表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
4章 おっさんと外の世界とのまじわり
43/81

手遅れだった事

 ここ数日、人間の町に行くためにダンジョンをひたすらにイジリ続けている。なぜなら1週間前、ゴブリンを迎え入れると決めたあの後――――……

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 トロイとの約束通り招き入れたゴブリンたちに安全な住処すみかを与えてやろうと、入り口の近くに新たな部屋を幾つか作った。そしてゴブリンを迎え入れて、安全に生きて行く上でのサポートをしてやるのだ。


 新たに移り住んできたゴブリンたちに仕事を与えて行く。今までと同じように畑仕事を手伝わせたり新たに蜂の巣からキノコやハチミツ、蜜蝋などを回収する作業を割り振る。そしてその労働の代価として食料を渡してやるのだ。


 その後はなるべく住みやすそうな部屋割りに変更したり、畑仕事や蜂の巣での効率的な作業の仕方を考えたりしながら、二日の間は導線なんかを考え熱くなりながらダンジョンをイジリ続けていた。


 すると、コアさんが『ダンジョンコアのレベルが4に上がりました。合計4階層まで拡張出来るようになり、また新たな機能としてダンジョンの壁や天井を発光させることが出来るようになりました』と伝えてきたのだ。


 この熱中している状態に新たな要素が加わるなんて、タイミングが良い! とそのままぶっ続けでダンジョンをイジっていく。


 まずは新機能の“光る壁や天井”について色々試していく事にした。この新機能、実は相当嬉しいものだった。なぜなら洞窟内ではずっとランプを使っていたのだが、最初に手に入れた油はすでに無く獣脂や蜜蝋を利用して何とかごまかしてはいたのだ。だが、慢性的に油は足りておらず明かりをつけられる場所は限られていたからだ。


 まず洞窟内の全ての壁と天井をドンドン発光させてランプを撤去していく。けれど、もともと薄暗い洞窟をイメージしながら拡張してきたので明るくなりすぎると色々不具合も出てくる。今まで影になっていた場所に通路を作ったり、トラップを設置していたりしたのだが、ばっちり見えてしまうようになってしまい………。


 何とかならないかとコアさんに尋ねてみると、明度を調整できる事を教えてくれた。聞かなきゃ答えてくれない、コアさん仕様は健在だ。いや聞けば答えてくれるのだ、心からの感謝の気持ちを言葉に表しきちんと伝えてから作業に戻る。


 場所ごとに細かく明度を設定していく。全体的には今までよりも明るくして、隠したい場所の明度はドンドン落として濃い影をつくるようにする。中々いい感じだったので、これを利用して蜂の巣の奥に隠し扉をつくり、新たに設置する3階への通路にした。またランプなどを持って行けば明るくなるので、ダークゾーンと言うわけではないが、思い切って真っ暗な通路や部屋を作り、罠を何個も設置した罠部屋なんかも作ったりと色々試してみた。


 反対に明るさを最大限にした部屋も作ってみると、まるで外にいるかのような明るさだった。これなら作物をつくれるんじゃないかと思い、実験的に洞窟内にも畑を作ってみる事にした。サンとスーにここでも作物を育てるように指示をだす。


 あと、階層も増やせるようになったのだ。新たに3階を作ってそこにコア部屋を移動する。コア部屋を移動したのに付随して、厨房や物置を拡張したり皆で食事ができる部屋を作ったりして住環境を充実させていく。


 そんな感じでダンジョンをイジリ続けていたら、今度はコボルトのナナとロクが、レベルが20になったと伝えてきたのだ。


 ダンシングレー( お玉さん )ドルの見た目が可愛くなり甘えてくるようになっても、冥府の番犬( ハチ )が私の為にいろいろ頑張りお腹を見せてじゃれてきても、溜まるものは溜まるのである。


 お玉さんが精神的に満たしてくれても、柔らかさや温かさは無い。ハチのお腹を撫でてみても、私の性欲は発散されないのだ。


 だから、この二匹には期待していたのだ。初期から居るメンバーでハチほど積極的に甘えてくることは無いが、従順で大人しく愛着がある。


 さっそくナナとロクを呼び出し、到着した二匹を目の前にしてあらためて確認する。


「ナナもロクもレベル20になったって?」


 二匹が報告してきたのだから当たり前だが『ハイ マスター』と伝わってくる。


「クラスチェンジは出来る様になった?」


 ナナとロクが『クラスチェンジ 出来ル』『マスター 決メル 従ウ』と二匹で声を合わすかのように伝えてくる。ずっと一緒に行動させてたから、レベルが上がるタイミングも話す内容も息が合っているようだ。


 まあ、ここまでは事実確認だ。いよいよ運命の瞬間………。


「ナナとロクの性別を確認したいんだが、オス?メス?」


 するとナナが『メス』、ロクが『オス』と伝えて来た。


 良し!! 良し!!!! 読み通りだ。


 これで両方共がオスとか在っては為らない、今までの苦労が報われないなんてのは無いのだ。はやる気持ちを抑えながら、まずロクに向かって唱える。

「ステータス」


     名前:ロク

     種族:コボルト

    レベル:20

     HP:48

     MP:22

      力:27

    器用さ:26

    耐久力:21

    素早さ:28

     賢さ:18

    スキル:クラスチェンジ(ライカンスロープ( 人狼 )

  

