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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
29/81

ノームさんとの話し合い

この話から『3章 おっさんがダンジョンを強くする』の開始となります。

お楽しみ頂ければと思います。

 昨日いろいろありすぎたのか目覚めはよくない。


 変な夢を見たようだが、起きた瞬間に忘れてしまった。ただ、何か取れそうで取れないような、じれったい感じだけが残ってる。


 バンパイアバット( 吸血蝙蝠 )たちはすでに帰ってるようで、崖面から直接出入りが出来るように作った細く小さい通路の中で待機していた。特に変わったことはなく、相変わらずシャドウウルフ(オオカミ)はゴブリンを襲っているようだ。早速外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)に集落に行ってオオカミを狩るように指示をだした。


 冥府の番犬、三つ首の魔獣ケルベロスへと姿を変えたハチのステータスが、若干下がってはいるけれど問題ないだろう。見た目は前以上に強そうだし。念のために作戦は“いのち大事に”にしておいた。ハチは何も言わなくても回復役のピクシーにはサンの代わりにスーを連れて出発する。


 送り出したあと、畑の作業状況を確認してから水牛の様子を見に行った。随分と落ち着いてるようだ。子牛が乳房に吸い付いて乳を飲んでいる。これは行けるかもと、子牛が飲み終わるのを待って水牛に近付く。が、興奮して暴れだした。ハチが帰ってくるのを待つか。


 あきらめて上に戻る。南の森にいる妖精のノームの事は昼に全員そろってから決めよう。それまでの間、修行をする事にした。


 ますは魔法の修行か。そう思うがやる気がでない。もう詠唱も失敗しないし相当に速く唱える事も出来るようになった。それで先に剣の修行をする事にした。リッチ先生に声を掛けスケルトンたちと向き合いロングソード(両手剣)を構える。


 昨日みたいに殺しちゃだめだ、寸止めで。リッチ先生にもそう言って型の練習をするように修行をはじめる。


 漫画にも書いていた、スピードは遅くてもいい。剣の動きと体の捌きに気を付けながら何度も繰り返す。



 気が付くと昼になっていたようだ。ナンバーズ部隊が帰って来たので、入り口まで出迎える。ハチを先頭にコボルトのナナとロク、スーが帰って来た。


主様あるじさま お迎え 嬉しい」「今日 成果 報告」と言いながら、ハチがロクに合図する。


 するとロクが魔石を差し出して来た。今までハチの役目だった魔石の管理をロクがするようだ。よく考えてみたら荷物を運ぶには適さない体だな。


 ロクから魔石を受け取り数えると、オオカミの魔石が15個。相変わらず集落にはオオカミが集まって来てるらしい。みんなの働きぶりをねぎらいながら褒めてやる。


 その後、ナナとロクに水牛用のエサを取ってくるように頼み、ハチと一緒に牛のいる厩舎に移動する。


 やはり牛は近付かれると興奮するらしく、乳絞りなんて出来そうにない。仕方ないのでハチに咆哮して(吠えて)もらうと、興奮していた牛はぴたりと体の動きをとめた。


 これならば行けるかもと乳房をむんずと掴むが、引っ張っても全く伸びずガチガチに固まっている。スキルで大人しくさせるのは駄目か……今度は怯えすぎたようだ。


 慣れるまで時間が掛かるのかと、ガッカリしながら外に出る。外ではサンといっしょにスーがケット・シーに畑の仕事を教えていた。


 それを見ながらピクシーならいけるのか? いや、あの手の大きさじゃ無理だなと思いつつも聞いてみる。


「サン、乳しぼりできる?」

「乳しぼり? 水牛の乳しぼりですの。やったことないですわ。ご命令なら頑張ってみるですの」

「スーもやる~」


 つまり無理(・・)という事か。と、残念に思っているとそばにいたケット・シーが声を出す。


「マスターさん。牛の世話とか得意ですよ。乳しぼりとかできますよ」


 おっ、こんな所に人材、いや猫材が。さっそくケット・シーを連れて水牛の所に戻る。


 ケットシーは怯えている水牛に躊躇することなく近づくとそのまま撫で始めた。少しずつ牛が落ち着いていくのが分る。


 時間を掛け落ち着かせた後、爪を引っ込めて優しく乳を搾り始めた。牛は興奮するどころかリラックスしたように身を委ねている。ナナとロクがエサになりそうな草を持ってきても牛は落ち着いたままだ。


