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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
6章 おっさんがパーティを組んでみる
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パーティー登録

 深淵の第9都市(ディープアビスナイン)にある冒険者ギルドの1階にある受付カウンター。チョコ・ティ、ジェイク、ノーグの三人が出ていった後、ギルドの中にいる冒険者の密度がより一層低くなり、そろそろ昼休憩に入ろうかと職員がそわそわしだす時間帯。


 アールは先ほど面接で聞けなかったことを確認して置こうと、冒険者ギルドの受付嬢ジャッジアにノーグの事を尋ねた。

 ・・・

 ・・

 ・

「あっそうだ、ジャッジア。ちょっと聞きたい事があるんだけどいい?」


 頷くジャッジアに近づき、小声で尋ねる。


「獣人族に、本人に直接なんの獣人か尋ねるのって問題はある?」

「直接聞かれるのを嫌がる人も、いるにはいるけど……はっきり言って人によるわね。それよりなんの獣人か尋ねるって、もしかしてノーグ君のこと?」

「そうなんだけど……」


 同意する私に不思議そうな顔をしたジャッジアが答える。


「ノーグ君は極々一般的な馬人族よ。そんなに変わったところは無いけど……アールさん、馬人族うまびとぞくに知り合いはいないの?」


 馬人族!? なんか一般常識っぽい言い方だが初耳だ。


 なんとなくその音の響きから連想するのは、まずはケンタウロスか。けどあいつは獣人じゃない。下半身!? と言っていいのかすら不明だが腰から下が馬の身体だ。逆に言うと首から上に人間の上半身が生えているという不思議生物なのだが……細かい所は置いておこう。次にイメージするのは牛頭鬼ごずき馬頭鬼めずきの馬頭鬼で首から上はそのまんま馬の魔物だ。次は『妖精の尻尾』っていうアニメに出てきた馬の頭の着ぐるみを来た姿のサジタリウ……あれは、同列に並べたらダメだ。


 でも、そう言われてみればノーグは馬の獣人だと分かるし、その顔をよく見ると前の世界にいた馬面のタレントなんかと顔立ちが似ているかも知れない……。


「残念ながら、今まで知り合いはいなかったわ……もしよかったら馬人族の特徴を教えてくれないか?」

「そうね。馬人族の特徴は、やっぱり持久力と足の速さね。町と町をつなぐ郵便の仕事をしてる人もいるわ。あとは単純に身体の大きさと、基本に忠実で慎重っていう性格を活かして盾役をやっている人が多いってのも特徴かしら。それに体が大きいからって誤解されやすいけど、繊細で危険を察知する能力も結構高いのよね。だから私もノーグ君に盾役を勧めてみたんだけど様子をみている限り、自分の役目をしっかり熟していると思うわ。それに大きな失敗も聞いた事もないし」

「ジャッジアのおすすめ冒険者なんだろ、楽しみにしておくよ」

「ええ。さっきも言ったけど、その辺りは私を信じて貰って大丈夫よ。ジェイクなんかは最近グッと責任感が出てきたから頼もしさを感じるようになったし、チョコ・ティはジェイクの成長を促してたのかしら……今日はちょっといつもの元気が無かったけど、あの3人をずっと引っ張ってきたのはあの子よ。実力も判断能力も同年代だと頭ひとつ抜けてると思うのよね」


 私はその言葉に頷きながら、ジャッジアが処理を続ける手元を見続けた。



「アールさんお待たせ、これがパーティの登録証になるわ。この内容で問題が無ければ、この箱に手を載せてその文章をそのまま読み上げて、宣誓してほしいの」


 そう言うとジャッジアは、ギルドカードと同じ素材で作られた長方形の魔道具を取り出し、カウンターの上に設置した。この街に入るとき城門で見たのと同じ物だ。城門やギルドだけじゃなく、奴隷商でも見た覚えがある。個々人々(こじんこじん)の魔力パターンをつかった契約に使われる魔道具だ。


 手渡された登録証を確認していると、彼女は今のうちにとばかりにあの3人の“徳”の状態を説明してくれた。


「それと、さっきはすぐに言わなかったんだけど……調べるまでも無くあの子たちが持っている“徳”はゼロよ。実は徳が貯まったらすぐにポーションに換えるように助言していたのよね。今朝ユリアンと話していて聞いたと思うけど、確かにEランクの冒険者になるまで“徳”を貯めて、神聖魔法のスクロールをもらうってのも魅力的だけど、それまでに無理をして冒険者を続けられなくなる子も多いのよ。だからそうならないように、ポーションを買えないようなパーティーにはポーションと交換するようにって言い続けているんだけどね」


