表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
2章 おっさんがダンジョンマスターを楽しむ
18/81

底上げで調子にのってしまう

 外に出て狩りをするのに、いろいろ考えなければならなかった。


 昼に出るのか夜に出るのかと言うのも悩むところだ。昼に出ている間に今日みたいなオークの襲撃があるかもしれない。なら夜かと言うと夜はダンジョンにシャドウウルフ(オオカミ)が来るから、このバランスは保っておきたい。


 外に出て何を狩るのかも問題だ。オークは数が多いと危険だ。こちらが狩られてしまうかもしれない……まあ、オークがいた時はすぐに逃げよう。


 オオカミなんかはあまり倒さない方が良いのかもしれない。たくさん倒してしまいダンジョンにオオカミが来なくなったら困る。


 というか今日はオオカミが来るのだろうか? 起きてからそんな事をあれこれと悩んでいると、コボルトのハチとダンシングレー(お玉さん)ドルが外に出る準備が整ったとばかり(・・・・・・)に、コア部屋の前で待ち続けている。


「少し様子見るから、今日は中止で」


 お玉さんは初めての戦いが無くなったからか残念そうにしてるが仕方ない。



 結局その日は1日、様子を見続けた。


 様子を見て分かったことは、ゴブリンを外に出すとオオカミは普通に現れ集まってくるということ。夜には洞窟内にも入ってきて1階のゴブリン・スライム部隊を蹂躙してくれるということ。まあ、こちらも半分程が帰った所で下の階に引き込みきっちりと刈り取って置いたが。


 昨日は偶々にオークが来たからオオカミが来なかったのか? もしそうならダンジョンの方は上手く行く感じだ。悩んでないでとにかく外の様子を見てみるか。


 翌朝は陽がのぼる頃には外に出れるように準備をし終えた。


 久々の戦闘だ、腕がなる。ここの所ずっと調べものやら配置やら指示やらしかして無くて体が鈍っている。寝て起きて食べて戦闘状況を確認してまた食べて寝る……こんな状況が続いていたのだ。あまりにもあれだったのでコアさんに聞いておいた。


「いくらでも寝れるんだが、デーモン戦の後遺症でも残ってるの?」

『寝る必要は無いですが、寝ようと思えばいつでも寝れます』と説明してくれた。


 理想的だ。理想的だがおかげで体形が元に戻ってる。サキュバスとの出会いを考え、またぽっこり出てきだしたお腹をさする。モテないおっさんはこんな時だけ外観を気にするのだ。


 外に出る準備を整え洞窟の入り口に向かう。ロングソード(両手剣)を腰にき、木箱から探し出した革の鎧に毛皮のコートと着こんだ。ワイルドな格好に何かさらに強くなった気がした。ハチはいつもと同じだ、さまになっている。お玉さんは何も装備できないそうだ。攻撃はその姿のまま殴り掛かるようだが、メインは音を奏でて支援するらしい。


 細い通路を抜け入り口に近づくと「ドドドド!!!」と空の上から落ちてくるあの滝の爆音が聞こえてきた。ずっと画面越しだったから忘れていた。爆音と朝靄の中、周囲を見回すがオオカミの姿は見えない。警戒しながら川に沿って東に向かって進みだす。


 突然、背筋が寒くなる。


 焦りながら周囲に気を向け様子を探ってみるが何も反応は感じない。ハチとお玉さんに敵がいないか確認するが、直ぐに『近く いない』という返事が頭に浮かんできた。


「近づいてはこないようです」とお玉さんも返事を返してきた。


 自身での実戦が久しぶりだからって緊張しているだろうか……落ち着け自分。気を取り直して川沿いを進む。結構な範囲を捜索しているがなかなか敵と遭遇しない。お昼近くになりそろそろ帰ろうかと思った時にようやく手掛かりになりそうな物を見つけた。森の切れ目から一筋の煙が立ち昇っている。


 誰か人がいるのか………。あの少女のことを思い出す。あの少女じゃなくても人と話す事が出来るかもしれない。期待が膨ら……!!


 「グゥルルルゥ」


 突然ハチが警戒の唸り声をあげた。気付くと目の前に8匹のゴブリンがいる。驚き、焦りながら敵の姿を確認する。


 この前オークと一緒に来た奴ら同様、粗末ながらも鎧と武器を持っている。咄嗟に動けず戸惑っていると後ろから音楽が聞こえてきた。振り向くとお玉さんが踊りながら身を震わせ心地よい音を奏でている。体が軽くなり力が沸いてくる。


 前を向くとハチがもう既にゴブリン1匹を倒して、2匹目に槍を突き刺してるのが見えた。私も、と剣を中段に構えゴブリンに斜めに斬りかかる。1回2回と打ち合い隙を突いて腹を切り裂く。


 横に目を向けると、ゴブリンが私の後ろに回り込もうとしている。それを防ぐようにお玉さんが飛び掛かってゴブリンの頭に打撃を与え動きを止めた。私はその間に敵に向き直ると剣を大きく振り被り、袈裟懸けに叩き斬る。


 ゴブリンは剣を盾に防ごうとするが武器を落とし体制を崩す。そのまま剣を横に振り抜き首を刎ねた。


 敵はもう2匹しか残っていない。逃げ出そうとしているのを見たお玉さんが、音調を変えると走り出したゴブリンの動きが鈍る。その隙を逃さずハチが素早く距離を詰めて止めをさした。