 あれ? ん!? ハチの時と違う……選べるのが人狼しかない! 焦りながら、ナナに向かって唱える。

「ステータス」


     名前:ナナ

     種族:コボルト

    レベル:20

     HP:43

     MP:24

      力:24

    器用さ:27

    耐久力:19

    素早さ:26

     賢さ:20

    スキル:クラスチェンジ(ライカンスロープ( 人狼 )

   状態異常:妊娠(2週目)


 うん、意味が分からん。

 ・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 しばらくフリーズしてたようだ、気付いたらお玉さんがすぐ横にいる。


主様あるじさま、お茶でも如何でしょうか?」


 いつもの様に、お茶を置くお玉さんの頭にポンポンと軽く触る。それを見たハチが、自分も撫でてと言うように頭を近づけてくる。それをワシャワシャと撫でてやる。最近の一連の流れだ。お玉の冷たくスベスベした手触りと、ハチのゴワゴワの温かさを感じて、すこし落ち付いてくる。


 お茶に手を伸ばしひと口。甘めのミルクティーだ、お玉さんナイス。


 最近ずっと頭を使っていた。ゴブリン達を洞窟に入れたのは良いが、別に労働力が欲しかった訳ではない。魔力が、DP(ダンジョンポイント)が欲しいのだ。その為にはどうすればいいか、ゴブリンの村長( トロイ )と色々話し合いながら考えていた。


 そんな時にダンジョンコアのレベルが4に上がったのだ。階層が1つ増えたのはいつも通りだが、今回は洞窟の壁や天井を発光させる事が出来る様になった。ランプは獣脂や蜜蝋を使っていたので何とかなっていたのだが、相当に嬉しかった。しかも発光させる場所も強さも色々指定できるので何処にどう使おうか色々と悩んでいたのだ。


 そんなところに、ナナとロクのレベルアップ。ワクワクしながらステータスを確認する。そして、衝撃の連続!! おっさんの頭では整理しきれなかったようだ。



 こういう時はひとつひとつ解決していけば良い。もう一度お茶に口をつける。


 まずは“状態異常”ってやつだ。前にうちのゴブリンがキノコ蜂に刺されて毒に犯された事がある。その時も同じように表示されていた。前の時は毒という状態になり、今回は妊娠と言う状態になったという事だ。当たり前だな。では妊娠という状態は? というとお腹の中に子供がいるという事だろう。


 いや、私ではない。二足歩行してるとは言え犬の顔に犬の体なのだ。さすがにそそらない。


 というか、そもそも子供なんて出来るのか? コアさんに確認する。


『ユニークとして登録すると、体が与えられひとつの個体となります。ですので繁殖は可能です』


 言われてみればそうなるな。聞くと理解できるが全然、頭になかった。


 色々と疑問が出てくるが、まずは誰の子か? だろう。


「ナナ、妊娠してるようだが誰の子だ?」

『!! ロク』と伝えてくる。


 これも言われてみれば当たり前ってやつだ。コボルトのオスはロクしか居ないし順当な答えだな。


 それより、いつの間に私はフラれたんだ。ハチほど積極的ではないが頭を撫でてやると嬉しそうに喜んでいたのに……。


 食事を与えてやると『マスター 大好キ』なんて感情を伝えてきてたはずだ! それを信じてここまで来たのに………。


「なんで、ロクの子供なんだ?」

『子供 デキル。マスター 守ル 増エル』

 

言ってる意味は分かる。だが納得はできない。


「私の事が好きだったんじゃないのか?」

『マスター 好キ 尊敬。デモ 隊長 イル オニアイ』


 ん!? 最後の言葉の意味は何だ?


 理解しきれないでいると、ハチが足に体を摺り寄せてきた。無意識に頭に手をやる。するとお玉さんがよって来て声を掛けてくる。


主様あるじさま、お茶をもう一杯いかかでしょうか?」


 今回はタイミング悪いなと思いながらお玉さんに返事する。


「いや、まだ残ってる。ありがとう」


 そう断るが、お玉さんは隣の部屋に退がっていかず横に控えままだ。


 なんだこれ!? 左の足元にハチが寝そべり、頭をひとつ私の膝の上に載せている。お玉さんが私の右側にぴったりとくっつくように立っている。


「ハチと私がオニアイ? どうい事だ、意味が分からん。」

『マスター 隊長 オ玉サン オ気ニ入リ、ズット 一緒二 イル』


 いやいや、そんなつもりは無かったのだ。確かにお玉さんには身の回りの世話をしてもらうからずっと一緒にはいる。最近は可愛くも思ってるしウキウキした気分を味わっている。ハチは、キノコ蜂でイライラした時からは特に横にべったりくっ付いていてくれる。守ろうとしてくれる気持ちは嬉しいし、その喜ぶ仕草は私の心を癒してもくれてる。


 ………言われてみれば。だが、ナナに求めていたの物は違うんだ!


 違うんだ!!


 …………妊娠2週間。ここまで結論を出さずに引っ張った私が悪かったのか。じっとナナを見つめ、視線を横にやるとロクの姿が見えてくる。直立不動で何となく誇らしげな、勝ち誇ったようなその顔。


 多分、そう見えるのは私の思い込みだろう。ロクにまったく悪気は無いのは分かってる。むしろ、褒めて欲しいはずだ。だが私の中で湧き上がる感情を抑えきれない。クソ、俺が我慢してるというのに………





お前だけが気持ち良いことしてんじゃねーよ!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