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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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真摯な気持ち

ヴィクターの過去視点です。

 とんでもないことをわたしに尋ねるため、彼女は声を小さくした。あまりにも声が小さいので、耳元で話すよう頼むと、彼女はわたしの香水に気づき、こちらの想定以上に顔を近づけたのだ。


 おかげで鼓動が激しくなり、彼女を抱きしめたくなる衝動に、わたしは襲われていた。あの近さに彼女の顔があり、息を感じながら、自制できた自分をどれだけ褒めたことか。無自覚な彼女に、完全に骨抜きにされた。


 骨抜きにされ、もう気持ちが収まらなくなり、告白を仄めかす言葉を口にしてしまった。


 ――「わたしが令嬢のあしらい方を覚えたのも、婚約者を作らないのも、それはすべて皇女様のせいです」


 すると彼女は、明らかにドキッとし、そこで驚愕の表情に変わる。その上で怪訝そうな顔になったのだ。


 驚くのは……当然だと思った。


 好意を示す言葉を伝えたのだから。

 でもなぜ、訝し気な表情になるのだろう?

 不思議だった。


 でもそこで「あ、あの、殿下。もしやテンセイシャですか?」と言われた時には……。

 本当に目が点になってしまった。

 しばらく考え、テンセイシャ=転生者と理解したが、なぜ突然、転生者と問うのだろう?


 分からない。


 だが彼女の方は彼女の方で、私が「皇女様のせいです」と言ったことが、理解できていないようだった。つまり、好意をわたしは仄めかしたつもりだったのに。気づいていない!


 彼女らしいというか、なんというか。

 とにかくもどかしくなり、我慢できなくなった。


 ――「自分でも分からないのです。分からないのですが、あの日、あの時、あの場所で。皇女様を見てから、忘れられないのです。ずっと。その結果、皇女様以外との未来が、考えられないのです……」


 これにはさすがに意図に気づき、彼女の頬が薔薇色に染まる。


 こうなったら、言うしかない。何より彼女は、ウィンザーフィールド帝国の皇女なのだ。手をこまねいていたら、彼女は帰国してしまう。その前に、気持ちを伝えないといけない。


 ただ、彼女にとって、わたしに会うのは、今日が初対面も同然だ。そんな状況でこんなことを伝えるのを許していただきたい――そう前置いた上で、気持ちを告げた。


 ――「わたしは……皇女様に恋をしています」


 あの時はもう、自分の心音が温室中に響いているのではないかと思った。

 それぐらい、鼓動が激しく、全身が熱くなっていた。


 一方の彼女は、明らかに困惑している。


 それは……そうだろう。

 初対面も同然で、わたしのことが分からないのだから。これで想いを打ち明けられ、即答したら、見た目と身分で好きになったことになる。そうではなく、わたし自身を知り、その上で好きになってもらいたかった。


 ならば急いで告白しなくてもと思うが、これは必要なことだったのだと、自分に言い聞かせる。そして彼女に提案した。


 ――「ウィンザーフィールド帝国に戻られるまでの間。我が国にいらっしゃる間に、チャンスをいただけないでしょうか。皇女様と散歩をしたり、食事をしたり、お茶をしたり。観劇したり、観賞したり……。そんな時間を皇女様と持ちたいのですが、いかがでしょうか?」


 自分でも恥ずかしいぐらい必死になっていた。

 ずっと、彼女に片想いしていたのだ。

 今さら引くなんてできない。ただ、時間がなかった。

 何より。

 ずっと夢見ていた。

 彼女の手を取り、庭園を散歩することを。

 ゆったりした空間で、共に食事を楽しむことを。

 彼女が喜びそうなスイーツを沢山用意して、お茶を楽しむことを。


 オペラや演劇を観たり、演奏会を聞きに行ったり。美術館や博物館へ行くのもいい。

 彼女と……デートをしたかった。


 わたしの真摯な気持ちは彼女に伝わったようだ。

 彼女はしばし無言で、真剣な表情で考え込む。

 その間、わたしの心臓のあのドキドキは……。血の気も引き、震えそうにもなっていた。


 だが遠慮がちに、彼女が口を開いた。

 その可愛らしい唇から告げられた言葉は――。


 ――「まだしばらくはこの国にお世話になると思います。私は王都へまだ行ったことがないですし、正直この男爵領以外、ほとんど行ったことがないので、ぜひいろいろ案内くださりますか?」


 喜びで胸が震え、涙が出そうになる。

 だがここは泣いている場合ではない。

 喜びを伝えようと、心からの笑顔で返事をしていた。


「勿論ですよ、皇女様!」――と。

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