 私も追いかけ腰だめにした剣先をゴブリンの背中に突き入れる。ゴブリンがブルッ!と痙攣し動かなくなった。


 こっちの倍の数をあっという間に片付ける事ができた。それにしてもハチの動きが凄かった、これって支援効果のおかげだろうか……。そんな事を考えているとハチが『魔石 回収?』と聞いてくる。前に言われた事を覚えていたようだ。頼むとハチがゴブリンの腹を裂き始める。


 血の匂いと内臓の匂いがあたりに充満して気分が悪くなり吐き気がした。少し離れて周囲の警戒をしておく。

 ・・

 ・

 ハチが魔石を回収し終えてたので、また煙の方向に進んで行く。


 遠目に粗末な木の柵が見えた。家か何かがあるのだろうかと悩んでいたらハチが『危険 止まって』と伝えてきた。何か臭いを嗅ぎとったのだろうか、尋ねてみると『ゴブリン 数 多い』と報告してくる。


 周囲に気を向けるが私にはゴブリンの反応は感じ取れなかった。お玉さんにどう思うか聞くと偵察に行ってくれると言う。


「少々お待ちください」


 そう言って空高く浮かび上がり様子を見に行き、しばらくして戻ってきた。


「この先に40世帯ほどの巨大な集落があります。総勢200を超すゴブリンがいるようです」


 改めて周囲に気を向けるが何も感じない。敵どころか川の中にいつもいる魚まで感じ取ることが出来ない………気配を感じ取れない?


 さっき、気分が悪くなった時に止まった考えを思い起こす。ゴブリンを簡単に倒すことは出来たがハチと自分の動きとは全く違っていた。自分のステータスとハチのステータスを考えると、そんなに差は無いはずだ。もしかしてダンジョンマスターの能力を失ったのか? ここまで来て初めてコアさんが言っていた事を思い出した。


『ダンジョンコアの範囲内では、マスターの能力は強化されます』


 ………範囲内から出たのは初めてだったのだ。今まではずっと指輪を持っていた。


「ハチ、お玉さんすみません。今すぐ帰ります。周囲の警戒をおねがいします」


 こんな状況で尚且つ偉そうにするなど馬鹿のすることだ。私の命を握る頼れる味方には謙虚にお願いするのだ。

 ・・

 ・ 

 帰りはゴブリンに襲われる事もなく無事に進み、滝の音が聞こえてきた。少し安心して尋ねる。


「前はこのあたりでもオオカミに襲われたのに、なんで近づいて来なくなったのか分かる?」

「この辺りのオオカミはハチ公さんの姿を見ると、逃げ出します」

とお玉さんが教えてくれた。


 ハチを見ると嬉しそうに尻尾を振っているが、澄ましている。ハチの頭を撫でながらのんびりとした気分で洞窟に近づく。


「!?」ふと、何か嫌な鳴き声が聞こえた気がして上を見ると、崖上のさらに上の空に浮かぶ、大きな影が太陽の光の中を横切るのが見えた。


「うわぁあぁっ!!」


 また恐怖の感情が沸いてくる。いつかの様にゴブリンが崖から落ちているのが見える。……逃げるように洞窟に駆け込んだ。


 しばらくダンジョンの奥で頭を抱えながら入口付近の様子をみていたが、ドラゴンが下に降りてくることは無かった。少し落ち着きダンジョンコアに魔石を吸収させながら考える。


 外に出て敵を狩る作戦は失敗だ。私が外に出て弱くなった状態で、この前のようなオークの群れに在ったら命が危ない。周りの生き物も感知できないので、いち早く危険を回避して逃げ出す事もできないのだ。


 それでも収穫はあった。お玉さんの支援がメッチャ有効だって事だ。ハチのあそこまでの動きは見たことがない。あと川沿いに半日ほどすすんだ場所にゴブリンの集落を発見した事だ。まあこちは今はどうしようも無いが。


 少なくともオークの群れがまた襲って来た時の為にも、私のレベルアップは必要だろう。それにそろそろ動かないとさすがに腹回りがやばいし。



 その日の夜から、お玉さんと一緒にオオカミとの戦闘に加わることにした。お玉さんの支援を受けた状態で6匹を下に誘い込む。


 1階の扉を開けて囮のコボルトが階段を駆け下りてくる。続いてオオカミが興奮しながら次々と降りて来た。


 支援効果のおかげか、今までもそれほど速くは感じていなかったが今は止まって見えた。ハチが2匹を倒している間に私が4匹倒してしまう。


 他の仲間が動く前に終わっていた。


 お玉さんの実力がこれほどとは……宝の持ち腐れだったようだ。これなら私とお玉さんだけで楽勝かもしれない。


 次の日もオオカミを誘い込む。ハチのペアにも他のコボルトのペアにも手を出さないように指示してオオカミと戦う。罠も使いながらお玉さんにフォローしてもらうと多数相手でも楽勝だった。


 3日程繰り返すとダンジョンコアが『ダンジョンのレベルが上がりました。3階層まで拡張できます』と伝えてきた。タイミングがいい。DPも1000ポイント近く貯まっているし外に出るのは怖いし……で、ダンジョンを拡張しようと思う。





 命あってのダイエットである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