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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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孤立無援

 使用人にされ、こき使われるようになって半年後。


 父親が屋敷に戻る日が決まった。父親が戻る当日、私はロージーの捨てる予定のドレスを着せられた。袖や裾の長さがあわなくても、おかまいなしで。しかも「お母様にはよくしていただいています」と言わされた。虐待されている実態を訴えたいと思った。でも常に継母と使用人に監視され、それは無理。しかも父親もできれば継母と一緒にいたくないので、日帰りでまた帰ってしまう。


 手紙を父親に、渡そうともした。だがそれもめざとく気づいた使用人により、止められてしまう。しかも取り上げられた手紙は継母に渡され……。鶏小屋で一週間、過ごすことになった。


 何度も逃げ出そうとした。


 だが屋敷から逃げ出そうしても、敷地の外に出る前に、捕まえられてしまう。犬まで放たれるのだから、たまったものではない。それに捕まると、食事抜きとなり、さらに汚れたバケツの水をかけられ、犬も食べないような残飯を与えられることもあった。加えて他の使用人に私を監視させ、もし逃げ出すところを見つけたら、ボーナスが与えられることになっていると知った時……。逃げ出すのは無理だと悟る。


 それでも一度だけ。

 いいところまで逃げることができた。

 何度かの逃亡で、犬に追われることが分かっていたので、肉を持って逃げたのだ。犬が追ってきていると分かると、肉を明後日の方角に投げた。すると犬は私よりも肉へ向かってくれた。


 そこで石垣が壊れ、子供がようやく通れるような穴から、屋敷の敷地の外へ出たのだ。


 目指すは金山の近くの屋敷――別邸にいる、単身赴任中の父親。なぜ父親のところへ向かうのかというと……。


 この乙女ゲームの世界には、まだ警察はない。警察のような役目を担うのは、領主。領主は主に二つのパターンがあった。父親のように、爵位と共に領地を与えられた貴族が領主としてその地を収めている場合。継母の亡き夫のように、その土地を所有した平民が領主となっている場合だ。


 村民や町民の有志による自警団もあるが、結局その自警団の上には領主がいる。つまり父親の領地内にいるなら、父親を尋ねるのが正解――というのもあるが、それ以外に頼れる人物、場所もなかった。


 教会、修道院、孤児院。婚約者であるマクシエンとその両親であるスクリフ子爵夫妻。近隣の領主。他にもあるかもしれないが、その多くに継母が、連絡をとると思った。子供が屋敷からいなくなった、探していると。私が駆け込み、保護されたとしても。私を保護したという連絡は、継母のところへ行くことになる。


 なぜならこの乙女ゲームの世界では、子供は両親の所有物のように見なされており、継母とロージーから虐待を受けていると訴えても、見て見ぬふりをされる。多少なりとも進言する人がいたとしても「躾の一環です。我が家の方針に、口出しをしないでいただけますか」と言われたら、もうどうにもできないというのが実情だった。


 そうなると、現状の私が唯一頼れるのは、父親だけ。


 全部捨てて身一つでどこかに逃げる――これはさすがに難しい。そうする可能性もいろいろ考えた。お金さえ持っていれば、どうにかなるとも考えたものの。そのお金を奪われ、命を落とすか、どこかへ売られるのが関の山。あとはいずれかで野垂れ死になる可能性が高かった。


 父親が情で動いてくれるかは分からないが、私は転生者であり、この乙女ゲームの世界の未来も知っている。まだ未採掘の銀山の在り処も分かっていた。その話を父親にちらつかせ、継母とロージーを排除することを考えていた。だが手紙は届かないし、父親に伝言してくれる使用人もいない。もはや会いに行って、直接話すしかないと思っていた。


 こうして父親を目指すことになった。だが――。


 別邸の場所。


 それは以前作った地図もあったし、継母との結婚が決まった際、何度か馬車で訪れている。よって場所も分かり、道も分かっていた。問題は、分かりやすい馬車道沿いに進めないこと。


 当然だが、継母は私を探す。父親の所へ行かれれば、虐待のことがバレる。父親のところへ逃げ込まなくても、教会であろうと孤児院であろうと、飛び込んだ先で虐待のことを私が口にすれば、例え彼らが見て見ぬふりとなっても、悪評は立つ。


 本当は私がいなくなればいいと思っているだろうが、継母は私を探すことになる。そうなると、街道といった目立つ道を歩いていれば、すぐに捕まってしまう。


 ではどうすればいいのか?


 森を通ることになる。


 森。


 できればそんなところは、通りたくない。人の手が入っていない森は、道なき道を進むことになる。森には獣もいるし、何よりも、ならず者や犯罪者が潜んでいるのが怖い。それに朝食の片づけで、皆がバタバタしているところで逃げ出したが、徒歩で、しかも森を通るとなると、今日中に父親のところへ辿りづけるか分からない。


 夜を森で過ごすのは本当に危険。できれば避けたいが、継母は私を探すだろうから、森へ入るしかない……。


 目立たないよう、ボロボロだったが深緑色に、黒いリボンがついたワンピースを着てきていた。足元はブーツ、グレーのロングローブも羽織っている。季節は春が終わる頃なので、野宿はできないわけではない。持ち物はわずかな食料と水。


 元は捨て子だったとはいえ、男爵家の令嬢なのに。こんな森の中を歩くことになるなんて。


 でも進むしかないと、森の中へ分け入ることになった。


 恐る恐るで、道なき道を歩き出す。

 パキッと枝を踏んでしまった音に、飛び上がりそうになる。


 バサバサと羽音が聞こえた時、驚きで腰が抜けそうになった。


 しばらくは心臓がバクバクして落ち着かない。それでも森林浴という言葉があるように。森の木々が出す香りは、私の心を癒してくれる。


 森は怖い!というイメージが強かった。しかし、今はまだ明るい。それに綺麗な花も、沢山咲いている。


 思いのほか、怖くないかも……。


 鳥の鳴き声はなんだか心地いいし、ヒラヒラと飛んでいる蝶は美しい。


 木々の隙間からは、穏やかな陽射しが差し込んでいる。


「あ、リス!」


「わ、ウサギ!」


 自由に森の中を動き回る小動物たち。一度はかなり遠い場所に、鹿も見えた気がする。


 意地悪な継母とロージーから逃げ、森の中へ飛び込んだのに。そのことを忘れそうになる。まるでピクニックにでも来たみたいだ。


 ……ピクニックなんて、一度行っただけだったなぁ。


 騎士が健在だった時、父親と三人で、屋敷を少し離れた場所にある牧草地へ向かった。あの時に食べた卵サンドは、とっても美味しかったと思い出すと……。


 猛烈な空腹を覚えた。


 たいして歩いていない。でも朝食は食べていなかった。


 継母とロージーの朝食の給仕をして、その片づけをしたら、本来朝食をとることができた。だが朝食を食べず、逃げ出して来たから……。


 そもそも朝食も、大して食べさせてもらってはいなかった。かちかちのパンとスープ、そして果物。スープだけは、いつも継母達の朝食に出したものだが、具はほぼない。果物は腐る寸前だが、逆にそれでとても甘いこともあったから、文句はない。


 絶品料理というわけではないのに。使用人扱いされてからの朝食でさえ、想像すると、お腹が刺激される。


 明日には絶対に父親のところへ着くから、食べてもいいよね。


 鞄から硬いパンを取り出そうとすると――。


 突然視界が暗くなり、かつ何かの香りを感知し、意識が飛んだ。

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