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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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プロローグ

「パメラ・ライヴリィ、君との婚約は破棄する。義理の妹であるロージーをいじめ、腐った物を食べさせようとしたり、物置に閉じ込めようとしたり。一つ一つが些細なことであれ、君のその性悪な精神は、我が子爵家には相応しくないんだよ」


 マクシエン・セバ・スクリフは、焦げ茶色の髪をかき上げ、ブラウンの瞳で冷たく私を一瞥する。その上でさらにこんなことまで付け加えた。


「それに君の紫の瞳。そんな瞳を持つ者、我がスクリフ子爵領では見たことがない。おそらく、君のような瞳の色の者は、この国にいないぞ。ロージーは異国の奴隷の血が流れているかもしれないと言ったが、そうかもしれないな。その性格の悪さからすると」


 マクシエンは、私の義理の妹ロージー・ライヴリィを自分の胸へと抱き寄せる。ピンクのドレスを着たロージーは、マクシエンへ身を寄せ、クスクスと笑いながら私を見た。


 確かにこの国では、マクシエンのような髪と瞳の人間が多い。そんな中、ロージーは、まさにお姫様のような姿をしている。母親譲りの金髪に碧眼、小顔で可愛らしく、男性がぎゅっと抱きしめたくなる姿をしていた。ちなみに父親は、マクシエンと同じ、髪と瞳の色をしている。


 対する私は……。


 銀髪に紫の瞳と、マクシエンが言う通り、瞳だけでなく、髪色自体も珍しいことになる。……まあ、白髪や銀髪の人もいるので、マクシエンは髪については触れないが、十八歳という年齢でこの髪色は、この国では珍しいだろう。


 それにしても。どうして……こうなったのかしら?


 私は……『ロマンスを君と~月に乾杯~』という、西洋の貴族っぽい世界を舞台にした、乙女ゲームの悪役令嬢に、転生したはずだった。そして悪役令嬢パメラは、本来、この銀髪と紫の瞳を武器に、第三王子の婚約者となるはずだった。そしてヒロインをいびり、最終的にヒロインの攻略対象の誰かから、断罪されるはずなのだ。


 それなのに今、私に婚約破棄を告げているのは、第三王子でもなければ、ヒロインの攻略対象でもない。ハッキリ言えば、ただのモブだ。マクシエンは。


 父親であるライヴリィ男爵は、領地に銅があると言われている山をいくつか保有していた。だがそのうちの一つでなかなか銅は産出されず、採掘のために出費がかさみ、借金が増えてしまう。そんな時、お金を借りるため、私のことを娼館に売ろうしたのだ。


 そもそも父親であるライヴリィ男爵は、未婚だった。理由は――父親は女性ではなく、男性が好きだったからだ。ではなぜ私がいるのかというと。父親が当時交際していた騎士が、遠征からの帰り道で、たまたま捨て子になっていた赤ん坊の私を、見つけたのだ。


 粗末な布にくるまれ、着ている服も、村人が着るようなもの。人減らしで捨てられたのだろうと思った騎士は、私を連れ帰ることにした。父親との間に、子供は望めない。ならばこの哀れな赤ん坊を、二人の子供として育てようとしたわけだ。


 騎士が健在なうちの記憶は、楽しいものだった。父親も私を、実の子供のように、可愛がってくれていた。だが再び、戦争が勃発し、騎士が戦場に出向き――。


 それは大陸での最後の戦いと言われた。その戦争を最後に、この大陸では戦はなくなった。同時に。騎士も父親と私の前から消えた。戦場の星となって、消えてしまったのだ。


 そこからの父親は事業に没頭し、私の育児は乳母任せになる。その一方で、主力事業の鉱山の採掘は、うまくいくこともあれば、失敗することもある。銅がなかなか産出されない山のおかげで、借金がかさんだわけだ。


 それは私が十二歳の時だった。


 私は物心ついた時に前世の記憶を取り戻しており、ここが乙女ゲーム『ロマンスを君と~月に乾杯~』の世界であることは既に把握していたし、自分が悪役令嬢であることも自覚していた。だがゲーム内で、悪役令嬢の幼少期なんて、語られていない。パメラが娼館に売られそうになるなんて――そんなことがあったのか!と、衝撃を受けることになる。


 その頃の私は、ヒロインとその攻略対象による、断罪回避のことばかり考えていた。突然、娼館に売られるかもしれない――となった時、それは大混乱だ。そんなの聞いていないよ~!と。


 悪役令嬢がそもそも捨て子だったという設定も驚愕だった。ゲームではそんなこと、明かされていない。よってゲームの説明にはなかったが、パメラはライヴリィ男爵夫妻の実子であり、母親は病か何かで亡くなっていたのだろう――と思っていたのだ。


 だが、実際は違う。パメラは表向き、ライヴリィ男爵家の遠縁の親戚の養女――という扱いになっていた。捨て子なのに、遠縁の親戚の養女で認められてしまうのは、乙女ゲームの世界であり、法制度が緩いからか。それともこの世界はかつて戦争が多く、人口変動が激しかったからか。それは分からない。


 ただ、事実は小説より奇なりと前世ではよく言われていたが、まさにその通りだと思った。何より乙女ゲームの制作者が、悪役令嬢パメラに、こんな生い立ちを盛り込んでいたなんて! 心からビックリだった。


 とにかく生い立ちがビックリの悪役令嬢パメラだが、十二歳で娼館に売られたら、どうなるのか。ここは前世のように、何もかもがガッチリ制度化されているわけではない。完璧な法律が整備されているわけではなかった。娼館の下働きで済むのか、客をとらされることになるのか、それも分からない。


 なんとか娼館行きを回避しなければ! 


 断罪回避で頭がいっぱいだったのに。

 まさか娼館回避で頭を悩ませることになるなんて……!

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