表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第一弾:ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/57

詰めは甘くない

 アステアが溺死しそうになった時、助けてくれたのは第二王子のオーランド・ウィリアム・スターリッジだった。そしてその母親がメリア王妃。


 マーティンとオーランドは異母兄弟だ。つまり、母親が違う。マーティンの母親は隣国の王女として国王陛下と結婚した。いわゆる政略結婚だ。夫婦としての仲は……よくなかった。そして国王陛下の嫡男となるマーティンを生むと、自身の近衛騎士と共に、この国から彼女は姿を消した。


 その後、新たに王妃となったのが、現王妃殿下のメリアだ。


 メリア王妃は国王陛下と恋愛結婚している。政略結婚で失敗した国王陛下の心を癒した優しい方だった。王太子の五歳年下となるオーランド第二王子を生んだ後も、オーランドを無理に王太子に押すこともない。臣下は皆、近衛騎士と駆け落ちした前王妃を嫌い、オーランドを王太子にと押す声もあったが、そうはしなかった。


 前王妃には非があった。でもマーティン自身には非がない。それなのに彼を廃太子するのは道に外れますと、メリア王妃は言って、国王陛下と臣下を説得したのだ。


 賢く、優しい方。この方なら私の証人になってくれる。


 そう思い、王太子妃教育の合間を見つけては、メリア王妃に会いに行き、沢山話をしてきた。そしてゲームをプレイしていた記憶から、濡れ衣を着せられる日時を特定したのだ。ベアリリスを階段から突き落とそうとした――あの茶番をマーティン達が行う日時に、私はメリア王妃に会いに行った。そこでマーティンとベアリリスが急接近し、悩んでいることも打ち明けていたのだ。


 でも王妃と会っていることをマーティン達に知られたら、邪魔をされる。王妃が証人にならないよう画策されると、分かっていた。だからあえてスーザンに伝えたのだ。


「明日は、宮殿にある温室に籠るわ。あそこは本当に誰も来ないの。だから集中して読書するには最適。でも……もし一日私がそこに籠っていて、何か事件が起きたら、私が温室にいたと証明できる人はいないから、困ってしまうわね」


 これを聞いたスーザンは狂喜乱舞。


 なぜなら。


 スーザンは、王太子の婚約者であるアステアを妬んでいた。先に助産婦に抱き上げられたからと、姉とみなされ、王太子の婚約者になるなんてズルい――と。


 その一方でスーザンは、自身が王太子の婚約者になる気はさらさらなかった。王太子妃教育を受けるぐらいなら、美味しいスイーツを楽しみ、沢山の令息からちやほやされたい。だから願いはただ一つ。やがてはこの国の王妃になる姉アステアを、王太子の婚約者の座から引きずり下ろしたいと、ずっと思っていたのだ。


 そこにヒロインであるベアリリスが登場した。ベアリリスはヒロイン。可愛らしさを詰め込んで、リボンで美しくラッピングしたような少女だった。マーティンもあっという間にベアリリスを好きになる。


 その状況をつかんだスーザンは、マーティンとベアリリスに計画を持ち掛けた。


 非がない相手と婚約解消をすれば、王太子としての名声に関わる。ここは私を……アステアを悪女に仕立てて、排除<婚約破棄>するのが一番。そう、そそのかしたのだ。


 そこで提案したのが殺人未遂事件。


 アステアがベアリリスを、階段から突き落とそうとしたという、でっちあげ事件だ。スーザンは前々からこの計画を練っていた。いつ、どこで実行すれば、より効果的か。沢山の目撃者を得られるか。すべて把握していた。


「多数の目撃者……証人を用意できる場所と時間は分かった。だが肝心のアステアは、階段を突き落とそうとした犯人は、どう仕立てる?」


 そう問いかけている時点で、マーティンは詰んでいたと私は思う。そこは悩むところではない。なぜならアステアと瓜二つの双子、スーザンがいるのだから。


 そう。


 スーザンが私になりすまし、ベアリリスを階段から突き落とすという三文芝居を打っただけなのだ。


 私がこの事実を打ち明けると、マーティン、ベアリリス、スーザンの顔から、一気に血の気が引く。私の両親は、驚愕の眼差しでスーザンの顔を見ている。


 そこでメリア王妃が追い打ちをかけてくれた。


「私は確かにその日、その時間に、伯爵令嬢アステア・ユーリーとお茶をし、2時間程おしゃべりをさせていただきました。彼女が王宮の私の私室を訪ねたことは、公文書として記録されています。侍従長やメイド長、私の近衛騎士も見ていますし……」


 そこでメリア王妃が、隣に座る国王陛下を見た。


 ブロンドで青い瞳の国王陛下は、マーティンに見た目はよく似ている。だが性格や頭脳は、全くマーティンとは違う。


「陛下のこともお呼びしましたわよね。アステアが大変興味深い書類を持参してくれたので」


 すると国王陛下はメリア王妃に対し「そうだな」と頷き、頭痛がするという感じで、眉間を押さえた。その上で、青い瞳をマーティンに向けた。


「……マーティン。お前は本当に……なんてことをしているのだ。こんな三文芝居を打ち、自分の正当な婚約者であるアステアを貶め、辱め、名誉を汚した。さらにはユーリー伯爵の膝まで折らせる始末」


 国王陛下の言葉に、マーティンの唇がブルブルと震えている。


「メリアがお前を擁護するから、これまで王太子に据えてきた。だがそれも限界のようだ。マーティン、お前は自身の名で主催したチャリティーパーティーで貴族達から集めた寄付をどうしたのだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●短編集●
バナークリックORタップで目次ページ
浮気三昧の婚約者に残念悪役令嬢は華麗なざまぁを披露する~フィクションではありません~
『完結●浮気三昧の婚約者に残念悪役令嬢は華麗なざまぁを披露する~フィクションではありません~』断罪の場で自ら婚約破棄宣告シリーズ第四弾。

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