 そう言い終わると、口をぎゅっと噤み眉をハチの字しながら首を左右に振り「どうしようもないの」とでも言いたそうな悲しげな表情を浮かべた。


 確かに神聖魔法の即効性と効力は魅力的だが、ポーションさえあれば外傷は塞がるのだ。服用すれば時間はかかるが直すことも出来る。実際に私もポーションさえあれば結構大丈夫なんじゃないかと思っている。


 冒険者ギルドのカウンターに座り、数多くの冒険者と接して、出会いと別れを繰り返してきたであろうジャッジアの判断に、私が口を挟めるものじゃない。ましてや、変に掛ける言葉なんかも見つからない。パーティー登録書の内容に目を通して場を濁す。


 すると、私が何とも言えない表情をしていたのだろうか、ジャッジアが急に雰囲気を変えて話し出した。


「今朝アールさんがユリアンと話をしてる時、私もアールさんだと気付かなかったのよね。最後にアールですって聞こえてきたとき、思わず私も作業の手を止めて、アールさんの顔に穴が開いちゃうんじゃないかってぐらい見つめちゃったわ。なんか一日で凄い魅力的になってたから吃驚したわよ。アールさんは私が見つめてたこと気付かなかったみたいだけどね」


 そう言っていつもの笑みを浮かべてくれた。そしてそのまま言葉を続ける。


「それで、アールさんパーティーの登録内容は確認してもらえた?」


 あまりの話題展開に付いて行けず一瞬つまったが、ジャッジアの魅力的な笑みを見て心を軽くし、パーティー登録の内容で気になった所を確認する。


「えっと、ジャッジア。ここには何も書いてないんだけど“徳”の分配ってどうなってるの?」

「あの子たちはまだ見習いだから、通常通り“徳”の分配割り当ては無しよ。見習いを卒業して一般の冒険者になったとしても、通常はパーティーリーダーがすべての“徳”を管理してる場合の方が多いし……例えば大きなケガをしたときにパーティーで貯めていた“徳”を使ったりするんだけど、まぁその使い方で揉めてパーティーが解散するとかはたまにあるだけれどね。アールさんなら、まったく問題ないわよ」

「今の言い方だと“徳”の分配割合を決めることも出来るんだろ」

「ええ、出来るけど……」

「じゃあ、均等割で……」と言ってジャッジアの顔を見ると、驚愕の表情を浮かべていたので言い直し「は、多過ぎだから最初の条件、半分が私で残りをあの3人で分ける。に変更してもらえる?」

「……正直に言うわね。アールさんのあの風貌があったから、あの子たちを紹介したってのもあったのよ。でも、今のアールさんなら同ランクの冒険者でも選び放題よ。その上、こんな条件まで付けるのはさすがにお勧めできないわ」

「ああ、これはこっちの都合もあるし、とういかそっちの方が大きいかな。なんか逆に、ジャッジアに気を使わせてしまったみたいだわ」

「本当にいいの、アールさん?」

「全く問題ないんで、それでお願い」

 ・・

 ・

 アールはカウンターの上に置かれた魔道具に右手をかざし、ジャッジアが書き換えたパーティー登録証を読み上げて宣誓した。すると魔道具に設置されていたアールのギルドカードに、パーティーメンバーの名前が刻印され、パーティーの登録が終了する。


「なんか私、ほっとしちゃった。でも良かったわ、あの子たちとパーティーを組んでもらえて。本当にありがとうね、アールさん」


 満面の笑みでジャッジアがそう言いいながら、ギルドカードをアールに手渡し、そのまま両手で包むようにアールの手をぎゅっと握りしめた。


「ジャッジアがそこまで気に掛けるってことは、相当腕がたつのかな。昼からの狩りが楽しみだわ。で、ジャッジア。これでパーティの登録は終了?」


 アールはついに来たジャッジアのボディタッチに内心はドキドキしながらも、何とか気を逸らすために「早く“徳”を貯めてチョコ・ティと」なんて事を考えながら澄ました顔でジャッジアに尋ねた。


「これで終了よ。言った通りお昼には間に合ったでしょ。私もお腹空いちゃった~」


 アールはジャッジアのその言葉を聞くと、邪魔にならないようにと常注のゴブリンオ討伐依頼だけを受け、直ぐに冒険者ギルドを出て行ったのだが……必死に恰好をつけるおっさんには、ここら辺が限界なのかもしれない。




「…………なんか、自信なくしちゃう」


3人称神視点でジャッジアとのハーレムルートを叩き潰しました。


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