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妖女学園のこくりちゃん  作者: こんぐま
第6話 静寂のドリーム
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8時間目 クリスマス注意報(8)

 突如始まった少女たちによる全裸祭り。

 あちこちで悲鳴が上がり、少女たちはかなりガチめに逃げて行く。

 そしてその中心には、黄金院こがねいん明媚ダイヤこと“カナブンちゃん”が全裸で立っていた。

 しかし、何やら様子が可笑しい。


「さあ! みんな生まれたままの姿になれ!」


 完全にキャラ崩壊しているカナブンちゃん。

 しかも、何やら両手からピンク色なビームっぽいものが出ている。

 そしてそれが全裸祭りの正体の様で、それに当たった少女は全裸になっていた。


 因みに、ビームに当たると服がスポンッと脱げるだけなので、溶けたり破れたり消滅しているわけではない模様。

 これなら再利用出来るので、良心的な怪異で安心だ。


「カナブンちゃん、こんにちは」


 明らかに様子が可笑しいカナブンちゃんに、こくりが普通に話しかける。

 カナブンちゃんはそんなこくりに視線を向けて、何も言わずピームを放った。

 しかし、相手はこくり。


 ビームは軽やかにけら――避けない。

 こくりは避けようともせずにそれを食らって、スッポンポンな姿となった。

 しかし、この幼女、まだ5才児なので恥じらいなどない。


「なにしてるんですか?」


 とくに裸を隠そうともせずにこくりがたずねると、カナブンちゃんが何やら残念そうに顔を曇らせる。

 そして、ビームを出すのを止めて、こくりに視線を向けた。


「なんで逃げない?」


「何に逃げるんですか?」


「質問を質問でかえすな! 私は逃げ惑う女の子を、無理矢理強引に脱がして嫌がる姿を見るのが趣味のあやかしなのだ!」


「裸は寒いです」


「聞いてない!?」


 季節は12月。

 いくら裸に抵抗が無いこくりと言えど、流石に寒さは無視出来なかった。

 こくりは寒くなってきたので、妖と名乗ったカナブンちゃんの言葉を無視して、さっき脱げたばかりの園児服に着替えていた。


「カナブンちゃんは寒くないんですか?」


「言っただろ! 私は妖だ! この少女の体を乗っ取った絵本の妖なのだ!」


「そうか! わかったぞ! 狐栗こくりよ、そやつは学園の七不思議の一つ“ゆうわくの絵本”の妖だ! その少女に憑依ひょういしたのだ!」


 そう。

 カナブンちゃんは体を乗っ取られていた。

 そして、カナブンちゃんにいた妖は学園の七不思議の一つ“ゆうわくの絵本”。

 エッチな本を読みたくても、恥ずかしくて読めない思春期たちの欲が集まって生み出された変異体の妖なのだ。

 しかし、その本質はエッチな事への執着心。

 純粋にして汚れた心の集合体。

 だからこそ人にりつき、今まさに全裸祭りを開催中。

 そして、妖の本体がいなくなったからこそ、図書室のいやらしい本は何の抵抗も無く呆気なく焼却出来たのだ。


 お狐さまが真実を伝えると、こくりはなるほどと理解して、お尻に燐火りんかの尻尾を生み出す。

 そして、燐火の炎を目の前に出し、それをカナブンちゃんに浴びせた。


「変態は焼却です」


「ぎゃあああああああ!」


 流石はこくりと言うべきか、例え相手がお友達のカナブンちゃんの体であっても、妖相手には容赦がない。

 なんの躊躇ためらいも無く燐火を放ち、結局は呆気なく変態を焼却してしまった。

 そしてそれを見て、実果みかがニッコリと微笑んだ。


「まあ、凄い。こくりちゃんが妖を退治する所を初めて見ましたが、あんなにあっさりと出来るものなんですね」


「うむ。流石は儂の娘だ。あの程度の妖など造作も無い」


 と言いつつも、相手が相手だけに、もっと苦戦すると思っていたお狐さま。

 偉そうな事を言っているが、冷や汗を流して内心驚いている。


 憑依していた妖が焼却されると、カナブンちゃんはそのまま気を失った。

 こくりは倒れるカナブンちゃんを受け止めて、ゆっくりと床の上に寝かせてあげる。

 そして、流石は紳士こくり。


「これで寒くないです」


 園児服を脱ぎ脱ぎして、それをカナブンちゃんの体にかぶせたのだ。

 こうしてこの事件は解決し、未来永劫“妖女学園初等部冬の全裸祭り”として語り継がれる事になった。

 因みに、この後直ぐにみっちゃんが来て、ジャージをカナブンちゃんに着せてあげて、こくりも園児服に着替える事が出来たようだ。

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