 これはケット・シーに任せるか。搾りたての牛乳を受け取りながら、ケット・シーに水牛に水を飲ませてエサをやるように指示して上に戻った。



 お玉さんに牛乳を渡してから、ユニークモンスター全員に集まってもらった。南の森にいる妖精のノームについて話を聞くためだ。


 サンとお玉さんからは昨日聞いたように、友好的でそれほど強くない事を改めて説明してもらった。その話を聞いてもらった上でサンかお玉さんかハチ、誰かにノームの所に行って貰いたいと伝える。


 すると、サン、ハチ、お玉さんがそれぞれ答える。


「行けと言われたら行ってみるのですわ。でも難しいことはわからないのですの」

「ハチ公 話す 苦手」「交渉 難しい」「戦う 守る 得意」

「私が行っても良いのですが、マスターがお知りになりたい事がわかりません。教えてもらうのも手ですが、それならマスターに直接、話していただいた方がと思います。それに、こちらの事をどれぐらい話して良いのかも判断しかねます」

「スーがいく?」

「いや、スーはいいわ。ありがとう」


 しかし、全員に断られた。交渉とか面倒だから任せちゃおうと思ってたのに……たしかにサンもハチも無理そうだし、お玉さんの話はもっともだ。ここは任せちゃいかんとこだな。


「他のみんなもありがとう。お玉さんが言うようにここは自分で行くべきかな」



 ナンバーズ部隊、蝙蝠、お玉さん、スーを連れて南の森に向かう。今日は森に入ると、野菜も獲物も後回しにしてスーに先導してもらう事にした。


「スーについてきて~」

ゆっくり進むように指示し、警戒しながら後に付いて行く。


 2時間ほど進んだ頃に、ハチが「近く 何か いる」「こちら 様子 見てる」と報告してきた。サンも気付いたようだ。少し止まってどうするか相談すると「このまま進んで向こうからの接触を待ちましょう」という事になった。


 さらに警戒を強め進みだす。すると10分ほど進んだところで、岩の上に緑の帽子の髭面の小人が姿を現した。


 その姿を観たスーが明るく声を掛ける。


「ノームのおじいちゃん、スーきたよ~」

「おお、ピクシーのスーよ。よく来たな。して、後ろの方々が前に話していた御仁たちかな?」


 ノームのおじちゃんと呼ばれた、緑の帽子をかぶった髭面の小人が答えた。


「うん。スーがマスターにお話しして、来てもらったの。こっちの大きい人がマスターなの」

「ほう、あなたがスーが話していたマスターさんですか。わしはこの辺りに住んでいる“ノーム”ですじゃ」


 あらためてじっくりと見る。60cmほどの身長で緑のとんがり帽子を目深まぶかに被り、顔の下半分は腰まで広がる髭で覆われている。表情をうかがう事ができるのは僅かに見えるどんぐりまなこと丸い鼻からだけだ。4頭身で、ずんぐりとした体に短い手足がくっついている。武器は持っていないようだ。


「ノームさん、こんにちは。わたしがスーのマスターです。昨日はスーが野菜の種を戴いたそうで、ありがとうございます」

「いえいえ、ピクシーに名前を授けることが出来る御仁に、お礼を言われるほどの事では無いですじゃ」

「いえ、本当に種はありがたかったので感謝してるんですよ」

「そういって頂けるだけで、嬉しいですじゃ。ジャイアントスパイダーの退治や少し前にはクロップスビーまで退治してもらって、それも助かっておりましたじゃ」

「あれは、襲われたから自分の身を守っただけで、こちらこそお礼を言われるような事ではないですね」

「あの蜂は増えすぎていて、困っておったのですじゃ。少々野菜が減ったり、サンダーボアが減ってもお釣りがくると言うものですじゃ」


 ん、気のせいじゃなければ、野菜とイノシシをノームは自分の物だといってるのか!? 


