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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
2章 おっさんがダンジョンマスターを楽しむ
20/81

夢は夢だったのであきらめる

 外での狩りの効率を上げる為にコボルト部隊にピクシーのサンを加える。


 この外回りに出るなまえ持ちの魔物(ユニークモンスター)の部隊に名称を付けてナンバーズ部隊と呼ぶ事にした。もちろん、名前を付ける前に部隊に名を付けてもコストが掛からないという事は、コアさんに確認済みだ。


 ナンバーズ部隊には朝から昼まではゴブリンを狩り、夕方から夜中までは崖下で魔石を回収するように命令した。


 部隊を明け方に送り出したあと、朝食を食べながらオオカミが来てくれないかなと待つ。大広間にはスライム2匹とゴブリンが2匹、外にもゴブリンが2匹がすでに復活済みで全員が揃って待ち構えている。外のゴブリンにはオオカミを誘ってもらうために騒ぐように指示を出した。たまに「ゴブギャブィ」「ゴブギゥブュギョ」と喉を震わせ低い鳴き声を発している。


 ゴブリンというエサは撒き昼までオオカミは待っていたが、現れないままナンバーズ部隊が帰ってきた。部隊は10個ものゴブリンの魔石を手に入れていた。これだけでもオオカミで稼ぐのと変わんないなと、魔石を受け取ってみんなを褒める。特にケガもないようで安心だ。夕方まで休憩させておいた。


 夕方になってもオオカミが現れる事はなかった。やはりコボルトのハチが洞窟の外をウロウロしてるから現れないんだろうか? とりあえずダンジョンに誰も来ないのでナンバーズ部隊を送り出すしかない。ただし、くれぐれも無理な行動はするなと指示しておいた。 


 なかなか現れてはくれないが、まあオオカミに1階に居座られるよりはましか。気分を換えるためにダンシングレー( お玉さん )ドルに罠から回収した肉を調理してもらったが、飽きていた干し肉の料理より断然に美味しかった。

 ・・・

 ・・

 ・

 夜中になってナンバーズ部隊がきっちりと5倍の魔石を4個とオオカミの魔石6個を持って帰ってきた。指示も守って大きな怪我も無いようだ。コボルトたちの頭を撫でながら褒めてやる。みんな嬉しそうに尻尾を振っている。


 サンも途中、コボルトのナナとロクが傷ついたので治療したそうだ。しかも治療だけでなく、ナイフを持って飛び回り攪乱しながら攻撃もしたらしい。ちょっと驚きの活躍だ。よくやってくれた褒めてやり、青い大きな複眼を見つめながら小さな頭を指先で撫でてやる。サンは羽を震わせフフフと嬉しそうだ。このピクシーはユニークになってから少し落ち着いて来たようだ。


 これで今日は240ポイントのDPが増えた事になる。


「もう、ダンジョンの中で稼ぐ必要もないかな」と独り言ちる。



 次の日の朝もナンバーズ部隊を送り出した。そしてその間に少しダンジョンの眷属の配置を変える事にした。コブリンには以前にオークたちから奪った装備をつけさせ、全員を外に出すことにした。そして1階の大広間はそのままスライムとナンバーズ部隊を配置する。


 地下はケット・シーともう1匹のピクシーに守ってもらい、2階は私とお玉さんだけにする。戦力が足りなくなった2階にはそのうち強い魔物を召喚しようと思う。それより今はサキュバスを召喚する為に2000ポイント貯めるのが先決だ。この調子ならあと1週間ぐらいで召喚できそうか。


 ナンバーズ部隊が帰ってくるまでの間、オオカミが来なくなったのでトレーニングしてみることにする。午前中はダンジョンの中をランニングし、午後からは筋トレを行うのだ。……いや、ランニングとか今まで『何、無駄なエネルギーを使ってるんだ!? 』とか思ってたけど。

 ・・・

 ・・

 ・

 そんな感じで3日経ったが体が少しすっきりしただけでステータスが変わることはなかった。


 コアさんに聞いてみると『ダンジョンの支配範囲内でのダンジョンマスターは疲れにくくなっているのでランニングの効果は少ないです。また、同じようにダンジョンの支配範囲内にいるダンジョンマスターは休憩すると魔力によって強制的に治療が開始されるので過負荷を掛けてのトレーニングもあまり意味がありません』と言われた。先に聞いておけば良かった……無駄にエネルギーを消費してしまったようだ。

