相応な宝飾品を私が持っていることに。一つ目がつくと、ありとあらゆることが目に付く。そんな状態に、継母はなった。


「パメラには、新しいドレスを買ってあげるわ。それにもう、サイズが合わないでしょう」


 そんなことを継母は言い出し、私から上質なドレスを取り上げ、ロージーに着せるようになった。代わりに与えられるドレスは、安物のドレス。部屋は北向きの寒い部屋に変えられ、私がいた南向きの部屋は、ロージーが使うことになった。「ドレスに合うブローチがないから借りるわね」と継母が持ち出した宝飾品は、戻されることはない。お茶の時間でロージーには、沢山のスイーツが用意されたが、私にはケーキ一つのみ。


 そうやって少しずつ、私から継母は奪っていく。気がつけば宝飾品は、肌身離さず身に着けているペンダントのみ。このペンダントは捨て子だった私が着けていたもので、もしかすると身元につながるものかもしれなかった。ともかくこれ以外の宝飾品は、すべて継母の手に渡っている。


 そうやって継母から奪われた続けた結果、上質なドレスは、マクシエンと会う時に着る一着のみになっていた。部屋のベッドは天蓋付きではなくなり、ソファセットも部屋にはない。文机もドレッサーもなく、木製の古びたテーブルと椅子のみ。


 さらにマクシエンが私に会いに来ても、私は体調が悪いことにされ、会わせてもらえなくなった。代わりにロージーが、マクシエンに会うことになった。


 父親に何度も手紙を書いたが、返事はこない。書いた手紙はどうやら父親に届くことはなく、握りつぶされている。そのことに気づいたのは、冬の日の朝だ。暖炉のない北向きの部屋は、常に寒い。目覚めると着替えも早々に、ダイニングルームへ向かうのが、その頃の日常だった。なぜならダイニングルームは、朝食のために朝一番で、暖炉がつけられているからだ。


 毎朝いち早くダイニングルームにやってきて、暖炉の前で震えている私を見ると、継母はこんなことを言う。


「腹をすかせた野良犬ね。朝一番でダイニングルームへ来るなんて。餌をくれと待つ、薄汚い犬だわ。とても男爵家の令嬢とは思えない。見苦しいわ」


 そんな言葉を投げつけられても、寒さには勝てない。そうやってダイニングルームにいち早く向かっていたのだけど。その日は昨晩からの雪で、使用人も忙しかった。私がダイニングルームについても、まだ暖炉はついていない。火はついていないが、暖を求め、暖炉のそばに私は向かっていた。


 すると、淡いピンク色の紙が見えた。もしやと思い、確認すると……。それは、私が父親に送ったはずの、手紙の一部。燃えずに残っているのを、発見したのだ。


 手紙を預けたメイドが、自身の意志でこんなことをするだろうか? そこで探ったのだ。メイドに「お父様へ手紙を書いたの。お願いね」と言って。手紙を受け取ったメイドの後をつけた。メイドが私の手紙を持ち、向かった先は、継母の部屋。


 私が父親に書いた手紙は、継母により、握りつぶされていたわけだ。


 父親は、多くの使用人を連れて行ってしまった。今、屋敷にいる使用人に、私が昔から知る者は、ほとんどいない。ほとんど、で、ゼロではない。でも父親が残していったぐらいだ。何かしら問題があるような者だった。継母やロージーのみならず、他の使用人が私の陰口をたたいても、一切関知せずだ。


 結局、今いる使用人は、継母の言いなり。屋敷の中に、私の味方はいない。それならば父親に会いに行き、この状況を訴えるしかないと思ったが……。


「父親に会いに行く? それはダメよ、パメラ。お父さんはね、お仕事が忙しいの。手紙を書いても返事が来ないのが、その証拠よ」


 手紙を暖炉で焼いていることなど棚にあげ、継母は私が父親に会いに行くことを許可しない。使用人に頼み、こっそり父親に会いに行けないか画策するが、「奥様に報告します」と言われ、無駄だった。


 そこで私は、継母たちの目を盗み、屋敷を抜け出し、父親に会いに行こうとした。だが、それがバレると――。


 継母は「育ててやっている恩を忘れ、屋敷を抜け出すなんて! お前はこの屋敷から、一歩たりとも外へ出るんじゃないよ」とついに私を、使用人として扱うようになった。


 普段着るのはメイド服で、部屋も移された。そこは……屋根裏部屋だ。


 そこからは毎日のように、屋敷の掃除、洗濯、料理の用意と、家事をするのが当たり前になった。私につけられていた家庭教師は、ロージーのために、屋敷へ通うになっている。そうなる以前から、ロージーは、私が家庭教師に勉強を習う時、同席するようになっていた。


 表向きは姉妹で勉強に励みましょうだが、実際は継母による私の監視と嫌がらせだ。監視……それはこの屋敷で虐待を受けていることを家庭教師に話さないか、ロージーに見張らせている。


 嫌がらせ……それは勉強の邪魔をすること。領主の娘として暮らしていた時、ロージーは、読み書きをろくに習っていなかった。よって同席していても、私の勉強についていけない。すると余計な質問を家庭教師にしたり、「絵の勉強をしましょう。絵を描きましょう」と我が儘を言ったり。


 ともかくそんな状態が続いていた中、突然、私がいなくなり、ロージーだけが引き続き授業を受けるとなった。家庭教師は、私がどうしたのかと継母に尋ねた。だがその時、継母はこう答えた。


「行儀見習いのため、王都へ向かいました」


 もはやこの屋敷にさえ、存在しない人間扱いにされたのだ。


 こうなるとロージーも、継母と一緒に私へ嫌がらせを行う。屋根裏部屋の私のベッドの毛布の下に鼠の死骸を置いたり、洗濯物を干す私に二階からバケツの水をかけたり。さらには私が肌身離さず大切に持っていたあのペンダント――それは瞳と同じ紫色の宝石がついたペンダントも、奪った。


 赤ん坊だった私が服以外で唯一身に着けていたペンダント。紫色の宝石も美しかったが、生みの親が残したものだと思い、大切にしていたのだ。「お願いだから、返して!」と頼んでも「そんなみすぼらしい服にこのペンダントは似合わないでしょう、お義姉ねえさま」と笑うばかり。


 しかも私を嘲るように、そのペンダントを、これ見よがしに、毎日身に着けているのだ。


 ヒドイ、ヒド過ぎる!


 一年に一度。父親が屋敷に帰ってくる。

 その時に、この継母とロージーを、父親に訴えると私は心に決めた。

 だが……。

お読みいただき、ありがとうございます!

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