「えっと、失礼ですがあの野菜やイノシシは、もしかしてノームさんの物だったのでしょうか?」

「あれらの野菜はわしらが種を蒔いた物ですじゃ。ただイノシシのエサにする為に蒔いただけじゃで、わしらの物とも言い切れないのですじゃ。それにイノシシは森の共有財産じゃで、この森に住む者全員の物ですじゃ。取りすぎなければ問題ないのですじゃ」

「そうなのですか、共有財産だったのですね。知らなかったとはいえ失礼しました。長い間、新鮮な野菜や肉を口にしてなかったので、誰かの物かも知れないなど、考える事無く取ってしまいました。本当に申し訳ないです」と頭を下げる。


「そんな、謝らんでくだされ。さっきも言ったように、野菜は種を蒔いただけですじゃ。イノシシはみんなの物ですじゃ。取りすぎなければ問題ないのですじゃ」


 ノームは最初ハチを警戒していたようだが話を進めて行くうちに、危害が無いとわかったのか少しずつ打ち解けて行った。サンやお玉さんが言うようにノームはやはり友好的な種族のようだ。


 野菜やイノシシも取りすぎなければ問題ないと言ってくれてる。危うく食生活が逆戻りする可能性もあったので助かった。


 その後の会話では「そういえば、先ほども“森に住む者全員”とおっしゃてましたが、他にもどなたか住んでらっしゃるのでしょうか? 」というのを皮切りに、いろんな話を訊き出すことが出来た。


 この南の森は“守りの森”と呼ばれていて“天空の大地”……崖上の事をそう言うらしい。から流れてくる川のおかげで肥沃な土地が広がっているらしい。その“守りの森”にはノームのほかにケンタウロスやグリフォン、ユニコーンなどが住んでおり、ここを共同で守っているそうだ。


 川をはさんだ東側にも川からの栄養で広大な森が広がっていて、そこは“中の森”と呼ばれているそうだ。この“中の森”には、昔は魔物たちだけが暮らしていたらしいのだが、森の東の山すそに人族がやって来て争いだしたそうだ。その結果、力の弱いゴブリン達の中のいくつかの集落が集まって川をはさんで北側、つまり洞窟があるほうの寂れた森の方に逃げ延びたらしい。


 今も“中の森”は人族とオークを筆頭とした魔物達の間で土地の奪い合いを繰り返しており、そこに“中の森”の南方に住む魔族も手を出し三つ巴の争いをしているそうだ。“守りの森”の勢力は “中の森”に攻め込むことは無くこの地を守るのに専念し、人族や魔物、魔族が侵入してきた時のみ戦って追い返しているらしい。


 人族の町がどこにあるか尋ねると、川沿いを3日下り、そこから森の中心に向かって1日進むと人族の最前線の町があると教えてくれた。


 あとノームがくれた種はトマトと人参と玉ねぎ(・・・)だったそうで、思わずにんまりしてしまった。他にも種があればぜひ欲しいと尋ねてみたが、この辺りで簡単に育つ野菜の種しかないようで新しい物は持っていないとの事だった。


 陽が暮れてきたので最後に、野菜類は栽培が成功するまでは食べる分だけ、イノシシは1日1頭だけ、と再度許可を貰ってから話し合いを終え、また後日に会う約束をしてこの日は別れる事にした。




 帰りにみんなで蜘蛛を10匹ほど狩ってから、イノシシを1匹持って帰る。

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