 

 もう諦めて部隊の出発と出迎え以外は何も食べずに寝て過ごすことにした。緊急時にはお玉さんが起こしてくれることになっている。

 ・・・

 ・・

 ・

 あれからさらに3日経ち、ナンバーズ部隊が順調に魔石を集め、外に配置していたゴブリンがオオカミを返り討ちにすると言う嬉しい誤算もあり、とうとうDPが2000ポイントを超えた。しかも3日間の断食でポッコリお腹も少し見れるようになっている。


 夢を叶える機は熟した。厨房に閉じ込めたお玉さん以外は2階に誰もいない。肌を重ねた時の温もりと柔らかさと一体感、充実感を思い出し興奮する。逸る心を抑える事無くダンジョンコアに向かい、サキュバスを選択する。目の前の選択画像では、黒い人型の霧に色がつき艶めかしいスタイルで淫らな下着姿の女性が現れたり消えたりしている。


「おお、でかい胸だ。腰つきもそそる」


 説明を読むと<睡眠中の男性を襲い、魅力的な姿となって現れ誘惑して精を奪う>となっている。マスターだから精を奪われても殺されることはないだろう。HPかMP、最悪はDPを奪われるぐらいだろう、それなら稼ぎ直せばいい。期待に胸と股間を膨らませサキュバス召喚を選択する。


 目の前の景色が揺らぎ黒い霧が沸き上がり人の形に集まり………。んっ!? 艶めかしい女性の姿にな……ら……ない!! コアさんに確認すると召喚は完了しているようだ。


「ステータス」と唱える


     名前:―

     種族:サキュバス

    レベル:5

     HP:88

     MP:75

      力:38

    器用さ:68

    耐久力:50

    素早さ:38

     賢さ:68

    スキル:幻惑、眠りの誘い

        ライフドレイン


 確かにステータスは確認できた。如何いう事だろうと、サキュバスに声をかけてみる。


「召喚はおわってるのか?」

「終わってありんす」

「色っぽい女の体は?」

「あちきはこなたのまんまでおす。人型になりんしたら、げにおそろしき顔になりんす」

「誘惑して精を吸うじゃないの?」

「そうでおす、だんしてゆめを見せて命をもらうでありんす」

「私には夢を見せてくれないのか?」

「ぬしさまは我が主でありんすからだんすことができんせん」


 変な響きの言葉と共に頭の中に意味が伝わってくる。つまり基本の姿はあのままで幻惑して夢を見せてる間にHPを吸うらしい。私はダンジョンマスターだから騙して幻惑を見せる事はできないそうだ。コアの画像に出てたのは夢の中での攻撃方法を現してるとか………。


 この昂った感情をどこに持っていけばいいんだ? 肉体的にも昂ってるのに!! 動画まで贅沢なことは言わない、写真いや絵でもいい。せめて文章がなければ……この年になって妄想だけでいけるのか!? 諦めきれないので念のために確認を取ってみる。


「ちなみに人型になってみて」

「わかりんした」


 私の前で人型にならず、影のまま居た理由が分りました。あの顔の後だと誘惑なんて出来そうにない。体はニョロっとしていてくびれも膨らみもないし、口なんてヤツデウナギみたいな気持ち悪い形をしてる。幻惑を失敗した時に直接、噛みつき血を飲むそうだ。無事に萎えました終了です。


「申し訳ない。楽しかったけど魔力を回収させて欲しい……」

「わかりんした。さらばでありんす」


 妙に色っぽい会話に未練があったが消えてもらい魔力を回収した。虚しい空気が漂っている。


 気分を変える為に何かを食べる事にした。お玉さんはこんな時、無駄な事は喋らず料理を出してくれる。しかも出て来た物がうまい。いい女だ、硬くて冷たいのが欠点だが。とりあえず今日はおとなしく寝よう……。

 ・・

 ・

 翌日の朝は部隊を送り出したあとにサキュバスに帰ってもらって戻ってきた2000ポイントの使い道を考えた。まず前から考えてた2階の階段上の部屋に強めの魔物を召喚しようと思う。


