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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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恋に落ちる

ヴィクターの過去視点です。

 あれは十歳の時だった。王族主催の剣術大会があり、わたしを含めた二人の兄も、その大会に参加していた。まだ披露できる程の剣術の腕はない。よって、剣を使った型の披露を行った。勿論、真剣を扱うから、兜に甲冑を身に着けている。披露を終えたわたし達は、甲冑を脱ぐため、控室に戻ってきていた。


 他の子供は大部屋で着替えだが、王族であるわたし達は、専用の控室が用意されている。そこで兄弟三人、従者の手で甲冑を脱ぎ、着替えさせてもらっていた。


 その時、二人の兄は、婚約者選びの真っ只中だった。つまり王太子教育の合間に、お見合いを何度もしていたのだ。王太子である長男ルソワは十五歳、次男ウォーレンは十三歳の時のこと。


「結局、王族に生まれたからには、初恋が実る。好きな女子と結ばれるなんて、無理な話なんだよ」


 長男ルソワの嘆きに、次男ウォーレンも同意する。


「そう思う。僕はお見合い相手の中では、公爵家の令嬢が気に入ったけど、このままだと、隣国の王女と婚約になりそうだ」


「ああ、イスメラ王国の王女か。すごい我が儘王女なんだろう? でも仕方ないな。イスメラ王国は小麦の生産量がダントツ。政略結婚でお前は、イスメラ王国の王女と婚約だな」


 ルソワに指摘されたウォーレンは「なんで僕は王族になんか生まれたのだろう」と嘆く。


「ヴィクター、お前も他人事じゃないぞ。お前は末っ子だから、ある程度は自由だろう。とはいっても結婚相手は親から押し付けられるぞ」


 そんな話を散々聞かされ、婚約者を作ることにも、結婚にも、ひいては女子に対しても、なんだか距離を置きたい気持ちになっていた。


 そんなわたしだったから、自分の周りにいる女子を好意の対象として見ることはなかった。


 それなのに。


 誰かを好きになる。それは……不可抗力なことなのだと、思い知ることになった。


 わたしが一人の少女に恋に落ちることになった日。

 それは恋とは程遠い状況にいた。十二歳の時の出来事だ。


 車輪がぬかるみにはまり、どうにもこうにもならない。御者は、普段の王都の石畳に慣れており、こんな泥道で車輪がはまることは、初めての経験だった。通りがかかる馬車があれば、馬をかり、牽引してもらえばいいだろうが……。


 王都ではひっきりなしに馬車は勿論、荷馬車や幌馬車が往来している。馬車道はごった返し、歩道も人で溢れていた。でもここは……王都から離れた場所。馬車も人の往来も全くない!


 困り切っていたところに、一台の馬車がやってきた。快く、牽引してくれたおかげで、車輪はぬかるみから抜け出すことができたのだ。しかもわたしはお忍びで外出していたので、たった一人、馬車の中に留まることになったが……。


 牽引してくれた馬車に乗っていた少女は、侍女と共に、馬車から降りてきていた。


 まず目をひかれたのは、少女のその美しい白銀の髪だった。

 ブロンドでもないその髪は、太陽を受け煌めいていた。

 次に目が釘付けになったのは、アメシストのような珍しい紫の瞳。

 あんな瞳の色は、見たことがない。本物の宝石のようで驚き、感動してしまった。


 さらに着ているドレスも、その髪色と瞳にピッタリで、愛らしく、そして可愛らしい。

 アイボリーのドレスには、襟、袖、裾にラベンダー色のフリルがついている。貴族の令嬢らしく、かつその少女の魅力を底上げしているように感じた。


 何より彼女は、わたしが乗る馬車の馬と、それを牽引する自身の馬車の馬に対し、声援を送っていたのだ。


「頑張って! もう少しよ。偉いわ、ファイト!」


 困っている人を助け、あんな風にエールを送れる少女に、心の中で炎がぽっと灯った。


 本当はあの場で、御礼を直接伝えたかったし、できれば名乗り、彼女の名前も知りたいと思っていた。でもそれはお忍びゆえにできず……。


 金貨一枚を御礼として渡し、終わるなんて不本意だった。だが護衛についている近衛騎士は「貴族の令嬢であれば、社交界デビューのため、王都へ来ますよ、殿下。例え、地方領の貴族でもあっても、社交界デビューは宮殿の舞踏会ですから、大丈夫です。そこで必ず会えますよ」とわたしをなぐさめてくれた。


 それからは、そこまで好きではなかったダンスの練習に励み、舞踏会にも顔を出すようにしたが……。


 彼女との再会はかなわない。


 しかもわたし自身が、年齢的に婚約者を……と言われる事態になってしまった。そこは自分が第三王子であることを強くアピールし、なんとか、なんとか婚約者を決めないでやり過ごすことができていた。でも、それもいつまで持つかは分からない。


 それにわたし自身が婚約者を作らないよう、両親を説得できても、妙齢の娘を持つ貴族が、わたしを放ってはおかない。それらを懸命にかわし、なんとか婚約者を作らずにいたが……。


 光明が射す。


 それは突然もたらされた、未知の大国ウィンザーフィールド帝国から父親に……国王陛下に届けられた書簡だ。そこには驚くべきことが、書かれている。これまで公にされていなかった、ウィンザーフィールド帝国の皇族を見舞った災難――皇女の誘拐の話だ。

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