 オーガにしようかトロルにしようかと、いろいろ悩む。近くに配置するんだし匂いとかも気になるな。ダンジョンコアの前に立ち召喚できそうな魔物の画像を次々と選んでいく。


 あっ! この洞窟にいたデーモンがいる。色が違うがレッサーデーモンという名前だった。死に掛けたのに奴はデーモンの中でもランクが低かったのか………というかこのステータス!? 勝てたの奇跡だったようだ。サキュバス以上の数値だ。凄いなこいつ、しかもこいつなら結構魔法も使えるみたいだし良さそうだ。レッサーデーモンを召喚しよう、こいつが仲間に成れば……げっ!! コスト3800ポイントって全然足りなかったわ。残念。


 そういえば魔法ってどうやって覚えるんだろうか。スキルを初めから持っている奴しか使えないんだろうか? コアさんに聞いてみる。


「コアさん、魔法ってどうやったら使えるの?」

『魔法を詠唱すれば、発動します』

「いや、そうじゃなくて。詠唱ってどうやって覚えるの?」

『魔力が宿った古代文字を読み解きます』

「古代文字はどうやったら手に入る?」

『太古の昔の文字で伝説の中でのみ使用されました。或いは魔法の石板などに刻まれ現代に伝えられています』

「魔法の石板の入手方法は?」

『ダンジョンの宝物に魔法の石板というものがあります。それを呼び出すとダンジョン内に石板が設置され、だれでも読むことが出来るようになります』


 なかなか核心に近づけなかったが、魔法を使うには古代文字ってのを手に入れないと駄目で、それを手に入れるには魔法の石板ってのを設置するのが一番の近道のようだ。今はまだ選べないので、もう少し後の話になるようだ。


 仕方ないのでいったん忘れて、何を召喚するか考える事にする。魔物を流し見してて、なんとなく目についたスケルトンなんて洞窟内に似合いそうだ、でもあんまり強くないな。……なら、これにリッチを足そうか。30ポイントのスケルトンを4体と650ポイントのリッチを1体、召喚した。


   名前:―        名前:―

   種族:スケルトン    種族:リッチ   

  レベル:5       レベル:5

   HP:36       HP:68

   MP:11       MP:45

    力:22        力:23

  器用さ:18      器用さ:28

  耐久力:14      耐久力:30

  素早さ:12      素早さ:14

   賢さ:8        賢さ:62

  スキル: ―       スキル:低級魔法、ネクロマンシー


 召喚するとスケルトンとリッチがすぐ目の前に現れた。スケルトンは無言だ、命令は通りに動くが向こうからの意思表示は何もない。スライムと似た感じか、複雑な動きは無理そうだ。


 対してリッチは丁寧な口調で「ご主人様、よろしくお願いします」と挨拶してきた。こちらも「よろしく」と返すと、「では」と持ち場にすっと移動していった。これまでの中で最高コストの魔物だけあって段違いの性能だが、愛想はよくないようだ。


 誰が何と言おうと、最高コストなんだ……忘れたい過去もある。スキルにある魔法のことは今度、改めて聞いてみようと思う。


 他に、地下にあるカギを守る中ボスみたいなのを呼びたい。これはあまり悩まず強そうなのを選ぶ。トロル、コスト350ポイントを1体。


   名前:―

   種族:トロル   

  レベル:5      

   HP:103

   MP:17

    力:48

  器用さ:25

  耐久力:55

  素早さ:19

   賢さ:9

  スキル:超再生


 地下のカギは力と体力が飛び抜けて、スキルに超再生が付いているトロルさんに守ってもらおうと思う。意思の疎通はゴブリンレベルだ。命令は伝わるが難しいことは分からず向こうからは感情のみ送ってくる。コボルトはあれだ、言葉は使えるけど面倒臭さがってるだけっぽい。


 あとは2階のダンジョン部屋の奥に落とし穴をつくった。最悪、1階に飛び降りて脱出できるようにしておく。


 これで残りのDPは870ポイント。あっ!?今、ナンバーズ部隊が魔石を持って帰って来たので1110ポイントになった。




 夢のサキュバスを諦めたおかげでダンジョンが強化された。

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